１日いちアート　１５(じゅうご) ~涙腺という蛇口をひねらせて無表情の上に水を流すアート~

アートは心を動かす、というけれど、
その動かすアートにも色々種類があると思っていて、

①感情に語りかけるアート。

②思い出に語りかけるアート。

そして、
③魂にそのまま語りかけるアート。

(語りかける、というとなんだか大層な言い方になってしまうんだけれど
それ以上に近い言葉が見つからなかったので今日はこのままにしておく。)

①と②ができるアートもとても素晴らしいものだと思うけれど
③の直接心のそのもっと奥に触れられたかのように感じるものに出会うのは、とても稀なことだと思う。

というかそんなものについて考えたこと自体が
今日が初めてな気もするし、そうじゃない気もする。


例えば「泣ける歌」があるとして
それは自分の中の何か涙が溢れる思い出と繋がっていたりする。
だからその歌を聞くとその思い出の想いを思い出して、泣く。

もしくは今とても辛くて、
その辛さに優しい言葉がかけられている気がして、泣く。

歌の中の、主人公に感情移入して、泣く。

もしくはその歌手がその歌を作るまでにたくさんの紆余曲折があったことを知って、その想いを想像して、泣く。

なんて色々色々。

よし、１日いちアートのアートに触れるぞーっと思い立って、
今日は目じゃなくて耳で感じたいなあ、と思ったので
youtubeを開く。
オーケストラを聞く気満々で「オーケストラ」と調べたらなぜか First Takeの My Wayが出てくる。

若い時に聞いていたなあと
別に何かの思い出とリンクされているわけでもなく、
いつ聞いてもいい声だなあと
それくらいの気持ちで聞き始めた。

耳で聞こうと思っていたのに
なぜか2人の真剣な目にすごく惹きつけられる。

10年前にリリースされて
もうこれでもかと何回も歌ってきたはずなのに
まだ歌う前にはこんな表情をするのか、とその真剣さに驚く。

始まる、

泣く。

疲れてるわけでも、
人生に悩んでるわけでも、
ずっと泣きたかったのに泣けなかった、なんてわけでもないのに、

涙が溢れる。

絞り出すような涙でも
安堵の涙でもなくて
ただ優しく上から下に流れる水に
心を差し出して、
その心に伝って水が流れる、みたいな
そんな自然な涙の溢れ方。

伝わるかなあ。

感情が何もいじられていない涙。

表情筋もだから、そのままなの。

泣く時になるようなへの字眉毛にも、くしゃあああああって顔にもならなくて、ただ涙腺という蛇口を開いたら水が流れ出てきました、みたいな。


この歌に込められた何かなのか、
音なのか、Def Techの2人の想いなのか、

何が私の涙腺をそうさせたのかはわからないけれど
とても時間という概念がないような一瞬だった。



アーティストと名乗りながら
バレエというアートを生きているだけで
それ以外のアートに触れることは
ふわっとしかしていなかったのだなと
１日いちアートnoteを書き始めてから毎日気付かされている。

夜に書き始めるので長時間かかる作品たちにはまだあまり手を出せていないのだけれど、少しずつ時間を見つけて
まだ触れていない文化芸術たちを探し出していけたらなと思っている。

何かおすすめがあるひとはぜひ教えてくださいな。

みんなはこれを聴いて何を感じたり、感じなかったりするのかしら。

#いちにちいちアート