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アオヘリアオゴミムシ置き場
絶滅危惧ⅠA類(CR)
アオヘリアオゴミムシ
Chlaenius praefectus Bates, 1873
を2022年に捕獲、観察、飼育繁殖した際のツイートを備忘録も兼ねてまとめました。
アオヘリアオゴミムシの羽化
ついに絶滅危惧ⅠA類アオヘリアオゴミムシの飼育繁殖に成功致しました。
— トモロウ (@Day_after___) October 18, 2022
当飼育は世界唯一の成功例と思われる論文を参考に150種近くの餌生物を試し、その中で全く異なる餌を与え羽化まで辿り着けた本当に貴重な成功例なので、何かしら記録に残すかもしれません。
他の絶滅危惧種にも転用できそうです。 pic.twitter.com/Erg3IbXyTB
透けた翅も少しずつ色付いてきました。
— トモロウ (@Day_after___) October 19, 2022
フラッシュを抑えた画像3枚目が肉眼で見える本来の色彩に近いです pic.twitter.com/IP9rZJnns5
アオヘリアオゴミムシの蛹
こ、これが幻の生物たるアオヘリアオゴミムシの蛹…ゴール目前まで来ることができました😭
— トモロウ (@Day_after___) October 9, 2022
たった一つの論文以外での繁殖成功例を聞かず、その執筆者の1人からも非常に難易度が高いと伝えられた本種のこの姿を拝めたのは人生においての誇りです
もしかすると研究者以外で日本初の観察例でしょうか…😭 pic.twitter.com/c7YVmPz9Rj
羽化が近づいてきた幻のアオヘリアオゴミムシ蛹。
— トモロウ (@Day_after___) October 17, 2022
つるっぱげに産毛の虫という奇怪な出立ちですが、土に直接触れないように背面は多くの毛が生えています。
画像1枚目は2.3枚目の個体より1日遅れて蛹になりましたが1日違うだけでもかなり体色が異なりますね…羽化が近づくほど、より色付いてきています pic.twitter.com/Yp25EnM36B
アオヘリアオゴミムシの幼虫
幻の幼虫がついに孵化してしまった…
— トモロウ (@Day_after___) August 24, 2022
昆虫館の繁殖例はありますが、あまりにも他の成功例を聞かないので相当な難関種なのだと思います。かなり詳細な資料があるのに、です。
自分はどこまで育てられるだろうか………。 pic.twitter.com/vF3YEyyNXI
幻幼虫達、コガネやミルワームを食べてくれてはいますが部位やコンディションによって全く反応しなかったりしますね…あと、餌として本命ではないかのような素振りも多々ある。
— トモロウ (@Day_after___) August 26, 2022
1齢での死亡率が本当に高いと聞きます。
私有休耕田から土をプラ船一杯分持ってきましたが、先行きがかなり不安です…。 pic.twitter.com/UmFmQQDkWa
幻幼虫が孵化してから毎日を苦しみながら過ごしていますが、恐ろしい事にまだ5日しか経っていないらしい。
— トモロウ (@Day_after___) August 28, 2022
体感では10日くらい苦しんでいる感覚なのですが……… pic.twitter.com/HjzbVj4cr8
幻の幼虫に対し、100種類を越える餌生物を試しましたがほぼ惨敗…。
— トモロウ (@Day_after___) August 30, 2022
しかし、論文にも前例が無いとある代用食を与えたら孵化時の2倍近い体長に膨れ上がるまで餌を食べてくれました😭😭😭😭😭😭😭
この餌も以前は普通に無視されたというのに…!
