応援したいものに、お金をつかう #未来のためにできること
「よく考えて買うものを決めるんだよ」
兄が、今日も父に釘を刺されている。小学生のときから兄は衝動的で、いい加減いい年なのだが、昔から両親の目を盗んできた兄に、監視の目が緩むことはない。
私も、無駄遣いはするなと言われ続けたものの、線引きがどこにあるのかわからない。そもそも、お金を貯めることが美徳とされていて、使うか貯めるかしかないのなら、使うことが必然的に”悪者”になってしまうのも致し方ないのだと思う。
母に聞いてみた。
「節約したくて節約しているわけではない。食べ物も本当は体にいいものや栄養をしっかり考えてあげたいが、すべては叶わない。
限られたなかでやりくりしなければいけないが、それは旅行や自分が好きなことをするときには、気にしないで使えるように確保するためだから。」
衝撃的だった。だが、納得感もあった。やはり、貯金そのものが目的じゃなかったんだ。
父にも聞いてみた。
「ママの本棚をよく見てみるといい。巻数が多い古い作品の1巻とか2巻とかは古本屋の値札シールが貼ってある。好きなことに使えるお金が少なかった頃は、古本屋で買ったり、友達に借りたり、図書館で借りたりしていた。
でも、今はもっと選択肢が増えた。例えば、新書は図書館で借りて、文庫化されてから買う。文庫を読んだ後、サイン入りの新書を探して買う。内容に応じて、中古や電子書籍の読み放題も利用する。
他にも、普段使いのマグカップを工房の焼き物にする。まずは、1000円前後の万年筆から始めてみる。国産のこだわった用紙を使う。」
切り詰められるものは切り詰める。でも、安ければ安いほどいいというものではない。自分が幸せに感じる選択肢にお金を使う。
なるほど、だいぶしっくりくるようになってきたと思う。私も、そろそろ投資や寄付にもお金を回そうと考えている。
儲かるか儲からないかではなく、自分が普段からお世話になっている会社や応援したい会社の株を買いたいと思う。
普段の買い物も、企業の考え方に共感するところのものを買う。人件費を必要以上にカットしたり、従業員への待遇が悪いニュースになるようなところはなるべく選択肢から外していく。
調べてみたら、「エシカル消費」と言うそうだ。私もそれで行こう。そして、続いてほしいコンテンツや好きな作家さんの本をちゃんと買おう。
私が小学生のとき、両親と一緒に作った貯金箱が、キラッと光ったように見えた。