カフェ・ソサエティ〜セピア色のウッディ・アレン
カフェ•ソサエティってどんな意味があるの?と素朴な疑問が湧いたのでネットで調べてみると「1930年〜50年代に社交界に出入りしてた映画スター等の有名人」と出てきました。
米ジャーナリストが記事に書いた造語とのこと。
まぁ、それはそうだと思うけど、実際に1930年代、ニューヨークにはカフェ•ソサエティという名前のクラブがあったらしいです。
実在していたクラブを基にウッディ•アレンがインスピレーションを受けて映画を作ったとなれば、なるほどと思う。
とにかくウッディ•アレンって人は映画スターとジャズ、そして華やかな1920年代、30年代ごろの古き良き時代がお好き…。
この映画の主人公ボビーに自身のキャラを重ね合わせてるかのようだし。
ボビーの早口な喋り方といい、社交好きだけど気遣いの達人で繊細なところ、とか!
恋人ヴォニー役のクリステン•スチュアートに「あなたってロマンチストで詩人で情熱的」とまで言わせてるとこ!とか。
なんかミエミエだなっ。
ざっくりなあらすじ
ニューヨーク出身の若者ボビー。ハリウッドでエージェントとして成功している叔父フィルを訪ねて行くところから物語は始まる。
ハリウッドの大邸宅に集まるセレブたちの間で人脈を広げるうち、誠実に人間関係を築くボビーはフィルのビジネスの一端を担う存在となっていった。
そしてフィルの秘書ヴォニーと映画を観たりビーチに行ったりデートを楽しむ日々。
豪遊するお金持ち達を「見栄を張らないといけない、哀れだわ」とあっさり否定するヴォニー。
都会の価値観に染まらない彼女がボビーには何よりも美しく思えた。
ヴォニーとの結婚を考えニューヨークに戻る決意をフィルに告げたボビーだったが…
夢みる頃を過ぎても
1930年代のハリウッドって大恐慌後の混乱や科学技術の進歩で大きな過渡期にあったそうである。
けれど、この映画全体を彩っているノスタルジックな色合いはあくまでも夢心地でシビアな現実感は置き去りにしてきたかのように思える。
裏社会のギャングで簡単に殺人を犯すボビーの兄の顛末さえ、遠いおとぎばなしに感じるのだ。
夢かうつつか、うつつか夢か。
新年のカウントダウンパーティで物思いに耽るような表情のあと、ふと深刻に空(くう)を見つめるボビー。
おしゃれで優雅で魅力的な人たちが集うカフェ・ソサエティ。
ここでは夢のように時がうつろい、手に入れたと思ったものはシャボン玉のように跡形もなく消えていく。
夏の夕方にまったり観たい映画です。