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【国際バカロレアの学習】概念とは何か?
今、私は国際バカロレアの認定校であるサニーサイドインターナショナルスクールで小学5/6年生の担任をしており、概念型探究をどのように実践しているのかをまとめていけたらと思います。まだまだIB教員2年目の実践ログなので、どのような場面に難しさを感じながら概念型探究の授業にトライしているのかについてまとめていけたらと思います。
さて、今回のnoteでは、国際バカロレアの学びへのアプローチの特徴の1つである概念型探究について具体的な実践をもとに私なりの考えをまとめていけたらと思います。今回のキーワードとは「概念」になります。
このシリーズでは3回に分けてまとめていきます。まずは、「IBで扱っている概念とはどういうものなのか?」という共通言語を育み、その後、「概念で学ぶとはどういうことなのか?」について、最終的に「学習者が自分なりに理解(概念的理解)を構築していくとはどういうことなのか?」について3つのステップでまとめていけたらと思います。
「そもそもIBで扱う「概念」とはどういうものか?」
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私が、IB校で勤めはじめて一番はじめにぶつかった壁が「概念とは何か?」というそもそも問いでした。私にとって、概念という言葉自体が日常生活の中であまり触れてこなかった言葉でもあり、「概念=コンセプト?」ぐらいの捉えから始まりました。このnoteでは、私が概念について私なりにどのように理解してきたのかについて、3つのステップでまとめていけたらと思います。
ビジネスにおけるコンセプトとは?
そもそも概念と聞くと私たちは何を想像するでしょうか?よくビジネス業界では、概念を英語にした「コンセプト(=concept)」という言葉を聞くことはあると思います。
⚫︎ビジネスにおけるコンセプト
コンセプトという言葉は、哲学や芸術などの分野で使われるほか、ビジネス、特にマーケティングの分野などで使われる言葉です。ビジネスで使われる「コンセプト」は、どのような顧客にどのような価値をどのようにして提供するかといった、企画の骨組み・構想を表します。企業がこれから提供しようとする商品やサービスが、どのような方向を目指すのか。これを言語化して明確にし、共有するためのものです。
ちなみに、沖永良部島で地域おこし協力隊として活動しているときに立ち上げた「えらぶゆりの島留学生のおうちでもあるコミュニティシェアハウス」のコンセプトは「遊ぶように学びながら暮らす」になります。
このコンセプトでは、南の島(沖永良部島)に親子で移住したい親子向けに、「遊ぶように学びながら暮らす」シェアハウスという機会をつくりました。このコンセプトでは、「遊びながら学ぶ」ではなく、「遊ぶように学ぶ」というニュアンスをとても大切にしており、あくまでも「学ぶ」ということにフォーカスをしており、「学ぶプロセス」に遊びのもつ要素を取り入れていることを大事にしています。この方向性を共に場をつくる人同士、この学びの機会に参加する島留学生親子と共通言語として育んでいくことで、目指している方向性に近づいていけるのかなと考えています。
実際に2021年度から受け入れを開始し、毎年約3組の島留学生親子が沖永良部島に1年間移住を行い、地元の小学校に通いながら、地域のコミュニティスペースでもあるシェアハウスで暮らしています。2025年度も新たに島留学生の受け入れも決まり、今も継続的に活動を行っています。
IBの学習でいうコンセプトとは?
