【書評】『生殖記』

 こんにちは!友為です。
今回は『生殖記』について紹介いたします。

久々に衝撃を受けた本でした。
自分が一生会うことが無いような人の価値観に触れることができて、また世界観が広がるように感じます。自分の想像のドームを内側から鈍器で思いっきり殴られたような感覚でした。

この本は男の生殖器の視点で、主人公の心境や価値観を語るという面白い構図で書かれています。この生殖器目線で書かれているのが、1つ物語のミソです。多様性や成長、発展、共同体への関わり方、そして幸福という切り口で、現代社会のダークなところを詳らかに語っています。

 この大前提として成長・発展、共同体への参画が前提という資本主義のルールで、生きなければいけません。ただこの主人公はゲイで成長・発展には全く興味の無い、ただ生きているだけで満足している設定。その現実と自分の生きている世界との対比を描きだしています。

自分の幸福とは何か?多様性は人それぞれ?
様々な生き方をできるようになりつつも、結局資本主義ではある程度生き方や考え方に支配されるのが現実で、まだまだ生きにくさは拭えていないんだろうなぁと感じます。1つ自分の世界が広がった1冊でした。

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