この後、なんとか無事に育ってくれるといいのですが…。 pic.twitter.com/RqxREcDRxL
血の滲むような苦労の末、幻の幼虫が2齢まで成長いたしました😭😭😭
— トモロウ (@Day_after___) September 2, 2022
本当に初齢に比べてテールが小さくなっている…
恐らくは、ここまで辿り着けたのは人類の中でも一握りなのではないでしょうか…!?😭🙏
しかし新たな餌を見つけ、ここに至るまでに半数が亡くなっております…今後も不安です😭 pic.twitter.com/y7IbkULJLN
幻の幼虫は新規代用食のみで2齢へと成長した個体も現れはじめました。2枚目は餌が皮だけになるまで一晩中食べ続けた個体。
— トモロウ (@Day_after___) September 5, 2022
それでも孵化、脱皮直後は餌を食べない場合も多々ある。
この虫に関する論文書こうかね、
"日本人の鬱病の原因"として… pic.twitter.com/89O9T2UcAT
1枚目の孵化当日の幼虫に比べて、新代用餌のみの捕食でここまで膨らむのは本当に期待値が高い。
— トモロウ (@Day_after___) September 1, 2022
代用餌から実際に生息地で食べているものも推測できるかもしれないが、予想している生物の採集難易度が非常に高い…。
そして比較的大型になる本種が3齢時に捕食できる相手がいるのかが疑わしい pic.twitter.com/wksvmybyRK
幻の二齢幼虫、、、新規代用食でここまで大きく膨らんだのは本当に快挙なのではないでしょうか………
— トモロウ (@Day_after___) September 7, 2022
野外で捕食している可能性はかなり低いですが、入手難易度が高いわけではなく管理も容易な部類なので来年以降も試せそうです。
脱皮不全の可能性は常にあるので怯えながら世話をしています。 pic.twitter.com/AthaRE38LB
オアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア😭😭😭😭😭😭
— トモロウ (@Day_after___) September 27, 2022
幻の幼虫がついに3齢へと成長した……………………
ここまで来て撮影をできたのは、もしや日本では他に石川ふれあい昆虫館の先生方だけなのでは!?!?!?!?
羽化は厳しそうでもやれるだけやってみます pic.twitter.com/7mPdG6JbO2
脱皮前の2齢も軽く撮影していたので比較
— トモロウ (@Day_after___) September 27, 2022
だいぶ痩せてガッチリしました pic.twitter.com/ok6s1dbY6M
幻の絶滅危惧種、2匹目の3齢幼虫が現れました😭😭😭
— トモロウ (@Day_after___) September 28, 2022
そして新規代用食への食いつきも悪くないです。1時間以上捕食しています
👴👴👴
🙏🙏🙏
しかしここに至るまでに色々試しすぎたためか、約30匹中3匹しか生き残ってないので、失敗を覚悟の上で開拓していきたいと思います。 pic.twitter.com/M4WixXSao3
帰宅したら幻の3齢幼虫2匹が餌を食べてパンパンに膨らんでいました。
— トモロウ (@Day_after___) October 1, 2022
新規餌でここまで成長したのなら…仮に脱皮不全、羽化不全になってしまったとしても、きっと学術的な報告の価値はあるでしょう。
コツも少しだけ掴んだので来年以降は10匹以上をここまで育てられるかもしれません。 pic.twitter.com/phHwR5b0Gz
幻の幼虫がとうとう蛹室を作りました……………
— トモロウ (@Day_after___) October 4, 2022
一月以上悩み抜いて辿り着いた新規餌のみの給餌でここまで来れました……(むしろこれ以外の餌を与えた個体の方が落ちてしまいました)
現在、2個体が蛹室を作りましたが、なんとか最後まで無事に育ってほしいです。 pic.twitter.com/oaLeF9IYr2
先日アップした幻の幼虫の蛹室を覗いた際の映像。
— トモロウ (@Day_after___) October 5, 2022
体の内部を溶かして蛹になろうとしている最中にストレスを与えてしまうのは本当に良くないと思うので、しばらく観察は控えます…
今回の手法で前蛹に至ったのは世界初だと思われるため、せっかくの個体をこちらの不手際で失敗させたくないです😭😭 pic.twitter.com/xLdfr87Z54
