Acting out - step out of your comfort zone! 演技のレッスンを経験して…
なぜ演技を習おうと思ったのか?
心地よいと感じる場所に身を置いたり、そういった事をすることは、自分自身をcareするために大切こと。でもいつもそこにずっと浸っていると、心地いいけれど何か物足りなくなってきませんか?
私はそんな状況になると、なんだか淀んだ空気を自分の中に感じて、空気の入れ替えをしたくなる。
そんな時あなたはどうしますか?
私は、まだ歩いたことのない道、訪れたことのないお店、街を歩いてみたり、普段は行かないイベントや展覧会へ足を運びます。それでもなんだか空気がClearにならない時は、興味はあるけど、”時間がない”とか”自分には無理”と諦めていたことをやってみるようにしている。
そんな状況だったここ数年間。何かを始めたいと思ったけれども、全てがオンラインに移行していて、今ひとつ踏み切れなかった。そして、これからの人生の方向性を模索している中でいただいた数々のadviceに導かれて、昔、機会があったけれども参加しなかった、演技のレッスン(Acting Lesson)をやってみることにした。実は私はActingというと、偽りの自分を人に対して見せているようで、少しNegativeな印象を持っていた。だから、あえて自分の感覚にざらつきを覚えるものをやって、何かを変えたいという気にもなった。
Acting Lessonというと役者を目指している人が受けるものだと思っている方が多いと思う。10年くらい前までは、私もそんな一人でした。でも職場で自分をClientやTeamに対して効果的にPresentするための研修をいくつか受けた時に、Actingの技術を用いていたり、現役のActorが研修のInstructorだった。そしてActingって映画や劇場の観客だけでなく、人に対して何かを働きかけるArtなんだとActingに対する認識が変わっていった。
ロンドン(ロンドン在住なので)にあるActing Schoolを検索してみると、格式高く、また敷居の高そうなところから(有名な俳優や女優を輩出したところ)、未経験者やActorを目指してない人も歓迎と謳っているところとさまざま。私は全く演技の経験がないので、未経験者でも楽しみながらLessonを受けられそうなところを考えていた。散々迷った挙句、結局いくつかある初心者向けのコースのあるActing Schoolのうちの一つで、Acting Lessonを専門にしているところのBeginner’s Courseを受けることにした。
初める前は自分がどこまでできるのかかなり不安だった。海外生活は長いけれど、”英語で演技なんて、私にできるのだろうか?”とか、”英語特有のニュアンスを理解して、それを踏まえた演技ができるのだろうか?”、そんな思いが頭の中で渦巻いていた。しかしLessonを重ねるにつれて、私のそれまでの思い込み、Actingに対する考え方や人前で話す心構え、Mindsetが変わっていった。
その過程を残しておきたいという気持ちと、もしかしたら、何か変えたいけれど最初の一歩が踏み切れないとか、人前で話す練習をしたいとか、演技に興味があるけど、レッスンってどんな感じなのか知りたい方のお役に立てれば、という思いでこの記事を書きました。
Week 1 - イントロ:Introduction & Warm up
春とはいえまだコートが手放せない夜の7時10分前。これから毎週通うことになる古い煉瓦のビルのドアを通る。”Acting Class” と手書きのA4サイズの紙に導かれて、スタジオへ到着。中には壁一面に貼られた鏡、古ぼけたオルガン、そして色褪せた真鍮のフレームの赤い椅子が壁に沿って並べられていた。部屋の入り口のそばには小さな古ぼけた木のテーブルと赤い椅子。そこに座っていたイギリス人の小柄な男性が先生。
続々と集まってくるこれから8週間、ともにActing Lessonをするクラスメート。年齢は20代から50代くらいだろうか、お互い何を話せば良いかわからず静かにクラスの開始を待っていた。7時を5分回った頃にほぼ全員揃い、最初のレッスンが始った。先生が床の上に輪になって座る様にと指示する。先生がクラスと自己紹介をした後、初回は恒例の自己紹介と参加の動機を話すことになった。