これが、いわゆる事業的なコンセプトでもあり、一方で、IBの学習でいう概念(=コンセプト)とはどういうものなのでしょうか?概念型探究の実践のpg.19の図1.3を参考に作成をしたものになります。
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哲学においては、概念とは次のように考えられています。
哲学における「コンセプト」は「概念」を意味し、命題の中で使われる言葉が意味する普遍化・抽象化された事象のことです。
言葉の定義を私なりに整理してみます。
命題:IBでいう概念的理解(≒セントラルアイデア)
・複数のコンセプトを関係づけて言語化したもの。
・コンセプトを具体的に説明し、その性質や役割を示す。
・例:
「公平とは、すべての人を等しく扱うことである」
「正義は、不平等を是正することで達成される」。
コンセプト(概念):IBでいう関連概念(≒ミクロ概念)
・単一の単語や短いフレーズで表される。
・普遍的で抽象的な性質や本質を指す。
・例::「公平」「自由」「正義」「幸福」など。
実際の授業実践例
少し、難しいので実際の授業実践の事例で私なりに具体を示してみます。
Unit3の経済のユニットで扱った事例
コンセプト≒概念(普遍化・抽象化):
例:経済における「公平」
「社会的不平等を是正し、全員が基本的な生活を享受できるべき」という抽象的な意味。
命題:
例:「政府は、公平な社会を形成するために経済活動に介入する」
*公平とは『資源や機会が必要に応じて適切に分配されること』である
*この命題での「公平」は、具体的な政策や支援ではなく、「分配の公正性」という普遍的な本質を指している。
個別の事象:
「税負担の公平=累進課税」、「社会福祉の公平=公共政策」、「最低賃金の公平」など。
実際のユニットの実践の一部を以下のnoteにまとめています。以下の実践では、市場経済ゲームのシュミレーションゲームを通して、税率を所得に応じてどのように調整すると良いのかについて「公平」の視点でディスカッションをしてもらいました。
実際の授業における概念の定め方
「では、IBの授業で扱う概念というのは、どのように定めると良いのでしょうか?」こちらが、概念型探究の実践のpg.19の図1.3を参考に作成をしたものになります。
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私の中で、最初分からなかったことが、この言葉は概念なのかどうかということです。結論から言うと、概念として扱うのか、事実として扱うのかは授業の設計者の意図次第になります。しかし、前提として、授業で扱う概念がそもそも概念として扱えるのかどうかを確認することも重要になります。
私は、次の2つのステップで、概念型探究で扱う概念を選んでいきます。
STEP1:概念の特徴を満たしているのか確認する
上のフレイヤーモデルから概念の特徴を確認にすると、「学校」という言葉は、1-2語の名詞で、抽象的で、時を超越し、普遍的でもあるので、概念として扱うことができそうです。
STEP2:学習者の発達段階や既得知識を元に扱う概念を決定する
もう既に学習者がその概念について理解を構築している場合は、カリキュラムの中で概念として扱う必要はなく、既得知識として扱うことができます。一方で、まだ学習者が概念として構築できておらず、かつ設計する探究プログラムの中で学習者にその言葉の理解を構築してほしい場合は、概念として扱います。
例えば、まだ「学校」という概念が曖昧な幼稚園生に「学校」という概念を理解してほしいとします。この場合は、「学校」というものの特徴や機能を学習することで最終的に「学校」という言葉の概念的理解を構築していくことになります。
一方で、小学校6年生ともなると「学校」という概念は、ある程度形成されてきています。その場合は、「学校」というものを概念として授業で扱いません。例えば、「学校は民主主義の社会を構築する」ことを学習者に概念的に理解してほしい場合、「民主主義」というものを概念として扱うことになります。このように、何を概念として設定するのかどうかは、授業設計者の意図によって変化します。
このnoteでは、これまでに学んできた「そもそも概念ってなんだろう?」という問いを私なりに何とか言語化してみましたが、まだまだうまく言語化できていないということは、自分自身がまだ掴みきれていない証拠でもあります。
丁寧に概念とは何かについて綴られているリンクになります。私自身まだ理解まで落とし込めていないのでこれからゆっくり紐解こうと思っています。
次回のnoteで「なぜ概念で学ぶのか?」「具体的にどのように概念で学ぶのか」を私なりにまとめていけたらと思います。
今回、思考の整理も兼ねてIBでの学びを言語化している背景には、2月9日にオンラインで行われるイベントで、これまでに私が勤める学校コミュニティで学んできたことをシェアする貴重な機会をいただいたことが背景にあります。私だけの実践ではなく、これまでに積み上げられてきたサニーサイドの文化の上に成り立っている実践事例の一部になります。是非興味のある方は見にきていただけたら嬉しいです。
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申し込みは以下のリンクからできます^^
いつも読んでいただきありがとうございます。
moimoi!