![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88573852/rectangle_large_type_2_72556dff4fc5988cfd0f1cc43b24bc01.jpg?width=1200)
一度は暮らしたいと思った国を、自由に歩ける人生の、なんと軽やかで美しいことだろう【🇪🇸スペイン・サンティアゴ/レオン】
一度は暮らしたいと思ったことのある国を、自由に歩ける人生の、なんと軽やかで美しいことだろう、とスペインのサンティアゴを眺めながら思い出す。世界中、たくさんの国を訪れたけれど、いくつかの国は私にとって特別で、スペインも、そう、その特別な国のひとつだった。きっとこれからもそうなのだろう。もしかしたら、人生の中で長く過ごすこともあるかもしれない場所だ、とすらやっぱり思う。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88573730/picture_pc_fa899ba97cdfac4b4fe8ee888199176a.jpg?width=1200)
スペインを訪れるのは4回目。サグラダファミリアを見た1度目、マドリードやセビージャ、グラナダ、ミハス、トレドなど、国内を周遊した2度目。3度目は、モロッコなどヨーロッパ近辺の国を旅していた時、ふと「サグラダファミリアが見たいな」と思い立って、数日だけだけど滞在した。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574386/picture_pc_8126cb07771c009d8c1d6b6860b91a09.jpg?width=1200)
4回目となる今回は、過去の旅で訪れたことのない、新しい地域へ足を踏み入れた。スペインの北西、海を渡ればフランス、ポルトガルに程近い、北西部のサンティアゴとレオンという旧市街を抱く街。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88573930/picture_pc_403eb99a5b38761ccaa5d0dbe01cfb76.jpg?width=1200)
ローマは知ってる。エルサレムも知っている。けれど私たち(少なくとも私)は、サンティアゴが、「キリスト教の三大聖地のうちのひとつ」という意識が今まで本当に欠けていた。サンティアゴ。サンティアゴ・デ・コンポステーラの名前は、旅好きであれば一度は聞いたことがあるだろう。世界遺産に指定されている、巡礼の道。「歩くもの」というイメージしか、正直なかった。長い距離を、長い時間、神聖な気持ちで、歩いて目指す。その最終目的地が、サンティアゴという地であった。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88573961/picture_pc_cf9cd258134daea823c0e6319b093db0.jpg?width=1200)
旅のはじまりの形のひとつである、巡礼の道のそれは、私が稚拙に想像していたよりもずっと多様で、懐が深く、広く世界に開かれている魅力的なものだと、今回の旅の間で私は学ぶ。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574050/picture_pc_1188478fd958395f289869807dd888ac.jpg?width=1200)
もちろん、救済を求めて、宗教的背景から歩く人も、世界中たくさんいる。一方で、その形は多様で、そもそも巡礼路はフランス、ポルトガル、そしてスペインの3カ国に広がり、決められた出発点は厳密にはなく、「歩きたい距離を、歩きたいペースで、ありたいスタイルで進んでいい」という事実も知った。家族で週末に短距離だけ歩く人、スポーツのように楽しむ人、自分と向き合う時間を得るために選んだ人、年一度の休みのたびにサンティアゴ・デ・コンポステーラに戻ってくる人。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574481/picture_pc_c90ee56ffca397f5dc9bcb5ad525e95f.jpg?width=1200)
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574063/picture_pc_5ad131e02e6c5c83db2509028ffdffdd.jpg?width=1200)
ただ、多様で自由である「カミーノ・デ・サンティアゴ(スペイン語で巡礼路を歩くこと)」旅の根底に、ひとつ共通する軸が在るとしたら、それは「皆のゴールが同じ場所に定まっていてること」だった。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574090/picture_pc_86ae53bb20fe28fb2ec0f19fa05a59ad.jpg?width=1200)
私が今まで実行してきた旅と、大きく違うのはそこである。それぞれが、それぞれの時間を過ごして、やってくるその先は、皆がサンティアゴ。出会ったり、別れたり、名前も知らない誰かと交流して、道中でまた再び出会うこともあるだろう。だって、最後は同じ場所を目指すのだから。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574553/picture_pc_48cd6a31934061168bbf9fa799e6ab03.jpg?width=1200)
不思議で、美しい道のりなのだろう、と想像する。全長2000キロを歩く人もいれば、サンティアゴ巡礼の証明書は、「100キロ以上」となっているから、ミニマムの100キロで終える人もいるそうだ。最近は愛犬と歩く人も増えているし、姉妹やカップル、団体も多く見た。余談だけれど、サンティアゴの1年でもっとも大切な日は、サンティアゴ大聖堂に眠っているヤコブの生誕を祝う「ヤコブ祭」の日なのだけれど、私の誕生日は偶然にもヤコブと同じ7月25日だった。いつか、そう遠くない未来に、7月25日のゴールを目指して、1ヶ月、2ヶ月、この巡礼の道を歩くのもいいなと思う。