このクラスでは、まず隣の人とペアになってお互い紹介をした後に、グループに向けて自分のパートナーの紹介をする。私のパートナーはイギリス人で、翻訳を仕事としている男性。彼の紹介をするとき、多少詳細を思い出せなくてちょっと焦った。初めてのメンバーの前で話すのは多少緊張するけれども無事終了。
その後、ストレッチをしながら立ち上がり、部屋の中をみんなでランダムに歩くWalking Exerciseを始めた。先生の、”どの体の部分が動きを主導しているか”、”歩き方を変えると気分がどんなふうに変わるか”、という問いが部屋に響き渡る。先生の声に反応して、上を見て歩いたり、うつむき加減に歩いたり、肩で風を切る様に歩いたりしてみる。歩き方を変えるとともに、気持ちの移り変わりを観察。確かに、歩き方が変わると、心のあり方が変わっていった。上を見ているときはなんとなく気分が上がり、下を向いて歩いていると気持ちが落ち込んでいく感じがしてきた。
しばらく色々な歩き方をして気持ちの変化をながめた後、また床の上に輪になって座り、その後仰向けになるように指示された。先生のリードに合わせて、腹式呼吸をし、その後お腹から声を出す練習。普段大きな声を出すことのない私。最初は少し大声を出すことを躊躇ったけれども、次第にVolumeを上げていき、音やトーンを変えていった。自分の体の中で響く音を感じ、爽快感を覚えた。そしてクラスメートと私の音が溶け合って、その調和がとても心地よく思えた。
特にChallengingなことはなく無事に初回が終わって一安心した。そして、体と気持ちが連動していることと、声の響きの心地よさを知り、これからのLessonがとても楽しみになった。
Week 2 - ステイタス:Status
乗る予定だった電車が突然キャンセルになったため(ロンドンではよくある)、7時ギリギリに到着。来週から地下鉄(Tube)に切り替えようと決めた。クラスの雰囲気は2回目とあって多少和らいだ感じだけど、まだまだお互いのことをよく知らない人同士が一緒の部屋にいる時の、あのぎこちなさが漂っていた。
前回と同様みんなで床に輪になって座り、Check-inをする。Check-inはトレーニングやクラスの前に自分のその時の気持ちや気になっていること、思い浮かんだことを語るもので、5年くらい前から職場のトレーニングでもよく行われるようになった。自分のその時の気持ちを眺めて、クラスやトレーニングに集中(Be present )するのが目的。
先生が日本で経験した演技のトレーニング(後で聞いたら蜷川幸雄のところと判明)の話を始め、そこでは人が纏っているエネルギー(気やオーラともいう)を感じることから始め、自分のエネルギーを役やシーンに合わせてコントロールするといった話をした。スピリチュアルやオカルトなことを信じない人は、人の持っているStatusやPersonal spaceと考えるといいと、先生が補足。
その後ペアになって、お互いに話すことなく、どこまで心地よく感じる範囲で、お互いに近づけるか体験してみた。相手が近寄りすぎてきてUncomfortableになったら離れたりして、最適なspaceを探ってみた。不思議なもので、なんとなく、”これ以上は近づかない方がいいな”と、わかるもので、大体みんな同じような距離感を保っていた。育ったCultureもPersonal spaceの範囲に影響を与えるのでは、との意見がクラスメートからでて、あるEthnic groupに属する知人たちのPersonal spaceがかなり狭いことを思い出した。
その後Statsuを1(Low)から10(High)段階に分けて、Low statusの歩き方からHigh statusの歩き方がどんなものかをDiscussionして実際に実践してみる。Low statusな歩き方はpersonal spaceが狭く、人を避けたり人に道を譲ったり、自信なさそうな感じで、High statusな歩き方はpersonal spaceが広く、周りを気にせず自分のspaceを維持している感じ。
