#読書感想文「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」
あのUSJをV字回復させたプロマーケター森岡毅さんの名著。
先に読んだ本「マーケティング基礎」で出てきた考え方やフレームワークが、実例を伴って作中に出てきたので、復習にもよく繋がった。
マーケティングを学ぶ事で、マーケティングだけではなく、仕事全般において本質的に役に立ち、かつ自分の人生も豊かにできる。マーケティングとは絶対に学んでおくべきだという情熱が伝わってきた。
読んで驚いたのは、USJがV字回復する過程で行われたイベント"ハロウィーンホラーナイト"がただのイベントではなく、目的から計算され尽くされたマーケティングによって戦略的に行われたものであった事、そしてそれが大成功し、ハロウィーン自体が私たちの知るように日本で一大ムーブメントとなった事や、USJを「ハリウッド映画の専門店」から「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」へと変貌させる事で、USJのブランディングや目標となるターゲット層を変えた事などまでもが全てマーケティングによって行われていた事である。
このように、マーケティングは企業の存在そのものや売上を劇的に変える事が可能なのだ。その際、まず最初にするべき重要な役割は、「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」を正しく見極めることである。そこの見極めが正しかった事で、USJは世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップへと変貌を遂げ、ターゲット層の間口が広がり、圧倒的な成功を遂げた。
この本の中で一番頭に残った考え方は、「戦略」に関するフレームワークである。
戦略とは何か。
戦略とは、目的を達成するために資源を配分する選択のこと。資源は常に足りていない。だからこそ戦略が必要なのである。
経営資源とは、「カネ、ヒト、モノ、情報、時間、知的財産」のこと。それらは常に足りていない。もし仮に無限にあるとしたら、戦略は必要ないということになる。
戦略において、これらの資源を、選択し絞り出した「勝てる(Sufficient)」ポイントに対して集中投下し、勝つのである。これが選択と集中だ。
また、「戦略的に考える」について。
マーケティングでは、戦略的思考には
目的:OBJECTIVE
目標:WHO
戦略:WHAT
戦術:HOW
という4つの概念が存在し
「目的→戦略→戦術」の順番で大きいところから考える事が求められる。この順番は大きな組織では、その部署にとっての目的が、その上位の部署にとっての戦略であったりするため、上位から降りてきた仕事に関しては常に全体像としての目的を掴んでおく事が成果を上げるのに大事であったりする。
USJにおいては、
OBJECTIVE:1100万人を大きく超える事
WHO:老若男女(以前よりも広い)
WHAT:感情
HOW:アトラクションや様々な仕掛け
ハロウィーンホラーナイトの時は
OBJECTIVE:イベント集客14万人超え
WHO:若い女性
WHAT:自分を曝け出し大声で叫ぶ事でストレス発散すること
HOW:園内にゾンビを放つイベントの開催
である。
それぞれにおいて
目的…ギリギリ届く高さに設定
目標…ターゲット、コアターゲットを絞る
戦略…ブランドエクイティの中で根源的な便益
戦術…マーケティングミックス(4Pモデル)活用
が大事なポイントとなる。
この本は、マーケティング基礎を理解する上でも実例を伴ったとても理解しやすい本であり、マーケティング自体の素晴らしさやビジネスにおける重要性が再確認できる名著なので、これからも繰り返し読んでいきたい。