見出し画像

【長歌】望月千年歌

道長や 星空みあげ
口開き 望月詠う
夜の宴 実資いえば
公卿らが 輪唱しては
繰り返す 杯かわし
うみ映える 月と人影
鯉も酔い 水面ゆれたり
火は燃えて 辺りは照らす

頼通も 御父の歌詠み
気の付けば 今宵の月は
十六夜の 少し欠けたる
遅れたり 寒風吹いて
酒仰ぐ 隆家ひとり
北叟笑み 夜が深まれば
教通は 老いたる御父の
目代わりて 酒注いだる

公卿らが 帰りて会も
閑散し 跡は遺らず
一千年 時は流れて
世は移り 末法の時代
杞憂かさて 未だに来ざる
恐れ遠く 宴の卿ら
裔今や 名をば知らざり
嗚呼されど 星空みあげ

月のある 今宵もそこに
月のある 今宵もそこに
見て酒を飲む

いいなと思ったら応援しよう!