最後にペアを組み、お互い反対方向から歩いてすれ違うシーンを演じるExerciseをした。自分でStatusのレベルを歩き始める前に心の中で決めて、歩いている様子からクラスメートがレベルを当てるというもの。不思議なものでみんななんとなくレベルがわかり、人の持つEnergyってやっぱり感じられるものなんだなと確信。何人かのクラスメートは即興で携帯を見ているアクションを加えたりして、その掛け合いを見るのが面白かった。私のパートナーもすれ違う際に、じっと睨んできてどう反応しようかと思ったけど、不思議と体が自然に動き、相手を見返してすれ違った後も彼の背中を見つめて歩いた。
今までなんとなく感じ取っていた人が醸し出す雰囲気って、Statusに置き換えると(全てではないけれども)納得、説明しやすいことに気がついた。これからは街を歩くとき、道ゆく人のStatusを観察してみることを先生に勧められた。
Week 3 - もう一人の自分:Censor
3回目のレッスンもCheck-inから始まった。なぜか私も含めみんなお疲れ気味のMoodでレッスンに到着。でも、Check-inをしているうちにこれからの2時間を楽しむぞ、という気持ちが溢れてきた。その後前回のレッスンで行ったWalking exericse。スタジオの中を歩き回って、自分の歩き方やStatusをいろいろ変えてみて気持ちの移り変わりを感じるとともに、体を動かすことによって自分のInstinctと繋がりやすくするのが目的とのことだった。
この日は、自分の心に浮かんだものを、そのまま表現する(外に出す)Exerciseをした。普段私たちは思ったことをそのまま言わずに、常識や周りの様子をいつも考慮するもう一人の自分(Censor)が編集したことを表に出す。そんなもう一人の自分を認識するのがExerciseの最初のステップで、続いてCensorを外して思ったことをそのまま外に出すのが最終目的。
みんなで立った状態で輪になって、心に浮かんだAで始まる名詞を順番に声に出していった。ここではスピードが重要で、Censorが働く前に話さなくてはいけない状況に追いやっていく。でも他の人が話している時に、Aで始まる言葉を探し、吟味している自分がいるのに気がついた。
その後、形容詞や、前の人の言葉に合わせて、ストーリを展開していくなど、少し条件を変えつつ同じようなExerciseを行った。だんだんみんなのCensorが静かになってきてF ***や、体のPrivate Partsを口にするようになってきた人も。先生によるとDeathとSexが人間の最も根っこのところにあるTopicで、Censorを静かにするとこれらに関する言葉がよく出てくるとのこと。
その後、先生が、”そろそろActingらしいことをやりたくなってきたかな?それでは即興でPlayしよう”といった。一体どうなるんだろうとかなり緊張しつつ説明に耳を傾けた。まず二人のクラスメートが前へ出て、その場で先生に大まかなシーンの説明を受け、相手の反応を受けながらStoryを作っていく。このExerciseでは、初めに自分のStatsuを自分の中で設定して演技に入っていき、相手の反応やStoryの状況を見てStatusを変えていくようにとの説明を受けた。
最初の2組のクラスメートの演技を見て、落ち着いた様子で演技をしているようで感心。自分にもできるのだろうかと、ちょっと不安になる。でも”演技を習うために来ているのだから、できなくても大丈夫”と自分に言い聞かせて、次の番に手を上げた。緊張でちょっと手が震えているように感じた。
私たちの設定は恋人たち。だけど、私が浮気をしていてそれを相手に打ち明けると言うもの。考える間も無く始めるように言われた。すると自然と体が動き言葉が降りてきて、私は浮気をしているけど、それを悪びれることもなく相手に告げる人になっていた。High Statusから入っていって、よくある恋人同士の浮気がバレたときのシーン展開。でも相手の女性が機転を効かせて、実は彼女も浮気をしていたと言って、みんなでLoverになると言う結末になった。
演技の結末にクラスメートが大笑いし、その声を聞きながら、初めての演技を終えて気分が高揚するとともに何かが吹っ切れた爽快感がした。Actingの楽しさを少し垣間見たように思った。
