社労士試験:選択式との向き合い方
今回は選択式について書いてみたいと思います。
選択式は択一式の延長線上にある
僕は選択式は択一式の延長線上にあるものだと思っています。
択一式は文章の中で理論とルール、単語や数字等が問われて、その正誤を判定するわけですが、選択式も同じようなものです。
正しい内容が書かれている択一式の文章があって、選択式はここから単語を抜いただけ。
基本は択一式も選択式も同じで、選択式は如何に正確に理論やルール、単語や数字をしっかりと覚えているかが問われるものでしょう。
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選択式が苦手とはどういうことなのか
選択式をどうやって勉強すればいいのかわからないとか、選択式への立ち向かい方がわからない、というツイートをよく目にしますが、これには段階というかレベルがあると思います。
一つ目のレベルは、択一式の内容自体にもまだまだ立ち向かえないレベル。
これは、理論も知識もまだまだ全然足りない段階。
択一式で点数が取れないときは、だいたいは選択式でも点数は取れないと思います。
二つ目のレベルは、択一式はまあまあいけるけど、選択式が延びない、3点を取れない、というレベル。
学習の深さにもよりますが、まだまだぼんやりした部分が4割ほどあるときでしょう。
三つ目のレベルは、択一式はまあまあいける、選択式は教科によっては3点は平均的に取れるがたまに1点や2点の教科が生じる、というレベル。
これは、それなりに勉強してきた受験生の多くの方が当てはまるのではないかと思います。
一つ目、二つ目の段階では、正直言ってまだまだ理論やルール、数字や単語に対する知識が全然足りないと思います。
この段階ではまだ選択が択一がと分離した形で考えるまでのところまで到達できていないというか、そこから2倍3倍以上の全体的な底上げが必要な段階でしょう。
三つ目の段階はどうなのか。
ここが、受験性がせめぎ合うところだと思います。
択一式も選択式もテキストが大切
前述した通り、僕は選択式は択一式の延長線上にあるものだと思っています。
「学習する」のは同じ。
ツボや過去問ランドで肢別問題をひたすら解いて、その理論やルール、単語や数字をしっかりインプットした上で正しくアウトプットできるようにならないと、選択式の枠内に何が入るかなんてわかるわけがないと今でも思っています。
では択一式をしっかり解けるようになるにはどうするか、それにはやはり
テキスト!
です。
テキストをひたすら読み、単語に触れ、数字に触れ、理論を理解し、ルールを覚える。
しかも、丁寧に。
覚えられない部分はひたすら覚えるための努力をする(トイレ貼り紙法など)。
数字もとにかく覚える、ただひたすら覚える。
これをやって択一自体がしっかり解けるようにならないと、選択式も当然太刀打ちできません。
選択式がうまくいかない→それまだまだ知識が足りなさすぎ
という簡単な図式であって、悩むことではありません。
選択式が苦手なのではなく、まだまだ知識が足りないだけなのだから、とにかくテキストを読む。
僕はいくつかの市販テキストを購入して見比べましたが(TAC、LEC、大原等)、一番のお勧めはユーキャンの速習レッスンです。
これが一番詳しく、一番載っている。
このテキスト3分冊すべてを覚えるくらいの意気込みじゃないと。
後にも書きますが、合格率5%とかの試験なのですから。
さらに知識を増やすために、ここに各社の直前の労働経済白書の講義を単科で加えればいいところまで行けると思います。
選択式らしく解く
ただこれでは対策らしい対策とも言えないので、僕がやったこととして。
選択式は選択式らしく解くのに慣れる
ということも大事だと思います。
内容云々ではなく、形式です。
つまり選択式の問題集は解くとしても、内容云々ではなく、単純に「穴埋め問題たる選択式」という形で解く、ということです。
僕がやったのは、
・ツボの選択式
・LEC出る順の選択式
・大原トレ問選択式
の一通りで、これで「選択式として解くこと」を体感的に身に付けたような感じです。
説明しづらいのですが、中身は選択式も択一式も同じ、理論とルール、単語と数字です。
ツボは王道でありながらちょっと捻りあり、LEC出る順は王道まっしぐらでほぼ暗記用、大原トレ問は独特の空気、といった感じ。
トレ問はほんと捻りというか、他社と観点が若干違いところもあり、そこを出すか?といった状況への心構えを身に付けるのに役立ちます(笑)
何度も言いますが、基本は択一と同じ、です。
理論とルール、単語と数字です。
それが文章で尋ねられているか、単語が抜かれているかだけの違いです。
頭に叩き込むものは同じで、ただ問われ方が違うだけなので、各々の空気感を体で覚えるような感じです。
これらの選択式問題集は3、4回くらいは回したと思います。
あと、予備校の模試は3つ、4つくらい受ける。
模試本も2社分くらいは解く。
色んな選択式の問題に接するのが大事で、中には知らない内容(つまりテキストにも載っていない)もあったりするので、こんなん出らんわと捨てることなくそこもちょっぴりでいいので頭の片隅の記憶として残しておくほうがいいです。
合格を勝ち取るために
さらに、合格を勝ち取るために。
断言しますが、ここの意思の持ち様で絶対に結果が変わってきます。
