46.サバの竜田揚げ事件 その2

…続き。帰りの会、先生が「全員うつむいて。給食の魚をゴミ箱に捨てた人が正直に手をあげるまで、帰れません」と言いました。

まさか自分が、挙手の対象人物になるなんて、思ってもいませんでした。それくらい悪いことしちゃったんだと感じました。今までだと、こういうパターンはなかなか手が上がらず、何度も何度もやり直しになります。

私が挙げないことには、絶対に帰れない!誰も代わりに挙げないんだ。そう思うとすぐ正直に手を挙げることを決めました。覚悟を決めて挙げました。

「はい、手が上がったので、皆さん顔を上げて下さい」先生の声がかかり、安堵の声があちこちから漏れました。

その日の宿題の先生との交換ノートに勇気を振り絞ってこう書きました。

「今日はゴミ箱に魚を捨てたりしてすみませんでした。これからは二度としません。頑張って食べます。」

次の日の帰りの会に先生から戻ってきたノートには、「頑張って!パンの間に挟んで食べたら美味しいよ。」と書かれていました。

どれだけか日が経ち、再びサバの竜田揚げが給食で出た日、先生からのアドバイス通り、コッペパンに切り込みを入れて挟んで食べました。え?驚くほど普通に食べられました。

この日を境に、給食の好き嫌いは面白いほど全くなくなりました。今までのは何だったんだろうと不思議なくらいでした。

そして時間内に食べ終わるのも余裕になりました。強敵給食が、楽しい給食時間に変わったのでした。

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