Week 4 - 子供のように:Play like a child
すっかり恒例となったCheck-in。この日は何人か欠席していて、こじんまりとした感じになり、なんだかみんなの間の距離感が縮まった感じで始まった。Walking Exerciseを行った後にこの日のMain exerciseの説明。
前回から引き続き、自分の考えや行動のCensorを外していくExerciseとして、子供のように遊ぶ(Play like a child)ことをした。
まず最初に先生が用意した小物、雑誌、ボール、ナイフ、フォーク、缶などを使ってグループで即興でゲームをデザインした。私のチームは雑誌、フォーク、ボール、空き缶を選んでいたので、それを使ってキャチボールをする人とそれを邪魔する人というゲームをPlayすることにした。
その後各チームがゲームをみんなの前でPlayして、みんなでそのルールを予測した。同じようなものを使ってもチームごとに、違ったゲームをデザインしていて、Playしている様子も、ほのぼのした感じのチームや、競争心いっぱいのチームとそのチームの色が出ていた。
その後チームを変えて即興劇を作るExerciseに移った。その際の条件は、30秒後に動物を導入して、60秒後に"Look what you have done!”というセリフを入れたStoryにする様にとのこと。先生は話をきっちりと決めずに、Actingを進めながら変えていったほうがいいとアドバイス。
Storyを作る際、私は詳細まで考えすぎてアイデアがポンポン出てこず、他のメンバーの想像力とそれを大まかなアイデアでも気軽にどんどん出していく様子に感心した。最終的に私のチームはScientistが薬を作って、それを人に与えたのだけれども、その人を元気にするはずがなぜかネズミになってしまい、色々な手を尽くして戻そうとするけれども、戻らなくなってしまったという話にした。30秒後、60秒後という時間は時計を見ないで、自分達の感覚でタイミングを測らなくてはいけなく、私たちのチームは実際より10秒以上短かった。
その後新たにチームを作って、別の即興劇を作った。今度は特に制限がなく、自由に作っていいとのこと。いくつかの案が出るが(スペイン人、フランス人がいたのでその国特有の話がアイデアとして出た)、みんながわかりやすいイギリスネタにしようということになり、Sainsbury(イギリスのスーパーマーケット)を初めて訪れたPrincessが庶民の生活に興味を持って、Sainsburyで働きたいと言い出すも、王様女王様に反対されるという話。成り行きで主役のPrincessの役をやることになり、世間知らずのPrincessを演じることに。数回通して練習した後に、クラスメートの前でPlay。他のメンバーがアドリブで色々な登場人物を投入してきたので、考える間も無くリアクションをするしかなかった。でも不思議と体や言葉が反応して驚いた。
いくつかActingをこなし、アドリブもできるんだと、新たな自分の一面を発見し足取り軽く家路についた。
Week 5 - スクリプト:Script /Text
初めの数週間は1日の最後に始まるレッスンがちょっと億劫に感じることもあったけど、この頃になるとレッスンを楽しみにしている自分がいた。恒例のCheck-inとwalking exerciseの後に、今回初めてTextを使って演技をすると説明を受けて、どんな新しい経験ができるのかと楽しみに思うと共に、新たな経験を前にちょっと緊張。
まずは同じような短いフレーズが繰り返された二人の会話をペアで読み合った。何回かとりあえず通して読んでみてから、違った状況を想定して自分のStatusのレベルを意図して演じるように、と説明を受ける。そして、話し方や、声のトーン、ボディーランゲージを変えながら、例えば、相手に探りを入れたり、脅したり、疑ったりと言いた表現を試してみては、と先生がSuggestion。
私の最初のパートナーはScottishの女性。初めは普通に読み合わせをしてから、お互い徐々にいろんな表現を加えていった。相手に自分のStatusを伝えずに、相手がどう感じたか、どう反応したかを観察して、思った通りに伝わっているかどうかをみる。彼女はとても表現力豊かで、私とのやりとりの間で、さまざまな状況を作り出していった。怒っている様だったり、同情的だったり。だから私も彼女とPlayしながら、いろいろなCharacterを作り出していった。