アオヘリアオゴミムシ3齢幼虫の脱皮殻標本
アオヘリアオゴミムシ終齢幼虫脱皮殻と野外採集個体成虫を比較。
— トモロウ (@Day_after___) October 23, 2022
脱皮殻の裏面も見やすいように三角台紙を使おうかと思いましたが、各部位がかなり脆いので四角台紙に接着しました…
代用食メインの飼育だったためか初めての繁殖個体は野外個体の胸部ほどまでしかない全長なので来年はさらに煮詰めたい pic.twitter.com/Lumzipk4hx
アオヘリアオゴミムシの産卵行動
泥で卵を包んだ"マッドセル"を作っている最中のアオヘリアオゴミムシ。
— トモロウ (@Day_after___) September 5, 2022
この地で50年以上発見されなかったとされるこの虫が、しっかりと繁殖をしている姿を見た時には…心の底から感動してしまった…。
この生き物に辿り着けず亡くなった趣味人も多数居るというのに。 pic.twitter.com/uLi6jVYLbn
産卵床をセットしたら一晩でかなりの数を産んだ。持ち腹ならここまでは簡単みたいです。
— トモロウ (@Day_after___) August 17, 2022
後で個別管理用のケースを用意しなければ…。
無事に孵化したとしてもタイムリミット1週間以内に代用食等を調達するのもまた骨が折れますね。
昆虫館以外では目立った繁殖成功例も聞かないのが不安…。 pic.twitter.com/t8mMmRhRIl
アオヘリアオゴミムシ多産地での捕獲記録
うおおおおおおおおおおおおおおおおおお新産地アオヘリアオ発見😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭
— トモロウ (@Day_after___) September 9, 2022
幻の絶滅危惧種がまさか子供の頃から来ていた場所に居るとは😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭 pic.twitter.com/Jquj5I2toJ
昨晩、逃す前にまとめて撮影したアオヘリアオ。全てオス。
— トモロウ (@Day_after___) September 6, 2022
たった1時間の観察でしたが、当地で半世紀以上生息が確認されなかった幻の絶滅危惧種と言われたのが不思議なほどに大量に見る事ができた…。
反射する青縁と虹色があまりにも粋すぎる。 pic.twitter.com/Ud20f3tdCl
昨晩の新産地幻昆虫はテネラル含めて2匹でした。他にもテネラル報告があるので少なくとも8月初めにはすでに孵化している計算になりますね…。
— トモロウ (@Day_after___) September 10, 2022
ポケGO開いたら昨日は14キロ歩きました通知が来ていてビビりました😭 pic.twitter.com/VGGmDvD9To
アオヘリアオゴミムシの標本
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関連記事
アオヘリアオゴミムシ成虫に寄生するラブルベニア?
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野外採集個体を複数飼育していたら、いくつかの個体に産毛とは異なる毛のようなものが発生していました。
しばらく乾燥している環境で管理したためか、萎びているように見えます。
仮にラブルベニアならば湿潤環境では本来の毛束のような状態になっていたはず。
昆虫の体表に寄生する菌類ラブルベニアは多くのゴミムシにも寄生する事が知られていますが、これもそうなのかもしれません。
大抵のアオゴミムシ類に共通して寄生するものかもしれないし、アオヘリアオゴミムシにのみ寄生するタイプというのも理論上はありえる…かも。
何か知っている方がいらっしゃいましたらTwitter等でご連絡くだされば幸いです。
追記:専門家との連絡が取れました。感謝いたします。
参考文献
・飼育下におけるアオヘリアオゴミムシの繁殖生態
渡部晃平 ・福富宏和 ・須田将崇
http://coleoptera.sakura.ne.jp/SayabaneNS/sayabaneNS(20)-27-32.pdf
・月刊むし No.616
2019〜2021年に関東地方で採集されたアオヘリアオゴミムシの記録
中村涼・源河正明・谷島昴・法師人響・西田恒介・平井文彦