クラスの小さなヒーロー「凸凹ちゃんの影響」
支援員のともです。
今日は、私のクラスでの取り組みと
「凸凹ちゃん」についてお話しします。
クラスの現状
今のクラスの子どもたちは、これまで
関わってきた中で
「一番手のかからない子どもたち」です。
約束を守り、指示されたことを
きちんとこなします。
例えば、先生が少し席を外した時も
「ちょっと待っててね」と言われれば
じっと待っています。
普通なら友達とおしゃべりをするところですが
静かに待つことができます。
しかし、困ったときに「何も言えない」子が多い
自分たちで考えて行動できないのが課題です。
例えば、プリントが返され、どうすればいい
かわからない。そんな時に友達や先生に
聞くことができません。
家に帰ってから
「授業中に困ったことがあったけど言えなかった」
と話す子もいます。
「分からないときは友達に聞いてもいいよ」
と先生が言っても
かたまってしまったり、しくしく泣いている子が多くいます。
勉強はできる、指示されたことはできる。
でも困ったときに「どう言えばいいかわからない」
のかもしれません。
ある凸凹ちゃんとの出会い
以前、情緒学級で担当していた凸凹ちゃん。
年齢の割に難しい言葉をたくさん知っていましたが
意味を理解していない言葉も多く
正しく使いこなせていませんでした。
また、簡単な言葉を知らないこともありました。
そんな凸凹ちゃんも、困ったときに
何も言えませんでした。
勉強はよくでき、課題はすぐに終わるのに
どう言えばいいかわからないのです。
やんちゃワークの導入
ある日「授業中にトイレに行きたくなったらどうする?」
という質問をしました。
すると凸凹ちゃんは
「先生、トイレ!」と答えました。
私は「先生はトイレじゃありません!」
と笑いながら
「どうしたいの?」と聞き直しました。
すると凸凹ちゃんは「トイレに行きたい」
と答えました。
そこで、「先生、トイレに行きたいです!」と
言えばいいんだよと教えました。
このようなやり取りを繰り返すうちに
凸凹ちゃんは困ったときに
「どうしたいか」を言えるようになりました。
わざと「先生、プリント!」と言って
「先生はプリントじゃないよ!」というやり取りを
楽しむことも増えました。
スキルトレーニングの効果
この経験を踏まえ、クラス担任の先生に
「やんちゃワーク」を提案しました。
「やんちゃワーク」は、学校や日常生活での
様々な状況について「こんなときどうする?」
と考え、言葉にして伝える練習ができる
スキルトレーニングです。
先生からも「とても勉強になります」と好評です。
今では、先生がクラスで毎日1つずつ
学校生活で起こり得るシチュエーションを選び
みんなで取り組んでいます。
その結果、朝の自習の時間に課題が終わったけれど
先生がいないさあ、どうする?
誰も質問しない、何も言わない。
そんなとき凸凹ちゃんが
「課題を出して、読書すればいいんじゃない」と
言ってくれました。
すると、みんな「そっか~」と動き出しました。
凸凹ちゃんの成長
普段は思ったことをすぐに口にする
凸凹ちゃんですが今のクラスでは
その一言がみんなに気づきを与えています。
私は心の中で
「凸凹ちゃんナイス!!いい仕事するね」
とガッツポーズです。
子ども達の成長
スキルトレーニングによって、少しずつ
「困ったときにどうすればいいか」がわかってきた子どもたち。
クラスにはまだ伝え方を教えても
「メソメソ泣いてしまう子」もいます。
そんな子にはまず、私から
「なにか困ってる?」と声をかけています。
子どもがうまく伝えられないときには
選択肢を与えて答えさせます。
この子は先生に席替えの時に
「凸凹ちゃんの近くにしてください」
とお願いしました。一緒にサポートするためです。
そして「困ったときには近くにいるから聞いてね」
と伝えました。言えないときは
「トントン」でもいいから
「困ってる・わからない」
と教えてねも伝えました。
するとこの子は、メソメソすることはなくなり
まずは私に「トントン」としたり
少しずつ「どうすればいいですか?」と
意思表示ができるようになってきました。
担当ではなくても、サポートすることによって
少しずづ成長する姿が喜びであり励みです。
私の想い
普段は思ったことをすぐに言ってしまう凸凹ちゃん。
でも今のクラスでは
凸凹ちゃんの一言がみんなに気づきを与えています。
そんな姿を見るのは、とても嬉しいことです。
支援員として、子どもたちが
「困っているときにどうすればいいのか」
言えないならどうすれば言えるか
どんな方法なら困っていることを伝えられるか
を考えサポートしています。
子どもたちの成長を見守りながら、
凸凹ちゃんだけでなく「みんなのお助け先生」
としてこれからも関わっていきたいと思います。