最初のExerciseの後に先生が、相手の反応によって、自分の意図したStatusのレベルへ変えていくことは自然で、相手の様子やStatusの変化によってPlayに抑揚をつけていくほうがいい演技ができる、と言っていた。
その後パートナーを変えて、最初より長めの、でもSimpleな二人のやりとりの会話のScriptでいろいろなStatusや状況を作り出す練習。今度はEnglishーItalianの女性と組んだ。大学の先生で、とても几帳面な感じの方。最初のパートナーとのやり取りに刺激を受けて、演じるCharacterの幅が広がったように感じていた私は、色々なStatusや表現を試してみた。すると最初は少しぎこちなかった彼女もだんだんそれに合わせてきてくれて、面白いやり取りができるようになってきた。お互い最初のStatusからかけ離れて、Playしている間の状況の抑揚やEmotionの移り変わりを楽しんだ。
この日は演技というのは、相手や他のメンバーとのEnergyのやりとりで、その時々によってみんな違ったMoodや心持ちでいるから、毎回同じものをPlay指定いる様に思っても、違うものが出来るのだと実感。そして自分のCensorを外して、状況に身を任せてInstinctに沿ったResponseをするのが、自然なことで周りに伝わる演技をするためには重要とも知った。
Week 6 - 意図と目的:Intention & Objective
すっかりお馴染みとなったCheck-inとWalking Exercise。この頃には、これらをしないとレッスンが始まらないといった感じ。クラスメートの中にはCheck-inを楽しみにしていると言っている人も出てきた。確かにCheck-inして自分の気持ちや気になっていることを話すと、なんとなくスッキリしてレッスンに臨める。
今週も前回と同様Textを使うのだけれど、今回はIntentionとObjectiveを持って演技をするようにとのこと。演技に入るまえに、どの様なStatusでどういった感情を相手に持たせたいかを意図する。そしてそれに加えて、最終的に相手をどう動かしたいかも意図する。例えば、怒って部屋を飛び出すとか、一緒に住むと決心させるとか。
MainのExerciseを始める前に、Warm upのExercise。二人がみんなの前に出て、一人はあるCharacterを思い描いて、その人が誰かは相手には伝えずに話しかける。そして話しかけられた相手は、話しかけてきた相手の感情や行動をどう変えたいか意図し、Responseする。例えば相手が怒って席を立つとか。
相手にどんな人物か伝えられないから、話しかけられた相手は手探りをする様な感じでResponseしていた。そのDiscoveryのProcessがもどかしくも、面白くもあった。私も相手が設定した人物像を探るようなResponseをして、どうも私のパートナーは私に憤りを感じているらしいことがわかった。でも、私はあくまでHigh Statusで応じて相手の怒りの矛先を変えたいと考えていた。だからとぼけた感じで、他の話題を持ち出したり問題をすり替えたりして、相手の反応を楽しんだ。パートナーが意図していたCharacterは、恋人の秘密を暴いたLoverだったとのこと。演技している時は夢中で考えが及ばなかったけれども、思い返せばそうだったなと納得。
他の組はQueenや、Prime Ministerを演じていて、時事風刺的な面白いやりとりが出てきて笑いのたえないExerciseだった。
その後この日のMainの Exerciseへ。前回より長いTextを渡され(皆同じText)ペアーになって読み合わせをした後にみんなの前で演技をする。先生から、自分の意図するStatusをObjectを考えてPlayに臨む様にと、言われる。また相手とのPlayの中で自分の意図とは違った方向へ行くのは自然なことで、むしろ相手の様子を見ながらどんどんStatusを変えていくといい演技になるとも言われた。
