こだわる日常
引きこもりがちの生活がしばらく続いて、少し元気になってきたから日常を充実させたくなった。
珈琲にこだわってみよう。
珈琲についての本をいくつか買って、図書館で借りたりもして、まずは自分で淹れるためのお勉強をすることにした。
淹れ方とか、豆の品種、お湯の温度に、使う器具、etc.
想像以上に奥の深い世界だった。
最近は自分で豆を挽いてみたくなって、初心者向けの丸洗いできる手挽きミルを買ってみた。
簡単に組み立てられて使いやすかった(豆によってはちょっと力がいるけど)。
外に出るのは苦手だけど、コーヒー豆を買う時はわくわくした。
ごりごりごり、心地よい音が部屋に響いて
ああ、いい香り、ふわり。
沸騰したお湯をケトルに移して、フィルターをリンスして、
挽いた豆を入れて、表面を整えて、カップも温めておく。
この一つ一つの動作が、ちょっぴり寂しいけど優しくて温かい時間を作っている気がする。
まずは蒸らし。
お湯をのせてあげると表面がゆっくり膨らんだ。
1カ所からぽこぽこと空気が抜けていくのもなんだか可愛らしい。
ふくらみがある程度落ち着いたら、1湯目、2湯目、3湯目…
カフェの店員さんになった気分で、はかりを見ながら丁寧に、誰もいない部屋でちょっと格好つけてケトルを回していく。
今日もおいしい珈琲を淹れることができた。きっと豆がいいんだろう。
カップを口元に近づけて、しばらく香りを楽しんだ。
主張しすぎない、けれどもしっかりと深い苦み
さっぱりと控えめな酸味は私好みの味だ。
いつか、大好きな誰かのために珈琲を淹れたいって思えるようになって、その人の好きな味を一緒に好きになれたらいいなあ。
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