丁稚奉公から始まる異業種探索 〜3ヶ月でPdMがドメインエキスパートになる方法 〜
本記事は株式会社ログラス Productチーム Advent Calendar 2023の 10日目の記事です。
みなさんこんにちは!ログラスでプロダクト責任者をしている斉藤です。
今回は「丁稚奉公から始まる異業種探索」と称して #pmconf2023 で登壇をしてきたのでその内容を10分でキャッチアップいただけるようnoteにしてみようと思います。
3行でまとめると
新規事業開発や新規マーケット展開には深い顧客理解が必要
「丁稚奉公」を実施すると、顧客からの信頼と将来の確信を得られる。
みんなも丁稚奉公してみようぜ!
きっかけ: もっと多くの経営企画のみなさんのお役に立ちたい!
Loglassは経営企画の皆様により正確かつ迅速にデータを可視化する経営管理クラウドです。
要は経営にまつわるいろんな情報をExcelで頑張って統合している企業さんがLoglassを入れれば、情報の統合が楽になり、ぱっと必要なデータにアクセスできますよ。という環境を提供しており、おかげさまで「データ管理が早く簡単になった。」とご好評をいただいております。
最近になりこれまで多くご提供していた会社とは別の業種のみなさんからもお引き合いをいただくことが増えました。いわゆる別業種イノベータ層のみなさまから導入が進み始めてきたのです。
いただくご要望の幅も広がってきました。Loglassの場合、ターゲットを広げるとなると「経営の多様さ」がそのまま「情報のインプットとアウトプットの多様さ」につながるため、柔軟性と使いやすさの両立が難しくなってきます。
「良い景気を作ろう。」とミッションを掲げる以上、顧客の経営に役立つ物を作らなければ意味がありませんし、柔軟性を高めすぎいろんな皆さんが使えるようになっても使いづらく、正確さや迅速さが損なわれては意味がありません。
「〇〇業のみなさんでも経営の情報にアクセスするならLoglassで統合し、分析するのが一番やりやすい!なぜなら、、」
というプロダクトを作っていくことが重要だと考えました。
〇〇業のみなさんってどんな経営をしているの?
(※ 今回対象となった業種を〇〇業と少しぼかして書いています。)
私は〇〇業の経営したことがありません。明日からやってくれ、と言われたらExcelで同じことができるか?と問いがあれば間違いなくNOでした。
何を目的に経営しているのか。どんな商流なのか。どんな情報が重要でどんな情報は重要でないのか。普段どんな会話がなされていてどんな定量定性データを閲覧しているのか。
書籍で学んだり、ツテを辿って30社の対象業種の経営企画の方にヒアリングをさせていただいてもなお、憑依し切ることはできませんでした。
「そうだ、丁稚奉公に行こう。」
Q. 〇〇業の経営企画のみなさんを知るために最もいい方法はなにか?
A. 〇〇業の経営企画をしてみること。
丁稚奉公とは、職人のもとで弟子として働くこと。ターゲットユーザーになりきるのではなく、ターゲットユーザーになってみる。就職して仕事してみる。そうすれば自然と〇〇業の経営企画について理解が深まるのではないか?
丁稚奉公やってみた:やってみるまで編
手順はたった3個
1.会社のミッションや他業種での状況からターゲット範囲を定める。
⇒ここであまりにも離れるとプロダクトが離散してしまうのでNG。また、プロダクトがサステナブルに成長するためにもちゃんとマーケットサイズがあるかは大事。
2.ターゲットの中で顧客・未顧客のリストを作り、特に理解を深めたいお相手を選択。
⇒ 強烈なN1の情報を手に入れることになるのでできるだけペルソナど真ん中が嬉しい。ターゲットのエッジに居すぎないかは重要。
3.CSにも事情を説明し、顧客にプレゼンさせてもらう。
⇒ ここはできるだけ素直に伝える!もちろん大前提としてのお相手へのメリットも提示する。
(※ 付録として本noteの最後に実際に議論した際に作ったNotionの中身を貼りました)
計3社提案しましたが、最初の反応はみなさん
(苦笑)
でした。
でも、1社からぜひ週2日、月〇〇万円でオフラインで一緒にやりましょう!となりました。やってみるもんですね。
丁稚奉公やってみた:やってみた編
実施概要
・場所:名古屋、現地出社、ドアドアで2時間(新幹線ってすごい!)