この頃になると、みんなの前へ出てPlayするのも割と平気になってきている自分がいるのに驚いた。他のクラスメートも以前の様な硬さや緊張感が和らいで、演技を楽しんでいる様子だった。
このMainのExcerciseでは、みんなの前でペアで演技を披露してから、先生がどんな意図だったのか、と問いかけた。各々自分の最初のIntentionを伝えた後に、先生がペアにもう一度Playをするように指示し、その際の大まかなIntentionを伝える。2回目は初回のIntentionをさらに強いものにするか、全く反対のIntentionをするものだった。私の場合は最初とは反対のIntentionの演技をする様にと指示を受け、最初は相手を気遣うトーンだったけど、2回目は相手を怒らせお互い部屋を出て行ってしまうような演技するように言われた。普段、人を怒らせるより自分で我慢してしまうことが多い私は、少し戸惑った。けれども声のトーンを上げ攻撃的なボディーランゲージで相手に話しかける。演技だと思っているからか、割と自然に体が動いた。相手との間になんとも刺々しい雰囲気が出てきて、同じTextでも最初のやりとりとの違いに驚くとともに感心。
人前であまり自分の怒りを表すことがない私だけれども、演技を通じて怒りを面に出す練習をしたような感じを覚えた。そして同じTextでもPlayする人によって各々の個性が現れ、演技のArtたる側面を垣間見た。そして、先生がActingは一生学び続けるものでNever perfectだといっていた意味が、少しわかった様に思った。
Week 7 - ダイアログ:Dialogue
後2回でLessonが終わると気がつき、再来週からは夜ゆっくり家で時間を過ごせることを心待ちにしつつも、Lessonがなくなることを少し寂しく感じた。スタジオに着くとやはり同じような気持ちの人たちがいて、Check-inの時にその気持ちを語っていた。Walking Excerciseを経てこの日のMain Excerciseへ。
最初は人前に立つ緊張感や居心地の悪さに慣れる練習。みんなの前に立って自分の名前を言った後は何も言わずにただそこにたたずむ。みんなの目を見るのはいいけれども、動いたり、笑ったりしてはいけないと、先生がInstructionを出した。
自分の番になってみんなの前に立った時、深呼吸をして臨んだ。私の前にすでに何人かが前に立っていたので、みんなができているから自分も出来るという気持ちとクラス全体がこのExerciseに慣れてきた雰囲気にはなっていた。でも、実際にみんなの前に立って、視線を一気に集めている感覚を覚えるにつれて、少し緊張している自分に気がついた。仕事でプレゼンテーションをしたことはあるから、人前に立つのは全く初めての経験ではなかった。でも、何も話してはいけないし笑ってもいけなかったので、緊張感より”何かしなくては”という気持ちを抑えることの方が大変に思えてきた。みんなの目を見るのはOKだったので、みんなの目を見ることに集中することにした。次第にみんなの目を見ることに慣れていて、見られているという緊張感よりも、相手は何を思っているのだろうという好奇心が優ってきた。でも、無意識にいつも笑顔で人と接する私には(これは人の中で、人とうまくやっていこうとするSelf-defense行為とのこと)、顔の表情を変えられないのは最後まで辛く、また顔の筋肉が引き攣ってくる様な感覚を覚えた。
多分1分から2分くらい立った頃だろう、先生の”OK"という合図を聞き終了。ようやく笑顔を作り動くことも許されて、一気に気分が軽くなった。このExerciseは前に立っている時だけでなく、観客としてもかなり居心地が悪かった。お互い何のReactionもできずにただただ見守ることが、これほど大変だとは思わなかった。先生によると、私たちはSocial Animalで人と接している時にさまざまなReactionを取るのは自然なことで、この最悪の状況を経験しておけば、次回人前に立った時にそれほど緊張しないとのこと。今は、次のプレゼンテーションの機会を心待ちにしている。
