PSPEとMathの教科融合で【知識をつくりあげる】
今私は国際バカロレアの認定校であるサニーサイドインターナショナルスクールで小学5/6年生の担任をしており、概念型探究の実践を日々迷いながら模索しています。これまでに1年間、PYPのカリキュラムで7ユニット、MYPのカリキュラム(数学)で4ユニット実践をしてきました。
このnoteでは、PYPのカリキュラムで大切にされている教科融合をMathとPSPEでどのように融合しながら授業実践をしているのかについて紹介していきます。私が勤めている学校は体育は専科の教員が入っているので、一緒にコラボレーションしながら授業をしています。どうしても専科の先生が入ると、その授業はすべてお任せする縦割りになってしまうのですが、教員同士でコラボレーションすることが教科を横断した学びにもつながってきます。
知識とは何か?
「そもそも知識とは何か?(リンク)」
国際バカロレアの学校では、社会構成主義という考え方が取り入れられています。社会構成主義で構築していく知識というのは、教授主義で捉えられている知識の捉え方とは異なり、客観的で普遍的な知識は存在しないと考えられているので、知識は学習者が他者という人的環境を含む環境と関わりながら構成されるものと考えられています。
ここで、知識というものをどのように扱っていくのかを定義していけたらと思います。
PISA結果から考えるMathと他教科の融合
「さて、PEPEとMathをどのように教科融合していくのか?」実は体育と算数はかなり相性がいいと考えています。また、こちらのnoteでも紹介したように日本の算数教育には以下のような課題があります。
この結果からも分かるように、子どもたちは学校で学んだ算数数学が日常生活の問題を数学を用いて考える機会や、数に関わる日常生活の問題を、その状況に関して数を用いて分析を行う機会が少ないと感じている児童が多いです。そこで、体育で起きている事象を算数数学的にみる授業実践を紹介していきます。
実践「Mathでチームスポーツの分析」
今、学校はSport dayに向けて、学校全体でSport dayの競技練習が行われています。PSPEでもSport Dayの競技を題材に、授業が行われています。Unit2のATLは批判的思考スキル(問題点や考えを分析し、評価する)です。PSPEでも、子どもたちの分析スキルを高めるためのアプローチとして、18人を2チームに分けて、さらにチームの中で技術チーム、自チーム分析、他チーム分析に分かれて、分析力を高める課題を出しています。
「どのようにして自分たちのチームの課題を分析していくのか?」
今まで、スポーツをしたり観戦する中で、分析をやったことのない子どもたちが、Mathの観点でチームを分析するスキルを育んでいきます。
例えば、この日の授業実践では「ポゼッション」という概念を視点として取り入れていきました。この「ポゼッション」という考え方は、様々なスポーツでも取り入れられている考え方です。ドッジボールにおける「ポゼッション」は結果にどのように影響するのかを考えていきました。
分析チームに与えられた課題は、それぞれのチームのポゼッションの時間です。さらに、ゲームの中で自分のチームがボールを所持していた時間(パスやアタックを受けて、所持していた時間)とパスとアタックの回数の記録をとりました。ここで集まったのはDIKWモデルでは、「データ」という段階で、この数字には何も意味を持っていません。
そして、それぞれのチームでデータを持ち寄り、データをもとに情報にしていきます。具体的には、それぞれのチームのボールの所持時間から、所持率を計算していきます。ここで、小学校の算数数学の割合の考え方が必要になります。他にも、一人当たりのボールの所持時間を計算するために、平均の考え方を取り入れていきます。
この日のレッスンでは、担任の自分もデータの収集にサポートとして入り、データから情報に上げるために、計算方法の導入を行いました。今後、子どもたちだけで、自分たちのチームスポーツを見て、算数の考え方を用いて分析し解決できるスキルを高めていけるのではないかと思いました。
さらに、この情報の先に集まった情報と自分たちのチームの特徴を重ねて、どのような練習をしていくと勝ちにつながるのかを自分たちで考えて得た理解やノウハウが知識になっていくんだろうなと思いました。教科書に出てくるデータとは異なり、PSPEで生まれるデータというのは自分たちの生活という文脈に密接につながっているので、学びの動機づけにもなります。
今後もPSPEとMathの融合の実践を紹介していけたらと思います。いつも読んでいただきありがとうございます。