コンセプトなくして刺さる商品無し
すべてはコンセプト作りから
以前の記事「メーカー化の壁:マーケティング」の中で、商品開発時のマーケット視点の重要性を書きました。
農業でも漁業でも製造業でも、マーケット視点でモノを作る。その際、得手に帆を揚げて、それぞれの得意なところを持ち寄る。
また、前回の記事(自社商品を世に出すための「素材ストック法」)で、こんなことも書きました。
その際、前提として「誰にどういう体験をしてもらうのか」というコンセプトを明確にすることは必須です。
世の中に「格好いいけど誰が買うんだろう」という商品や、「情報はたくさんあるけど何にも刺さらない」サイトが溢れてしまうのは、このコンセプト作りをないがしろにすることが原因です。商品を作るにもサイトを作るにも、第一にこのコンセプトが必要なのです。
『コンセプト作り』の言葉の通り、コンセプトは意図的に作るものです。いつの間にかあるものではありません。中には、そんなこと何も考えずにヒットした商品もあるでしょう。しかし、たまたまのラッキーパンチに賭けるのはプロではありません。ラッキーパンチとはボクシング用語ですが、ボクシングでラッキーパンチなど実は滅多に起こりません。長くボクシングを見ていても、「これはラッキーパンチの部類かな」と思えるものは、数えるほどです。つまり、そんな確率に賭けるのは、仕事を辞めて宝くじで生活しようとするようなものです(ちょっと極端か)。
では、そもそも、そのコンセプトとは何か?世の解説本は小難しく、大手事例ばかり書かれている印象なので、「大手がコンセプトすら考えずに商品作るかい」と突っ込みながら、ここは小規模な会社を想定してシンプルに考えましょう。
0.競合を知る
画期的な商品を思いついたと思っても、調べてみるとたくさん類似商品があるものです。その商品がどんなコンセプトなのか、まずそこを見てください。貴社にとってはオンリーワンでも、消費者にとってはその他大勢です。それを忘れて商品を作ると、他との違いがはっきりしないことになります。特に、大手が参入している分野だと価格ではとても勝てないので、「高い理由」を明確にする必要が出てきます。
1.誰に
その商品は誰に売るのか。シンプルですね。それをまず確認すると「中高年女性」というようなザックリした返答があったりするのですが、そうではなく、具体的に中心ユーザーを想定してください。
39歳、既婚、子供2人、仕事は独身時代から勤めている会社で営業職、子供がまだ小学生なので定時には帰らないといけない、時間に余裕がないのでランチはコンビニおにぎりが多い、肌荒れが気になる、それほど食べてないのに最近お腹周りの脂肪が増えてきた、でも体重は変わらず。痩せたいけど、生活は何も変わっていない。
くらいは最低でも想定します。こうやって、架空の人物像を詳細に設定することを「ペルソナ設定」(ユングのいう心理学的なペルソナとは少し意味合いが違いますが)と言い、コンセプト作りには欠かせないものです。上記はあくまで大雑把ですが、実際はもっと具体的に、複数人を設定します。
2.どんな経験をしてもらうか
次に、その中心ユーザーにどんな経験をしてもらいたいのか。上記のペルソナから続けると、
慌ただしいランチタイムに、手軽にコラーゲンをプラスすることで、肌荒れの悩みを解決してもらう。
子供優先で、自分の栄養バランスは考えない食生活になりがちなので、コンビニ食に手軽にプラスして、バランスを整えてもらう。
朝晩は子供、昼は仕事で自分の時間がほぼ取れない。この働くお母さんに共通した悩みは、お肌の曲がり角(笑)や体力が減少する年齢になると、余計に大きくなりますよね。肌が、、、とか便秘が、、、とか。それを、この商品で手軽に解決してもらう。といった「ユーザーエクスペリエンス」(ユーザー体験)を想定してください。
3.コンセプトを書き出す
こうやって見ると、実にシンプルです。しかし、ここがブレると、商品開発やプロモーションがブレます。パッケージのデザインも、プロモーションの媒体も、Webの見せ方も、的を外したものになりがちです。結局、「いろいろ書いているけれど、私に対するものではないかな」と誰もが感じてしまう商品になります。
これを防ぐために、このコンセプトは明文化していつでも確認できるようにしておいてください。
コンセプト作りは、書き出すと1冊の本になるくらいの奥行きがあります(実際このテーマの本はたくさんあります)が、商品開発をする前に、最低限、上記の4つを行うようにしてください。それが商品の「軸」になります。
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