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たとえ遠くで暮らしていても、同じ花を同じ時間に、束ねることができる"今"を

ピンポン、と玄関の呼び鈴が鳴る。2020年秋の土曜日、午前中のこと。

「今日は花が届く日」と前々から決めていたから、あぁ、花が来たな、と思い当たりながら、「はーい」とドアに向かって返事をする。

荷物を受け取ると、やはり花が一式入ったダンボール。野菜や果物のように、花はきちんと生きている。たとえそれが、切り花であっても、だ。

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日本国内の花農家さんで採花され、都内のフラワーカンパニー「BOTANIC Inc.」に勤めるフローリストの手によってブーケ用に束ねられ、そして茎部分に保水剤がつけられて、大切に私の家まで届けられたこの花たち。

どうしてこんなに花が届く経路について、私が知っているかというと、2019年に日本に帰国して久しぶりに部屋を借りたとき、花がすきだということに気が付きすぎて、勢い余って花屋さんのお手伝いを始めさせてもらったから。

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今日は、その花屋さんと一緒に企画する、「オンラインフラワーショップ」を実施する予定の日だった。

日本国内、さまざまな場所で暮らす参加者のひとたちに、いま同じ日の午前中、同じ花が入ったダンボールが、届いているはず。

ずうっと、インターネット、というものを駆使して仕事をして、ウェブ上に文字を書き、写真を撮ってもデータにして、「手に取れない」ものを売り買いしてきた私の仕事(旅だって、手には取れない……五感は使うけれど、ね)。

花、という「生きたもの」が「届いて」「触れられる」「しかも、質量をともなって」という「事実」に、未だに私はすこし、驚かされたりしている。

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この春、突然「家にいる時間」が増えた私たち。できたら、でも、今までみたいに、同じ時間を過ごして、同じことに触れて、感じて、たとえば感想を得て、それを写真だったり、文章だったりに収めたい。

その対象が、たとえば花だったりしてもいい。花が届いたら、できれば茎を少しだけ切って、水に漬けて、そして午後のオンラインフラワーショップの時間まで待っている。

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時間になったら、参加者だけが知ることのできる、秘密のzoomのURLにログインする。中目黒の花屋にいるフローリスト、私、そして、この日は私が運営しているコミュニティ「#旅と写真と文章と」メンバーのうち、希望者の方がこのURLに遊びに来てくれる約束になっている。

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こんにちは、から始まる、ウェブ上のワークショップ。悪くない、悪くないよと私は思う。私たちは遠くで暮らしているけれど、いま、同じ花と、同じ時間と、同じ手触りを、共有していて。

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花を、部屋で、取り扱う。そして、出来上がったブーケやリースを、どこかに飾ろう。ふわり、空気が明るく光る。花があることが美しいのか、それとも、私たちがこうやって一緒の時を生きることが、尊いのか。

オンラインフラワーショップ、とても、とても、気に入っている。よければ、次回、ぜひ一緒に。

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一緒にオンラインフラワーワークショップを企画している花屋さんは、「Lifft(リフト)」といいます。中目黒にコンセプトショップがあるので、よかったらぜひ遊びにきてください。私も時折、そこにいます





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伊佐 知美
いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。

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