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Suicaに継ぎ足される恩


Suicaが使えるタイプのクレーンゲームにて、プレイついでに残高を確認する。


しばらく前にフォロワーの結婚式に参加した。

その際に新婦の母から交通費をいただいたので帰りにSuicaへとチャージしたのだが、それ以降はSuicaを使う度に、あの時いただいた交通費がまだこの中に残っているような感覚がある。


普通に考えればチャージと使用を幾度となく繰り返したSuicaにそのようなものが残っている訳が無いが、現金と異なり非実体データ化された残高だからこそ、その完全な消失を直接目にする事がないため、『いただいた恩』という信仰も投影し続けやすいのだろうか。
Suica及び残高自体が『いただいた恩』の依代となっている。

もはや長年継ぎ足し続けた老舗のタレに近いのかもしれない。

Suicaは残高を完全に使い切る事なく次のチャージをするため、1バイトくらいはあの時いただいた金額と共に『恩』が残っている気がするし、現金では信仰対象が物理的に目減りしていくうちに『恩』も忘れていきやすい気がする。

そういえば、老舗のタレは何回かの継ぎ足しで中身が完全に入れ替わるため科学的には無意味といった説を何度も聞いたことがあるが、どれだけその理論を聞かされても俄かには信じ難い。
誰もその依代の完全な消失を目撃していないからだ。

流石に少しくらいは何かが残っているだろう。
本当に何も受け継がれないのなら、1バイト程の情報だけが信仰として残り続け、それを食わされている事になる。




Suicaを老舗のタレに例えた事で、子供の頃に作ったこのSuicaの使用歴がすでに15年以上になっている事を思い出した。

あまりにも耐久性が高すぎる。
本当に依代や呪物になれるポテンシャルがあるのではないだろうか。

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