後半のExerciseはいくつかのFilmから先生が集めた短いDialogueを使って演技をした。なんだか本格的になってきてちょっと緊張。私は Sex, lies and videotapeからのDialogueを渡されて、Englishの女性とペアになった。以前のTextを使ったExerciseと同様、はじめはそのままTextを読んで各々そのTextから感じるemotionを観察する。その後徐々にStatusや相手をどう動かしたいか意図しつつ、動きやemotionを加えていった。お互いに色々なバリエーションを試してみた。お互いを思う気持ちがお互いを重くしているシーンにしてみたり、反対に軽い感じのシーンにしてみたり、またはお互いを探り合っている様なシーンにしてみたり。
その後みんなの前で演技。私の当初の意図は、相手を心配する気持ち(care)を表して彼女の頑なな気持ちをOpenするというものだった。パートナーのResponseを見ながら少しAdjustしたけれども、Low statusから始まり、statusが多少上がっていた感じで終わる。その後先生から自分達の意図を聞かれ、次はcareではなく
”make her feel loved”にする様に演技をする様にと指示を受ける。私のパートナーは流れを見てはっきりAcceptかRejectの意思を表現する様にとのこと。
これを受けて自然と私の声は大きくなり、動きももっと早く大きなものとなっていった。パートナーの声も大きくまた感情の起伏もあらわになって、お互いのenergyが以前より増幅していったのを感じた。
演技って本当に相手や周りのenergyとのやりとりでできていくものだと実感したSessionだった。
Week 8 - モノローグ:Monologue
いよいよActing Lesson最終回。いつものCheck-inでもみんなこれで終わってしまうなんて淋しいと言う気持ちと8週間でどれだけ自分がやり遂げたか驚いている気持ちをShareしていた。これでこれも最後と思いながら、Walking Exersiseをいつもより丁寧に歩きながら歩き方を変えて感情の変化をながめた。Lessonが終わってもこれは通常の生活に取り入れたいなーと思った。
さて最後のExeciseはMonologueを演じるとのこと。ペアで演じているときは相手がいたからなんとなく仲間がいて演技しやすかったのに、今回は一人で演じるのかと思うと緊張感が走る。パートナーのResponseをヒントにActingをしていくことに慣れ始めていたので、なんだか補助輪を外して初めて自転車を乗る時のような感覚だった。
さてMonologueのスクリプトが20本ほど木のテーブルの上に並べてあって、その中から自分の好きなものを選ぶようにと言われた。そして先生は、できれば自分とかけ離れたCharacterのスクリプトの方が挑戦し甲斐があると付け加えた。そこでざっとスクリプトを読んで、今の自分の生活とあまり共通点のなさそうなものを選ぶ。
わたしが選んだのは、傷害事件を起こしているTroubledなTeenagerが自分の世の中に対する絶望した気持ちを話しているもの。どの映画のスクリプトの一部かはわからなかったけれども、学生時代不満はあってもつつがなくやり過ごした私にとっては、かけはなれたCharater。
早速ペアーでパートナーを相手に自分のスクリプトを読む。私のパートナーは30代半ばといった感じの会社で働いているイギリス人女性で、彼女は"The Devil Wears Prada"のMeryl Streepの演じていたMirandaの台詞を選んでいた。前回のDialougeの時と同様、最初はテキストをただ通して読むことを繰り返すように指示を受けた。その間に、徐々に自分の中でキャラクターの自分なりのImageが広がってきた。その後パートナーと少しずつIntentionやObjectiveを意識してお互いのMonologueを演じる。先生が相手のActingにResponseしたければ、して良いとのことなのでMirandaの役を演じている彼女に絡んでみた。また自分のIntentionや相手をどう動かしたいかを意識した演技をするけれども自分のInstinctに従って、相手の反応を見ながらStatusやTone, Intentionを変えていってOKと、先生はアドバイスをくれた。
