旅の記録 11月30日・高野山、午後の部
ここからは、旅の記録。
護摩行
ふと時計を見ると、もう12時半を過ぎていた。
13時からは、宿坊の護摩行体験を申し込んでいたので御廟を後にし、参道を戻る。
同じ道戻らない方がいいとかどこかで聞いたような気もするけど、気にしてはいられない。
開始時刻を過ぎていたが、護摩堂には入場できた。
係りの人が流れや体験内容を説明してくれて、いまはちょうど火が上がり始めたところだそう。この炎がもっとあがってきたら、祈願の護摩木を自分で投げ入れる。
今日は供養デーだから、ここでも祈願は先祖供養。
護摩行は熱さが大変だと聞いたことがあるからもっと派手な火の量を想像していたけど、率直に言うと。意外と地味だった。
真言唱えたり法具使って印を結ぶとかあれこれやるのかと思っていたところ、真言は唱えてるようだけど動きは淡々と木をくべて燃やす、みたいな感じ。
僧侶がひたすら自分と向き合ってる雰囲気。
ほんと密教って自分のための宗教なんだなーと思う。衆生救済じゃなく即身成仏だもんね。
そうは言っても、実際に護摩木を投げ入れるのは正直、楽しかった。
気合い入れ過ぎて火の向こうに行ってしまい、係の人が拾ってくれてリトライでようやく火の中へ。勢いよく燃えるさまは、祈願を忘れそうな美しさだった。
その後も粛々と行は続き、終了までもうnしばらくかかるというので途中退場することに。
まだ今日は回るところがたくさんある。
山内観光スタート!
まずは、父方のお寺と所縁があるという寺院へ。
声をかけたら、なんと参拝はやっていないという。。。!
御朱印は頂けるとのことで、ひとまずお願いし。戻ってきた僧侶と、こちらを訪ねた理由など少し話をすると、檀家さんだったらいいよ、とのこと。でもいま現在檀家ではないしな、、、と思い、お礼だけ言って後にする。
なるほどー、観光客は受け入れないってところもあるとは聞いていたけど、自分所縁でそれを知るとは。
なんか脱力。そういえばお昼を食べたいけど、閑散期だからかエリア的な関係か、やってる飲食店を見かけない。
歩いていてちょうど見かけた酒屋さんでお土産の般若湯を買い、ついでにもうお昼諦めて飲むパン(ビール)を買って、バス停で待ち時間にいただく。乾いた喉にしみるぜ。
メインエリア、壇上伽藍
やっぱり見てみたかった大門からスタート。本当に「大きい門」!昔は、これが見えたら旅人は感慨に耽っただろう。
そのまま歩いていくと、参道的な風情のこじんまりとした街並み。
通りがかった胡麻豆腐屋さんでお土産を買う。生のもあったのでつまみ用にもひとつ。真空との違いが楽しみ。
そして壇上伽藍。
ここも門が大きい!仁王像?が4体も。
まず金堂は、ほんとに金!派手!
じっくり見たい…が、木の床を直に歩くから冷えて、ささっと一周して退出。
次に、三鈷の松。
あんまり見つからないと聞いていたけど、なんと…いっぱい見つけてしまった。
自分の分だけもらってあとは他の人が見つけるよう置いて帰ったら功徳が積めるかな?と思ったけど(煩悩?)、これだけ見つけたということは分け与えて良いということかと解釈。
周りの大切な人たちと、実家の仏壇にもあげようと思い、ありがたく頂戴する。
そしてメインの根本大塔。
立体曼荼羅、これが見たかった。うまく表現できないけど、本当に曼荼羅。宇宙。
大日如来の仏像ってそこまでいいと思ったことなかったけど、ここのは何だか好き。というかあの空間が落ち着く。
もっとゆっくりしたい〜!けど、もうだいぶ陽が陰ってきてる。
「阿吽」を読んでたから親しみ感じる智泉廟もお参りしたいところ、参道から微妙に外れてて周りそびれた。次回必ず。
ガチで冷えこんできたし、ごはんも食べてないから疲れてきたし、どうしようかなーと思いつつ金剛峯寺へ。
バスの時間まで10分。明日の朝早く来て今日は帰るか…と考えてたら、すぐそこにタクシーがいるのを発見!
