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まいにちがとくべつ。

「あしたは最後のお庭遊びなんだよ」

「あしたは下のクラスの先生と特別に遊ぶの」

卒園まで残り1週間。保育園からの帰り道、いつもは大きな声で歌を歌いながら帰る長女が、最近はなんだか饒舌だ。

保育園の年長クラスでは週のはじまりの月曜日に1週間の予定をみんなで確認するのだけれど、どうやらみんなと過ごすのもあと少しらしい、、とようやく気づいた様子。担任の先生も最後の期間はいつも以上に丁寧に「この日で◯◯遊びは最後だよ」と教えてくださるようで、それを復唱するかのように帰り道のお話がはじまる、というわけだ。

すごいねぇ。毎日楽しみがいっぱいで嬉しいねぇ、と背中越しに返すと決まって返ってくるのはこの言葉。

「そう、あしたは特別になんだよ」

月曜日も火曜日もそして水曜日も。嬉しそうにこの言葉を繰り返す長女を見て思った。

毎日が特別っていいなぁ。

***

慌ただしい毎日の中で時間に追われて、ついいろんなことを「こなす」ことに必死になってしまったりもするけれど、よく考えたら同じ1日なんて二度と来なくて、いつの間にか子どもはぐんぐん大きくなっていて。日々のことをぜんぶ覚えていたいと思うのに、記憶はさらさらと手から砂がこぼれ落ちるように消え去ってしまう。

そうだった。そんなことを覚えていたくてわたしは書き始めたんだった。

しばらく忘れてしまっていた気持ちを思い出しながら、引き続き長女の話に耳を傾ける。そうだ、4月の始まりの休日はなるべく予定を入れないでゆっくり過ごそう。彼女に始まる新しい毎日を、とくべつな毎日をしっかりと記憶していきたいから。

どうかあしたも、とくべつな一日を楽しく過ごしてね。

そんなことを思いながら気づけば夢の中。陽の光に目を覚ませばすっかり朝だ。顔を洗って服を着替えて。さぁ、今日も、とくべつな1日がはじまる。


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