PYPにおける平和教育(Part1)
今私は国際バカロレアの認定校であるサニーサイドインターナショナルスクールで小学5/6年生の担任をしており、ヴィゴツキーの学習理論である社会構成主義の学びをどのように実践しているのかをまとめていけたらと思います。まだまだIB教員2年目の実践ログなので、どのような場面に難しさを感じながら社会構成主義の授業にトライしているのかについてまとめていけたらと思います。
◎ 似たような疑問がある方に読んで欲しい!
・社会構成主義の学びに興味がある
・帰納法的な学びに興味がある
・子どもとともに理解をつくりあげる学びに興味がある
・ガイドされた探究の先にあるものに興味がある
Unit2のカリキュラム
どのようにしてUnitを展開していくのかについて、概念型探究のフェーズに沿ってまとめていけたらと思います。
STEP1:Engage(導入する)
有名な風刺画をつかって導入を行いました。風刺画を見ながら、写真の中にある事実を踏まえて、この風刺画にはどんなストーリーがあるのかを考えるワークを行いました。子どもたちからは、事実として、服装や文字から国名を事実として捉え、日本と中国が朝鮮をめぐって争いを始めようとしており、ロシアがその様子を伺っていて、勝った国と戦う様子を表していると考えているチームもありました。付け加えで、この4つの国の位置関係が実際の世界地図と似ていると気づきも出てきました。他にも、ロシアの領土で日本と中国が魚釣りをしており、それについてロシアが怒っているのではないかという意見も出てきました。
STEP2 :Focus(方向を定める)
今回のユニットのキーコンセプトが「視点、原因、責任」であるので、最初のリサーチの方向性として、戦争が起きる原因にフォーカスして、リサーチをしていきます。そこで、ディスカッションを「なぜ、戦争が起きてしまうのか?」という問いを投げかけ、ユニットが始まる前の子どもたちの考えをシェアを行いました。そこで出てきたのが「器が狭かったり、自分たちのことしか考えていないと戦争が起きるのではないか。」「人間の欲や、権限や権力、資源をめぐって争いが起きるのではないか。」という考えが出てきました。
STEP3:Investigate(調べる)
ここから、18人で国内や世界で起きた争い(戦争)の原因のリサーチを行なっていきます。ここで取り扱う争いは学習指導要領に書かれている事例を中心に行なっていきます。一般的な歴史の授業では、時代ごとに1つ1つの戦争をクラス全員で学んでいくスタイルだと思うのですが、社会構成主義のカリキュラムでは、一人一人にリサーチ課題を与え、クラス全体で情報の収集を行なっていきます。そして、情報収集した後に、集まった複数の情報の間にあるつながりやパターンを見つけて、戦争が起きる原因を整理して分析していきます。つまり、課題というのは、自分自身の理解のためだけに行うのではなく、クラス全体で学びを深めていくための準備として行うものになります。ここに、学ぶことへの責任が「自己責任」ではなく「共に学ぶ責任」という一般的な考え方と違うことも伝えていく必要があります。
▼ こちらが課題の内容になります。
最終的には、学んだことを風刺画を描くことでアウトプットしていきます。4年生のアートのユニットで「アートの創造や鑑賞は自分自身や周りの世界の理解につながる」というテーマで学んできたので、ここで学んだことを活かして、アートを通してリサーチしたことを表現していきます。さらに、今回は風刺画という直接的な表現ではなく、婉曲的な表現で表すので、自分自身の理解が必要になってきます。
ここから子どもたちの探究は始まります。
いつも読んでいただきありがとうございます。