パレードが始まる。
空は真っ青で、
太陽がまぶしく光っている。
僕はアパートメントの16階に住み、
パレードのため
多くの人が集まり始めた広場を見ている。
パレードの開始時刻はまだまだ来ないのに、
もうすでに広場を埋め尽くそうとしていた。
ビル群はどれも派手な色のペンキが塗られていて、
そして、どのビルも劣化している。
広場は、この国を代表する広場で観光名所になっている。
昔あった革命の名前がつき、英雄の銅像がある。
広場では、
ときどきクラッカーが鳴ったり、
花火が打ち上がったりする。
ステージでは、
男がマイクテスト、マイクテストと言いながら、
陽気に歌い始めると、
大きなスピーカーからギターの爆音が鳴り始める。
本当に、今日、あの世界のロックンロールバンド、ローリングストーンズがあのステージに来るんだろうか。
そう思うだけで胸が破裂しそうになる。
ニュースでは、
昨夜未明に彼らは専用機でこの国に着いた報道していた。
彼らはこの国に降りて夜気を吸ったとき、
何を想っただろうか。
いま、
太陽の光が、
爆音の熱狂で燃え上がろうとする人々を包み込んでいる。
白く、銀色に。
広場の人々は踊り始め、
いくつも花火が打ちあがる、
大きな歓声があがる、大道芸人が炎を吐き出す、
ギターの爆音の中で、ドラムとベースも加わり、音楽を奏でている。
もしかしてパレードは開始時刻よりも早まるかもしれない、
さっきから大きな風が出てきているようだ。
大きな風は、人々の熱気の中で炎を燃え上がらせるに違いない。