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<お金の使い方を学ぶ>学校キャンプ企画
今私は国際バカロレアの認定校であるサニーサイドインターナショナルスクールで小学5/6年生の担任をしており、概念型探究をどのように実践しているのかをまとめていけたらと思います。今回のnoteのテーマは「金融リテラシー」です。経済のユニットを通して、金融リテラシーを高められるようなワークを理論と実践を繰り返しながら行っています。
「お金を適切に使う」ことができるようになるには、どのような知識やスキルが必要になるでしょうか?大人の私たちでも、収支のバランスを考えることに難しさを感じているのではないでしょうか?
私自身も毎月、収支のバランスを考えながら、投資と現金での貯蓄のバランスをとることに難しさを感じています。今回は、適切にお金を使えるようになる一歩として、学校キャンプを企画しました。このキャンプを企画するにあたり、予算の計画、具体的な資金計画、親への予算計画の説明を行ってきました。
お金が適切に使えるようになるには、本をたくさん読んで知識をどれだけインプットしたとしても身に付くものではなく、お金を使うプロセスの中でスキルやストラテジーを意識して何度もトライアンドエラーをするプロセスの中で育まれていくものだと思います。今回のキャンプでは、どんなスキルをどのように使うとお金を適切に使うことができるようになるのかを子どもたちがプロセスの中で1つでも見つけられることをゴールにしています。
さて、キャンプが始まりました。このキャンプでは、お金を使う場面が大きく分けて3種類あります。
① 予め自分たちで計画したクラス全体のプロジェクトでかかる費用
② 予め自分で計画していた生活にかかる個人的な支出
③ その他、忘れ物や緊急時にかかる支出
①②については、どちらも事前に予算計画書の中に組み込まれています。
① 予め自分たちで計画したクラス全体のプロジェクトでかかる費用
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最初にクラスプロジェクトに参加するメンバーを募り、一人当たりのおおよその予算を決めて、予算内で具体的にかかる費用をインターネットでリサーチし、計画を立てていきました。この時に、Amazonでお菓子が198円で購入する計画をしていましたが、実際に購入しようとすると送料が600円ぐらいかかることに気づき計画を変更するなど、商品の価格と送料のバランスからもどの商品をどのように購入すると良いのかを考える場面もありました。最終的には、プロジェクトに参加する全員に予算(回収する金額)の承認をとり、購入するプロセスに入っていきました。
② 予め自分で計画していた生活にかかる個人的な支出
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最終的には親に申請する申請書にクラスプロジェクトの支出と個人でかかる支出の合計を表にまとめて、保護者に説明を行い、承認がおりるとその予算がキャンプでの予算になります。中には、不十分な説明で前日や当日まで計画を練り直している子もいました。
さらに、このキャンプではいくつかの条件があります。基本的なこのキャンプの考え方としては、保護者や大人の役割は「見守り」になります。買い出しも、公共交通機関を使って行くことになります。オプションとして、保護者の承諾が出れば、1日に1区間(片道)のみ保護者にお願いして買い出しに行くことができます。この時も1kmあたり50円を支払う設定にしています。また、17時までに学校に戻ってくる時間制限もあります。
このような条件をつけたのも、今後日常生活の中で必要になってくる時間とお金のバランス感覚を養ってほしい意図があります。例えば、バスを乗り間違えてしまい1.5km歩けば目的地に辿り着く場合(その後の予定は特にない)と、バスを乗り間違えて飛行機を逃してしまいそうなシチュエーションがあったとします。前者であればタクシーを使う判断はしないと思いますが、後者であれば多少の支出があってもタクシーを使う判断をすると思います。
今回のキャンプで、もし保護者が全て送り迎えをした場合、現在地から目的地に辿り着くプロセスの中にある学びの機会がなくなってしまいます。子どもたちに色々な行き方をリサーチして、時間と費用、体力、天候などの様々な条件から最終的にどのように移動するのが良いのかを決定するスキルを練習する機会になればと考えています。今回のキャンプでは、リサーチする重要性に気づいてもらえるといいなと考えています。
また、キャンプ中にも子どもたちは経費精算の考え方を身につけるために、予算計画にそって実際にかかった費用を支出表にまとめていきます。
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毎日の振り返りの時間にその日の支出を表にまとめ、キャンプ終了後に保護者にかかった費用について、レシートを根拠に示しながら説明を行います。もし、レシートがなかったり、説明が不十分な支出についてはもしかするとお小遣いから減額される可能性もあっても良いかなと考えています(笑)
こちらが精算の様子になります。
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タクシーに3区間乗って、1台は2回精算、1台は3回の精算、支払う人もタクシーに乗っている人もバラバラの中で全く計算が合わず混乱する場面もありました。「人生の中で一番計算してる。」「人生で一番学んでいるかも。」と実際のお金を使うとなると、真剣に計算が行われていました。今回は上手くいかなくても、お金を使うプロセスの中で、なぜ計算が上手くいかなかったのかを振り返ることで、また次のお金を使う場面で今回学んだスキルや考え方が活かせると良いなと思います。
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学校で学んだ知識を実際に日常生活で転移してやってみる初めての機会になります。恐らく上手くいかないこと、予想外の支出等様々な課題とぶつかる場面も多くあると思います。学校生活の中では、なかなか子どもたちが思いっきり失敗できる機会をつくることって難しいので、こういったスピンオフでの学びの機会に普段できない失敗の経験から学べることを大切にしてほしいなと思っています。
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このキャンプの企画も初めてのキャンプにも関わらず、子どもたちなりに「なんとかなる」と思える準備を行い望んでいます。色々な詰めの甘さを見ている大人はヒヤヒヤ、ドキドキするでしょうが、ここをグッと見守ることで、子どもたちは試行錯誤して成長できる機会になるのではないかと考えています。
次のnoteでは「時間の使い方」に焦点をあててまとめていきます。
いつも読んでいただきありがとうございます。