・期間:3ヶ月、週2
・内容:
1.Excelでデータを収集、統合し経営会議資料を作る。
2.Loglassへの置き換えを一緒にやる。
3.予算策定、予実検査プロセスのアップデートを事業部のみなさんも巻き込んで実施。
4.事業部のみなさんとたくさんランチする。
⇒ 同時に残り週3を使って営業検証も実施
実施体制
・私 0.6
・デザイナー 0.1:構想をモックに落としてもらう
・業務委託
・コンサル出身、資料作りとか思考整理なんでもできるすごい人1名。AsIsまとめ担当
・PE出身、〇〇業の経営を変革した実績のある強い人1名。ToBe議論担当
⇒ 社内は最小コスト、足りない力は外部から調達。
丁稚奉公やってみた:結果編
7個の結果を得ることができました
1.強烈なAsis
来月の経営会議資料作って!と言われたら「はい喜んで!」と言えるレベル
2.周辺のお悩み
データを取り込むまでにやっている業務、データを収集する段階で大変なこと、データを見たいとなるまでのリアルな経緯、会話。
3.プロフェッショナルサービス開発の機運
そこそこ単価をいただけたサービスになった。これをそのまま事業にできるか?→BPO的サービス提供機会の発掘
4.周辺ステークホルダーのお悩み
事業サイドのみなさんとランチでどんな環境要因に悩まされているのかをしれた。
5.〇〇業のビジネス習慣に対する理解
ビジネスの流れと関連する他業種のみなさんについても理解が深まった。
6.アップセル
使い方やお悩みをリアルに知れたのでリアルな提案ができ、オプションをご契約いただけアップセルにも繋がった。
7.最高の顧客との関係性
Giveしあえる関係性であることを認知いただけたことで、「すいません明日1時間良いですか?」と聞いたら「いいよ」と言っていただけるようになりました。
1つの活動で7個の結果を得られるなんて、一石二鳥、三鳥。いや、一石七面鳥ですね!
丁稚奉公だけじゃ得られなかった結果
1.強烈なToBe
どうやったら〇〇業の経営をさらにご支援できるのか?
⇒ とある日本の〇〇業企業を5年で〇〇倍に成長させたPEファンド出身の人に業務委託をしてもらい、丁稚奉公先にも協力いただき、リアルケースとして扱い疑似経営会議資料を作り、議論して獲得した。
2.汎化できるのか?N1以外でも通じるのか?
営業検証を同時に行うことでこの仮説は汎化できるのか?は探索を同時に実施。ゴールであるSAM拡大はできるのか?をこの場で検証し続けた。
丁稚奉公は1人の半分を3ヶ月投資するだけで、PdMがドメインエキスパートになる手段
3ヶ月入り込むことで
社内で〇〇業経営企画にもっとも詳しい人になった。
30社と広く対話し、1社のとても深くを知れたので〇〇業経営企画のお客様からも色々教えてほしい!と言われるようになった。
プロダクトサイドにドメインエキスパートがいることで、〇〇業経営企画がラクになるプロダクト開発のための大事なピースが一つ揃った。
新規売上の機会にもなった。(アップセル & 業務委託報酬)
⇒ 強烈なAsisとTobeが見えたことで明確なビジョンを描く準備ができた
さいごに
ディズニーCEOのロバート・アイガーはCEO着任後すぐディズニーはコンテンツが肝でありそこが伸びればまた成長すると確信し、当時確執が大きかったピクサーとの関係性修復に乗り出し、みんなが絶対にできるはずがない。難しいと言われた買収に成功し、ディズニーを復活させました。
今回の丁稚奉公はそこまで無謀なことではないですが、誰に話しても「それは素晴らしいですね!やってみるべき大事な行動だ。」と言われます、でも「〇〇の理由があって難しそうだ。」という反応をもらいます。
やってみるべきと思ったらそこから手段は考えて徹底的に実行する。
この精神を大事にしていきたいと改めて思っております。
私はPdM部の部長として社内のマネジメントや採用にも関わる中このような行動に出られたのは、半年から一年のロードマップをチームのみなとともに定め、一人ひとりのPdMがものづくりをリードしてくれたおかげです。得られた重要な一次情報をもとにより素晴らしい未来を描き、協力してくれたみなさんに還元して行きたいと思っております。
みんなも丁稚奉公してみようぜ!
よもやま) pmconf2023はPdM全員でエントリして参加してきたよ。
弊社はPdMが私含めて5人おりますが全員エントリ、2名登壇、1名運営、全員参加をしてきました!
とても良い場でした。
学びを得つつも還元していきたいと思いますー!