JR上野駅公園口
12年の年月をかけて作られたそうだ。柳美里さんの話題の作品。何度と取材を重ねて来たのだろう、多大な資料を読み込み裏付けもきちんと取られた、ある種記録のような作品にも思えた。
運に恵まれない
たった一人の男の人生を描いている。
だけど、すごく壮大な大作を読んだ気がした。わたしはそれほどのエネルギーを消耗したのだ。
運がない。
そう嘆く知人が私にもいた。
考えるだけで胸が詰まる言葉だが、しばらく側にいると、そういう種の人が確かにいることを理解した。またそんな状況を引き寄せているのも、彼ら自身なのかもしれないと感じた。それが事実で悲しいことでも、わたしはそれを噛みしめることしかできない。
家族を持たないホームレスの方々の実情、東北地方から出稼ぎに東京に来た人々、貧困、格差社会、この国の天皇制、原発問題、災害。
読み進めるたび、多くの問題や課題、知らなかった事実が、心と頭に突き刺さる。
そして古くから伝わる東北の文化や言葉。
九州に生まれ育った自分には
縁の遠かった事柄が細かく表現され、
今更ながらその地に強く関心をもった。
ひとつ確かなこと。今のわたしには
もっと学びが必要だ。