中国の正月料理とは?”おせち”じゃないよね?
中国に住む日本人は正月気分が2回味わえる
中国で正月と言えば春節である。別名旧正月と言われて、毎年期日は変わるが、大体1月末から2月初旬が春節にあたる。中国に住んでいる日本人は皆さん少なからず違和感を覚える人も多いだろう。なんといっても、正月が2回来る様なイメージとなるからだ。
<写真>春節に向けて、赤提灯が街中に飾り付けられてゆく。
我々の感覚は1月1日が正月なので、大晦日や元旦には何か感慨深い気持ちになり、元旦から新年だからガンバロー‼となるのだが、中国人にとっては年号が変わるのみで、特別な感情はないらしい。中国人にとって正月とは、あくまで春節であり街の飾り付けも春節に向けて、街全体の装飾がガラガラ変わって、ボルテージが上がっていくのである。よって、1月は心機一転してモチベーションが高い日本人と、春節を楽しみにして浮足立つ中国人が入り混じるのである。その両者が集まる職場には何とも言えない空気が流れるのである。お互い動機が全く違うが、何となく高揚している感は確かに感じるのが1月である。
若いスタッフは実家に帰省し、もれなく2〜3kg太るのが通例である。紅包(ホンバオ)=日本で言うお年玉も大人数が集まるので、ふんだんに散財するのもこの時期である。
また、こういった背景もあり、中国ではこの2月の春節の前後も含めて1月~3月は出稼ぎの人々は故郷に帰ってしまい、都市部の工事などが中断されたり、延期されたりする事もしばしばある様だ。さらに企業にとって深刻なのは、春節を機に職場に戻らなくて退職する人や転職する人も多いのもこの時期である。故郷に帰って親族にあれこれ入れ知恵されたり、新しい仕事を紹介されたりするのだろう。中国でいう鬼門の月かも知れない。日本の商売では2・8月(ニッパチ)が悪いという説をよく聞くが、2月に関しては春節も由来しているのだろうか!?
中国にも正月料理ってあるの?
日本の正月と言えば、おせち料理である。それぞれの食材には意味があり、昔母親から『昆布巻きはよろこぶ、黒豆は健康で黒字に、くわいは芽が出るように…』などなどと教えられたものだ。因みに「おせち」とは御節料理のことで、季節の変わり目(=節)の大切な日(=節日)をお祝いする行事(=節供、節句、節会)のために、神様にお供えする料理(=節供料理)という意の「御節供(おせちく)」を略したものである。日本ではこのような意味があり、ふと気になって、中国でも何か決まったものを食べるのか!? と思いスタッフに聞いてみた。
私:『中国でも正月に食べる料理ってあるの?』
スタッフA:『ありますよ!水餃子(スイジャオズ)と汤圆(タンユエン)と呼ばれる団子のスープがあります。』
私:『何か意味もあるの?』
スタッフA:『 この2つの料理は1つの皿にみんな入っているでしょう。家族みんな仲良くの意味です。』
私:『な~るほど‼』
スタッフB:『あと干し肉と自家製ソーセージです。』
私:『干し肉?なんか意味あるの?』
スタッフB:『さあ…?』
この様な会話であった。干し肉について、気になってネットで調べてみた。そうすると、四川省の風習で、寒い季節に備えて作っておいた保存食をお正月にパーッと食べることで景気よく新年を迎えるとある。また、四川、重慶は、除夜に蒸し肉を食べるほか、火鍋も付き物。元日の朝は団子を食べ、一家団欒を意味します。重慶人の新年には蒸し肉と唐辛子の漬物は欠かせないものです。とあった。
どうも中国にも日本のおせち料理と同じ様に正月料理があるようだ。気になって少し調べて見たので、簡単に紹介しておこう。
年年有魚(ネンネンヨウユー)
大晦日の夕食には、魚が不可欠な料理の一つです。魚は中国語で「余」と同じ読み方で、「年年有魚」すなわち「年年有余」で、毎年いい収穫があるという意味です。
<写真>中国の正月料理の魚。年年有魚(ネンネンヨウユー)
餃子(ジャオズ)
餃子は北方人の大晦日の夕食で不可欠な料理です。中国の北方では、大晦日の夜に最も大切なのは家族の人たちが一緒に餃子を作ることです。餃子は一般に大晦日の夜の12時前に作り、子の刻で食べられ、その時が旧暦正月一日の始めです。餃子を食べるのは、喜び、団欒、縁起が良いという意味です。
<写真>中国の餃子(ジャオズ)中国では水餃子が一般的。主食であり、ご飯と一緒に食べると驚かれることが多い。
春巻(チュンジュェン)春巻は春餅と呼ばれ、春節に春巻を食べるのは中国の特色で、南方と北方には共にこの料理があります。春餅、春巻は春の象徴です。春餅を食べるのは肉と野菜を包み、頭から尾まで食べ、終始一貫という縁起が良い意味です。
<写真>中国の春巻きベトナム料理でも有名。ベトナムも旧暦であり旧正月である。
腊肉(ラーロウ)
腊肉は湖南省、四川省、広東省、広西省などの名産品で、数千年の歴史を持っています。7~15日間後、風通しのよいところにかけて乾燥します。いわゆる干し肉。四川省の風習で、寒い季節に備えて作っておいた保存食をお正月にパーッと食べることで景気よく新年を迎える。
<写真>中国の干し肉。腊肉(ラーロウ)いわゆる干し肉、ソーセージのこと。
年糕(ネンガオ)正月餅
春節、中国の多くの地域では年糕を食べなければなりません。年糕また「年年糕」と呼ばれ、「年年高(ネンネンガォ)」と同じ読み方で、仕事と生活が年々高くなるという意味です。
<写真>中国の餅。年糕(ネンガオ)正月餅
元宵団子(ユエンシャオトュアンズ)元宵団子は春節料理の一つとして、特に、旧暦の十五夜に欠かせない食べ物です。今元宵団子を十五夜ではなく、春節の食べ物であるという人は多いです。
<写真>中国の甘団子。元宵団子(ユエンシャオトュアンズ)
地方によっては、もっとたくさん各地の名産品を食べるようだが、一般的なものは上記の様である。
来年こそは『コロナに負けない!』
中国の正月料理を調べてみたが、それぞれ料理に意味を込めているのは中国も日本も同じであった。もっとも日本文化の歴史を辿れば、少なからず中国から伝来しているとしたら、それも当たり前であろう。正月料理というのは世界共通でこの様に料理に意味があるのであろうか⁉ 少し興味が湧いた一日であった。
今現在、世界中がコロナ禍に見舞われる中、来年をこそは『コロナに負けない』的なメッセージを込めた料理は無いものだろうか!?『コロナ喰う』⇨『コロッケ』⇨『・・・』
アカン…またもやボキャブラリーの少なさと発想力の無さを披露してしまった様である…。『コロナに負けない料理』の発見は、この記事を読んだ方に任せることにしようwww。
なにはともあれ、皆さん今年も良い年になる様に頑張りましょう‼︎ 加油‼︎
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