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「何もしない」時間がくれる脳の活性化。デフォルト・モード・ネットワーク

今週は、いろいろ重なって、ゆっくり本を読む時間を確保できませんでした。やることに追われ、気持ちがひたすら焦ってばかりだったことを反省。してもまたやってしまうんだが。

随分前に購入していた、こちらの本を久しぶりに開きました。

私のような人間は、「何もしない」状態でいることが、実は怖い。

「怖い」にもいろんな感じ方があろうかとは思うのですが、私の場合は「焦り」がすんごい出てくる。「ヤバッ!早くやんなきゃ!」とか。なんも問題ない案件にすら「あれは大丈夫なのだろうか」と不安がったり。病気。

この本には、「ワークライフバランス」で世界1位、世界幸福度5位(2019)のオランダ流の「幸せ」について書かれています。著者は、オランダで仕事も子育てもバリバリとこなすシングルマザーの山本直子さん。

久々に開いたこの本には、まさに今日、私が欲しかった言葉がもりもりと書かれていました。

「何もしない」ことをオランダ語では「Niksen(ニクセン)」と言います。
何もせず、何も生み出さないこと。
義務感や生産性から自分を解放して、ボーッとすること

『週末は、Niksen。』(大和出版)

この数行が既に重い。自分にできていないことしか書かれていなくて痛い。

オランダでは、「ニクセン」が日常に溶け込み、「何もしない」が考えずにできている人が多いのだと言います。例えば、散歩したり、日光浴したり、家に早く帰ったり。瞑想するための特別な時間を作ることともまた違い、だらだら過ごす、ということも「ニクセン」に含まれるとか。

そういわれると簡単なような気もしますが、忙しい日本人にとって、いや私にとって、何もしないなんてことほど難しいことはないではありませんか、

と思ったら、やっぱりニクセンのハードルはそんなに高くなかったようです。

ニクセンは、「何かをしながら」でもできるのです。
しかし、その「何か」は頭を空っぽにして、心を浮遊させることでなければなりません。
例えば、皿洗い、掃除、洗濯物を畳む……などの家事。
またはセミオートマチックにできる単純作業。(P)

おお、そんなことならやれてる気がする。でも全然焦りや不安が取れないのは、私にニクセン修行が足りていないからなのか。

読書をすることもニクセンの一種です。(中略)
それから、全く気を使わない家族や友人と時間を過ごすことも、脳を休憩させるのに役立つのだそうです。

要は、自分にとって心地よく、楽しく、呼吸や心拍数が整って心の芯から休めるような工夫をすることです。(P28)

ここまで読んでやっと、つまりニクセンとは、一旦、目の前の課題や心配ごとから体ごと離れるってことなんだろうなという自分なりの解釈に落ち着きました。

作業をしながら、モヤモヤと何かを考え込んでしまっては意味がないでしょうが、今やっていることがあるなら、それに単純に集中してやる。

「ニクセンしなきゃ!」になっている時点で終わってる感ある私ですが、(ニクセンてよく考えたら日本語でどう翻訳されるのか気になる!)

つまりは、いかに「フラットな心の状態」をつくるのか、ということなのでしょう。

それが難しいんだよなあと思いつつ、一旦目の前の課題から離れる、その方法はいくらでもある気がします。

ヨットに乗るとか森林浴をするとか、日本では環境的に難しいこともありますが、自分を心地よい状態にしておくために、実はお金も時間もかからない。

今すぐ、今いる場所でできてしまうことを、どうして「怖い」なんて風に思うようになってしまっているんだろう? と自分を顧みるほかありません。

そして、こちらの記述には、ハッとしました。

 幸福のための社会環境を研究しているエラスムス大学のルート・フェーンホーフェン教授によれば、私たちが「何もしない」間にも脳は活動を続けています。
 そのため、ボーッとすることで脳内の処理能力に余裕が生まれ、ペンディングになっていた問題が処理されて、突然いいアイディアが浮かんだりするのだそうです。
 このボーッとしている時の脳の活動は「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれていて、脳が記憶の断片をつなぎ合わせたり、情報を処理したりするのに役立っているのだとか。
(中略)
 不思議なことに、この状態にある時の脳は、集中して仕事に取り組んでいるときよりも広範囲にわたって活動を活性化させているようなのです。
 むしろ、問題にがむしゃらに立ち向かっている状況は、実はストレスを高、創造性を損ねているのだとか。
(P39)

鈍器で頭、ガーン、です。一生懸命やっているつもりでも、体や心の緊張状態が、そこそこのアウトプットにしかつながっていないとしたら、先方にも自分にも、失礼ですよね・・・・。

ボーッとして「何もしない」ことで罪悪感を抱く必要はありません。
脳はその間も十分に活動しているのです。(P39)

さらにここを読んだ時にですね、体中がざわざわしました。

というのも、今日、私はなぜか、本当に久しぶりに、何も考えずに(!)、本棚に指したままだったこの本を取り出して、読み始めたんですよね。なんの意図もなく、です。

でも、今の自分の状態が、どこかでこの本の記憶を呼び覚ましたんでしょう。

そうしたら、欲しかった答えが、そこに書いてあった。どこかで「気分転換したいな」といった自分の緩んだ気持ちが、この本のところに私を連れていき、欲しかった言葉をえた。

これぞ「ニクセン効果」、というものを体感してしまって、このnoteを書いています。


この本には、オランダ流のさまざまなニクセンについて書かれてあります。できそうだなと思えるものから、オランダの国民性を感じられるものまで、異世界を旅するようなゆるやかさで、ニクセンの取り入れかたを教えてくれます。

暇な時間が恐ろしい・・・と怯えている人も、私のように何もしないことで焦りや不安が湧いてくる人も、この本を読んで、自分流のニクセンを心がけていきましょう。

必死になってギャー!ってなることで、自分の脳が自由に存分に働ける時間を奪わない。これは肝に銘じていきましょう。デフォルト・モード・ネットワーク、覚えとこ。


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