経験された方々も多いと思いますが、選択式は救済がなければ単科が2点というだけで不合格です。
択一で60点取れていようが、選択全体で40点満点中37点、他の7教科全てが満点でも単科が2点だったら不合格です。
以前も書きましたが、僕がずっと心掛けていたこと、それは、
・知識ドーナツ化現象云々という概念は捨てろ
・知識アンパン化を目指せ
というスローガンです。
基礎知識が大事、だから周辺知識をやり過ぎて基礎知識が抜けてしまう「知識ドーナツ化現象」が生じないように基礎知識をしっかりとやる、という理論ですが、基礎知識が大事なんて中学受験の小学生でも知っていることで当たり前過ぎです。
さらにこの試験で忘れていけないのは、「合格率5とか6とか7パーの試験」だということです。
各教科とも、まあ特に労一社一にその傾向は強いのですが、難解に見えるたった1点の選択肢で合否が決まるということが多々あるわけで、ここを乗り越えて合格する人達はどういう人達かというと、ドーナツの中心部分なんて当たり前に頭に叩き込んで、周辺知識の輪っかの部分(上記の「難解に見えるたった1点の選択肢」のレベル)までもきっちりとある程度頭に叩き込んだ人達でしょう。
社労士試験がどういうものかを知っているならば、知識アンパン化、つまり基礎も周辺もぎっちり詰め込んで且つそれを使いこなすようにならないといけないのは自明だと思います。
特に労一社一の1点で逃した人は、周辺も如何に大事かということは身に染みてわかっているはず。
ひとつ自明なのは、
知っていて、(ぼんやりとでも)覚えていたら、穴埋めは殆からず
ということ。
知らなければ適当に埋めるしかなく、まぐれでないと当たりません。
知っていれば、当たります。
昨今の選択式を経験した人達なら周辺知識も如何に大事かということはわかるはずです。
だからこそ知識アンパン化を目指すのが得策です。
※僕は一貫して周辺「も」やってきましたが、以前何度か「周辺ばかりやってたらダメだ」と指摘を頂いたことがあります。
自分の名誉のためにここで明確にしますが、僕は「周辺ばかりやっていた」わけではありません。
基礎も周辺も同じような強度でやっていたのですから。
まるで僕が周辺ばかりやっているといった藁人形論法というか、おかしなレトリックのようなものはほんとどうでもいいのですが、こういったところの雑音には耳を貸さない意思は強く持っていた方がいいと思います。
僕のやり方で、僕は合格したのですから。
ドーナツの穴を埋めることのみでは今の試験ではまず無理。
しつこいですが、合格目指すなら絶対知識アンパン化!
うまくいけば「1点の分かれ道」となる前段階での土台、選択式34、35点、択一50点オーバーくらいの状況は確保できるはずで、それだけでも心の余裕に繋がるってもんです。
おまけ
社労士試験には救済は抜きにして基本的な合格基準点というものがあります。
最低ここまでが必要、というものです。
その基準点を取れていれば必ず合格です。
僕が受験した令和4年の試験では救済は入りませんでしたが、そこで5%ちょっとの合格率となったわけで、ここで救済が入ると合格率が跳ね上がってしまうので救済は入らなかったわけです。
救済が入らなかったということは、もともと連合会が要求するレベル(基準点)がそのまんま合格基準点となったということですね。
ここに合致したのが、上記の三つ目のレベルを乗り越えた人達です。
せめぎ合いの、その先。
確かに・・・ここを出すか?とか、こういった定義を出すか?というところはありますが、こういったところは一般的な知識としては「周辺」に当たるのではないかと僕は思っています。
事実、その知識の差で結果が違ったわけなのですから。
そして昨今の試験ではそこまでが要求されていて、その要求の上で今の合格率なのだということを絶対に忘れてはいけないと思います。
ここ数年でも救済は入れど雇用や労一などはすごいところから引っ張ってきたというか、そういう出し方で来るか、という選択式でしたが、理論やルール、数字と単語を幅広く「知っていれば」択一と同じで対処はできるものではあったと思います。
その「幅広く」が需要なポイントで、如何に幅広くアンテナを張って細かいところまで視野を広げて学習できるかも要求されているのでしょうね。
「知る機会」を広げる、というのも大事なのだと思います。
ちなみに僕がコロナ禍で受験を見送った令和3年は選択式の予想がズバリ当たっていました。
まあ僕が当てたわけではなく予備校の先生が当てて、それが模試本となっていたわけで、これは出るかもと思ってトイレに貼って毎日眺めていたものがズバリ出ていました。
この年受けていればと悔やんだものです(笑)
市販模試本でもこうやって本試に出ることがあるので、手を広げられるなら広げるのがいいと思います。
それでたまたま知ったことで1点を得て、それが合否の分かれ目となるということも往々にしてあるのですから。
やらなければ知識は広がらないし、知らないことには勝てません。
その模試本をやって覚えていた人は楽に解けますが、その模試本に接しなかった人には難解この上ない空欄でその1点に泣くという結果もあるかも。
これもしつこいようですが、10人に1人も受からない試験なのです。
それだけのことをやらないと合格は勝ち取りえません。
tomo拝