じゃあ今日のうちにお詣りしちゃって、タクシーで帰ろうと思い至る。戻ってくるまでいてねタクシー!
急いで参拝と御朱印。堂内とか庭園とかすごいんだろうけど、ここも次回!
タクシーの運転手さんと話をしながら、そういえば今日の夜から明日の朝は雨って予報なんだった、と思い出す。
じゃあやっぱ今日行っておいてよかった。一安心。
宿坊
10分とかからず着いた。
チェックインの手続きは先にしていたので、すぐ部屋に案内してもらう。お坊さんじゃなく、フツーのにーちゃんでびっくり。事務とかは僧侶じゃなくてもいいのかな?
お大師様開創の由緒あるとこで、建物も古いからか、不思議な造り。土間に大釜がどーんとあったり、神棚もあるし。間に合わなかったけど、これなら院内ツアーも楽しそうだったなあ。
部屋にはこたつもストーブもあって、広くて快適ー!
早速おこたでビール飲みながら生胡麻豆腐で、ようやく一息。。。
生胡麻豆腐、すんごいなめらか!スーパーとかお土産屋のとは全然違う〜!やはり専門店。
しかし、さすがにいろんな疲れが。。。
寝てしまいそうだったし、ご飯までの時間も少しあったから先にお風呂。
そんなに広くはないけど、槇の浴槽が情緒ある。それとなんかお湯がすごくいい気がする。。。これが空海水?高野山の霊水パワー??ほんと温泉みたいにあったまった。
そして待望の夕食。
いつもの旅なら、宿ごはんより街の飲み屋の方が好きだけど、やはり精進料理は食べたい。というか、この疲れでは飲みに出るのも無理だった。(高野山にも飲み屋はあるんだ…次回は行きたい)
会場食だけど、個室になってて贅沢な気分。襖絵が凝ってる。
お膳は冷菜はすでに並んでて、席に着いたら係の人が揚げ物汁物など温菜を持ってきてくれた。
しかしこの係の人も、普通のおじさん。修行僧がいろいろやるんだと思ってたけど違うんだね〜。
麦般若を頼んで、いただきます♪
父にも一献して。風呂上がりのビールは美味い、、、今日は特に染み渡る。
まずはお吸い物。
!!!・・・お出汁が美味しい・・・!!!
なんといっても滋味深い。昆布と椎茸だけじゃない、複雑な味がする。昔何かで、高野山は寒さが厳しいから干瓢の出汁を入れるって読んだけど、それかな??
湯豆腐も出汁炊きで、めっっっちゃ美味しい。。。。
ほんと、しみじみする美味しさ。
動物性の美味しさが動だとしたら、精進料理はほんと静だな。
味わいの方向性が全く違う。
もうなんか、何もかも「美味しい〜・・・」しか出てこない。
精進揚げももちろんだけど、胡麻豆腐になます、炊き合わせ。味付け的にはどうしても甘めだから、塩とか醤油でちょっと調整しつつ。
そして酒も進むw
いよいよ般若湯頼もうと思ったら近くに人がいなくて、院内うろうろしてたらやっと人を見かけ、係の人を呼んでもらったら「あ、やっぱお酒いる?」ってw
しかもご自分もお召し上がりのご様子なので、また頼むの大変かなとおかわり分もと2合頼んだら飲みっぷりを気に入られた模様。
宿坊ってより大衆居酒屋のノリでちょっと楽しい笑
さすがに三の膳は量多くて、すっごいお腹いっぱい。
でもお米とお出汁が美味しくて、シメに湯豆腐の出汁で雑炊風にしたらこれまた旨いのなんの。
こんなに美味しくて腹十二分目まで食べたら、行にはなりませんわね。。。
部屋戻ってもちょっと飲むつもりだったけど、おなか苦しくて無理でした。
でももたれてはないのが植物性、油控えめな証拠。
ゴロゴロしながら今日の反芻。
いい供養ができてよかった。
本当に恵まれた、佳い1日だった。
今回は供養メインだったからゆっくりはできなかったけど、次は観光メインでのんびり来たいな〜。
ていうか、来る。結縁灌頂とかしたいし!お砂踏みとかいろいろやりたい。
そんなことをつらつら思っていたら、雨も降り出した。
お天気ももってくれて本当助かったなー。
いろんなご加護に感謝し、いつの間にか眠りに落ちた。