Characterの感情やStatusを変えながら、お互いのActingにFeedbackやどう感じたかを伝えながら、じぶんのMonologueのConceptを固めていく。
最後にいよいよ、一人ずつ、みんなの前で自分のMonologueをAct。最初の数人のActingを見て、みんな堂々としているなーと、感心するとともに、自分のActingはどうなるのだろうかと、思うと胸の動悸は早まってきているのを感じた。その状態でいるのを断ち切るように、手を上げて自分のMonolougeを演じることにした。
何度も先生が繰り返していた、深呼吸をして、演技を始めた。不思議と心が静かになっていって、自分の作り上げていったTroubledなCharacterを演じ始める。なんだか知らないけれど、体が自然に動いて、普段だったら大袈裟だなと思うような動作もできていた。
終わった時はシーンとしたスタジオの空気とクラスメートの視線にちょっとたじろいだ。先生にどんなIntentionでPlayをしたのか聞かれ、クラスメートからどう受け取ったかFeedbackを受けた。自分のIntentionした通りに受け取られていて、一安心。その後みんなのApplaudを受けて(これも先生がみんなに繰り返いっていた。Applaudをちゃんとみんなの前で受けてから自分の席に戻ることを)
こうやって私の生まれて初めてのActingは幕を閉じた。自分のMonolougeの後は久しぶりに感じるとてつもない充実感で包まれていた。どのクラスメートの顔もActingをやり遂げた充実感でキラキラとしていて、スタジオがみんなの高揚感で包まれていた。その後クラスメートの一人が近くのPubで打ち上げを兼ねて一杯やろうと提案し、みんなそそくさとスタジオを後にした。
スタジオを出るときに部屋を振り返り、初日にはとてつもなくがらんとしたように見えた部屋がなんだか暖かい場所に変わっていたのを感じた。
Lessonを終えて
Acting Lessonを受ける前に持っていた、Actingによって違った自分を見せる罪悪感はすっかりなくなっていた。
先生が繰り返しいっていた、” Trust your instincts. It's OK to listen to your inner censor but not let it stops you follow your instincts. " (私訳:自分の直感を信じること。社会性や常識をわきまえたもう一人の自分の声を聞く/認識することはよいけれど、それによって自分の直感に従うことをやめてはいけない)。だから自分のinstinctに従って、相手の演技に呼応すればよい。そのためには” Take a deep breath into your belly, ground and connect yourself. ”(私訳:深呼吸をして落ち着いて、自分の直感と繋がる)をすればよい、と先生はアドバイスをしてくれた。
だから、Actingをしていてもinstinctに従っているから、自分らしさがなくなることはなく、むしろ自分をさらけ出している様に思えてきた。同じScriptを演じても、クラスメートの生い立ちや、考え方、またその時の気持のありようが現れてきて、全く同じ演技は生まれてこない。またパートナー(相手)が変われば、またその人との間に全く違うSynergyができて同じScriptでも全く違ったシーンができる。
そして何回も人前に出て演技をしていくうちに、人前で自分をさらけ出すことへの抵抗感が減った様に感じた。確かにLessonを始めてから、知らない人とのやりとり(電車の中やお店、初めての場所等)も、もっと気軽にできるようになった。これは、”一人一人みんな違うのだから自分も違っていて当然”と考えが変わり、自分がどう思われているということ気にすることが少なくなっていったためだと思う。
先生の言っていた” Acting is a life long learnings. " というフレーズ。この言葉に、ActingはやっぱりPerforming Artなんだと再認識。そして、自分の変化とともに変わっていくであろう私の演技の移ろいをみてみたいとい、Acting Lessonを続けていこうと決心した。