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うるせぇんだよ生卵
「うるせぇな」という言葉が最後に浮かんだのはいつ頃だろうか。
異論や世論に上手く言い返せない不甲斐なさを感じていた頃、余裕の無い頃にはよく浮かんだ言葉だったと思う。
思春期や反抗期の象徴として使われる歴史を見るに、多くの人もそうなのだろう。
…。
…。
…思い出した。
「生卵と納豆は栄養の相性が悪い」
「卵かけご飯はビタミンを破壊する」
といった言説を聞いた時に
「うるせぇな」と思った事を。
その味や食べ方を楽しんでいる所に
「その食べ方、実は…😅」
と水を差されたような気がした。
というか水を差された。
昔からのやり方を否定される事に苛立つ老人も、こうした気持ちだったのかもしれない。
生卵白内に含まれるアビジンという成分は、ビオチン(ビタミンB7)の吸収を阻害する。
これはニワトリに生卵白を与えた際、食事中にビオチンが含まれているにも関わらずビオチン欠乏を起こした事から発見された。
何故こんな意地の悪い仕組みになっているかといえば、要は卵の中でビオチンを使い増殖しようとする細菌に対抗すべく生み出された防御機能なのだ。
そっちの事情は分かった。
卵には卵の正義がある。
食われるために産まれたのではなく
生まれるために産まれたのだから。
仕方のない話だ。
それをこっちが勝手に利用しようとして、卵は健康食品、完全食品などという言葉で祭り上げていた。
しかし、全てがそう都合良くはいかなかった。
それだけの話だ。
自分はそれを分かった上でも時折、生卵を食べる。
その行為でのみ満たされる、食の欲が確かにある。
また、ビオチン摂取を阻害するとしても、生卵白でだけ得られる栄養素や利益、作用もあるのではないかと考えているからだ。
後者は完全に希望的観測寄りの"感想"でしかないので、思い切って「食べたいから生卵を食べる」と開き直る方が潔い気もするが。
大事な事を書き忘れていたが、ビオチンは欠乏症が起こりにくい。
そのため、生卵を毎日10個近く食べたりしなければ健康上の問題(卵白障害)も起こりにくいとされている。
タンパク質の一種であるアビジンは熱によって変性、失活する。
卵白が白くなればその機能を失うという訳だ。
温泉卵ほどの半熟状態になれば、生卵よりも消化が良くなる上に、アビジンも失活する。
レンジでアツアツにしたご飯に卵白を入れて半熟にする、といった食べ方を最近はよくしている。
「納豆+生卵+ご飯」の組み合わせなら、卵白をご飯に入れてレンジで加熱。(爆発には注意)
納豆のパックにタレと卵黄を入れてかき混ぜる。
その際は少しだけ麺つゆや白出汁を足して味を濃くすると美味しくなる。
こちらは長らく続けている食べ方だ。
ちなみに、アツアツのご飯に納豆を乗せて食べると、今度は有力酵素とされるナットウキナーゼが熱により破壊される。
ナットウキナーゼ自体が眉唾言説の多い成分だとはいえ、マジで「うるせぇな」