準絶滅危惧種カネコトタテグモとの遭遇
前回
2020/11/01
アオオサムシの越冬準備を観察した林道斜面にて本命の虫、準絶滅危惧種カネコトタテグモを探していると、大型のトビズムカデに遭遇した。
後にこの場所で同じく準絶滅危惧種のキシノウエトタテグモと遭遇する経験をしたが、茨城県レッドデータブックではキシノウエの減少理由として開発に加えてムカデ等による捕食圧への懸念が挙げられていた。
トタテグモの名を冠する蜘蛛の多くは一度巣を作った場所から自発的に動く機会が少ないため、ムカデのような捕食者に侵入された際は抵抗手段もかなり限られてしまいそうだ。
開発による環境の変化で生息域が狭まった際には、捕食者からの攻撃が集中し激減してしまう事が考えられる。
カネコトタテグモは地中に潜み、巣の入り口に観音開きの扉を作って周辺を通る獲物を待ち伏せするという生態を持つ。
林道の崖や木の根際、山中の階段等でよく見られるが、気にして凝視しなければ見つける事は難しい。
自分が初めてカネコトタテグモに遭遇した際は上記のようにたまたま巣穴の扉が開いていた。
当初は本種だとは思わず、扉を作らない蜘蛛が単に穴に潜んでいるのだと勘違いしていたが、撮影した直後にさっきまで存在した穴が忽然と消えていたために本種の生息にようやく気付けたという経緯がある。
・カネコトタテグモとキシノウエトタテグモの扉の違い
カネコトタテグモの生息に気付いて以降は少しずつ巣を見つけるスキルが上がっていった。
基本的には前述の通りに林道の崖や木の根際、山中の階段のような環境で、『縦に走る1cm以下の裂け目』を探すと見つかりやすい。
また、すでに家主が存在せず空き家となっている巣穴が残り続けている場合も多い。
特に繁殖期になると交尾のために巣から出て徘徊するオス個体も増えるので、より多くの空き家を発見できる。
一度扉が半開きや全開のままで放置された巣穴を発見できれば、閉じた状態の他の巣穴も見つけやすくなるだろう。
Twitterにおいては春頃に徘徊するオス個体が確認された例が複数投稿されていた。
孵化後のカネコトタテグモは母親の巣穴から出て散り散りになった後に営巣をするが、その際は生まれた巣穴からほとんど離れていない場所へと棲みつくケースも多い。
以下の画像では大きな巣穴を中心として、大小様々で数え切れないほどの巣穴(縦の裂け目)が存在する。
次回は庭でカネコトタテグモやキシノウエトタテグモの捜索をした際のエピソードを掲載予定。
次回
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