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574534/picture_pc_1f1160b1b84d5243d29983b2bbf92a95.jpg?width=1200)
今回は、巡礼にゆかりのある街を、訪れるという旅する仕事のためここに来た。そうしたら、まんまとその魅力にやられてしまった。流れゆく街並み、石畳に反射するスペイン語、朝から晩まで賑わうバルのタパスの良い香り、世界中から訪れる旅人たち。
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574610/picture_pc_68bc2c53f9c7dfd083e6454c26d0fec4.jpg?width=1200)
歩いてみたい、と純粋に思うようになった。大人になって、新しい夢が芽生えるなんて。今年、先に富士登山を実行していてよかった。今まで、熊野古道の巡礼や、お遍路にもそこまで現実味を持って憧れることはなかったけれど、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路と、熊野古道は姉妹「道」協定を、結んでいるそうなので、もしかしたらスペインを歩いた先に、和歌山を歩く日もあるかもしれない。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574564/picture_pc_fabc7e02170d12a008ba37710120f982.jpg?width=1200)
スペイン。2020年に世界が変わらなければ、数年暮らしていたかもしれない、住むことを計画していた国へ、2022年戻ってきた。海外。私、旅することが、やっぱり好きだ。沖縄と、東京と、海外と。「ここ」と「どこか」を、行ったり来たり。会社の名前を、Somewhere&Here、と名づけた理由は、私の根底に流れる血、みたいなものの表出なのだろうと思う。
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574589/picture_pc_2c5e5a867a9668cfeafdc60fe8640615.jpg?width=1200)
行ったり来たりする中で、生まれる気持ちや出会う何か。紡いでいって、感じたことを可視化していく人生を歩みたい。経験したことを、風に溶かして記憶の向こうに流してしまうのではなくて、手のひらですくって、残ったものを愛でるように。そう、忘れないように、忘れられないように、旅もモノも記憶も景色も、自然も色も匂いも感情も。紡いでいきたい。その繰り返しで、きっと私は生きていきたいのだろうと思うから。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574644/picture_pc_fa962ca01a3eba35dbe9e25ef786290e.jpg?width=1200)
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574666/picture_pc_4cc91fd870d299be9c167e80ead3abce.jpg?width=1200)
![画像16](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574688/picture_pc_f7f05b3afb58ff2711fa5039c48d3de4.jpg?width=1200)
![画像17](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574694/picture_pc_537116f58e4f82191a045ae4bada452b.jpg?width=1200)
![画像18](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574697/picture_pc_4e900131760a7181df80b66c7f29c5d3.jpg?width=1200)
![画像19](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574706/picture_pc_9b27fd070df446ca68bc2dc44ee9d5e8.jpg?width=1200)
![画像20](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574710/picture_pc_c647b3930b781c512672fdd72d301bde.jpg?width=1200)
![画像21](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88574714/picture_pc_458df0caac76912935a2047e566a4001.jpg?width=1200)
■旅の話は、Twitterでもつぶやいています
■リアルタイムは、Instagramのほうが登場率が高いです
■スペインに向かう飛行機で書いたnoteはこちら
いいなと思ったら応援しよう!
![伊佐 知美](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/60816081/profile_20e7c48a010a4b2084b2583ef4ddb3cb.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)