時勢に流されないよう、時流を取り入れる
今の政治の混乱ぶりを見ていると本当にわかりやすいですが、何かにつけて右往左往しすぎるのが日本の政治です。あちこちに忖度するあまり自分の軸を持てず、結果、多くの産業を犠牲にしています。同時に、国際政治的にも、ふたつの大国に挟まれて、これまた右往左往。
その中で、政治、国際情勢に左右されやすい業種にいると、安定など永遠にやってこないのではないかと思います。
私は、Web/ECや中小M&Aのコンサルティングをしていますが、同時に、製造業対象の事業会社も経営しています。実際に関わっているので、上りのエスカレーターに乗ってもらう必要性を日々感じています。さらに、この製造業というのは、まあ政治、国際情勢に左右されまくる業種なんですね。
まず、鉄を扱う。世界の鉄生産の大半は中国で、2位のインド、3位の日本に比べて10倍くらいの生産量です。
世界の粗鋼生産量 国別ランキング2020
https://www.globalnote.jp/post-1402.html
今年は鉄の値段が上がりましたが、これが不思議と各社一斉に、同じ値上げ幅で動く(ここではテーマが違うので詳細は割愛しますが、これはこれで新聞社なみの価格カルテル)ものですから、値上げ前に一斉に駆け込み受注が来て、その後ピッタリ止まる。もっとも、コロナ不況の最中なので、駆け込みと言っても通常より少ないのですが、いずれにしても鉄の値段に左右されるビジネスです。
加えて、油を使う。製造業には油(工業用潤滑油や加工油など)もつきものですが、これまた世界情勢に大きく左右されます。トランプ元大統領によって中東和平がもたらされ、価格も安定していましたが、バイデンになって一気に上昇。原油価格は常に政治的駆け引きに利用されるので、原因は大統領が変わっただけではないのでしょうけれど、いずれにしても自分たちの力ではどうしようもない次元で左右されます。
自然条件に左右される農業、漁業などは、自分の力ではどうしようもないことには違いありませんが、政治情勢に左右されるというわけではありませんね。一部、他の国が違法に乱獲して、それを政府が強く規制できないなどの歯がゆい部分もありますが。
いずれにしても、これはビジネス上『不可抗力』とも言えますが、かと言って世間はこれを加味してくれるわけでもない。仮に銀行の担当者が『しょうがないですよね、わかります』と言っても、審査部は数字でしか判断しません。数字でしか判断しないなら、人間がやらなくてもいいのでは?とも思いますが。
このような『時勢』に飲み込まれないためには、『時流』に乗るしかありません。これまで何度も書いてきているように、業務の一部に時流を取り込むのです。
また、これから起業する場合は、できるだけこのような不可抗力に左右されない業種を選ぶのも重要ですね。世界情勢に左右されないもの。どんな状況になっても必要なもの。ある程度参入障壁があるもの。そこに時流を取り込むことができれば、盤石ですね。
世の中、正解のないことばかりです。これについても解はありません。あるいは、世界情勢に左右されないビジネスなんて、厳密にはないのかもしれません。しかし、振れ幅が小さいビジネスならそこら中にあります。
・・・最近知ったのですが、電気工事いいですね。ある程度の参入障壁(資格、許認可)があって、誰でも常時必要。基本、在庫商売ではない。利益率が高い。エアコンの取り付け工事なんて、夏と冬の2シーズンで一年分稼ぐのが普通のようです。これの営業やアフターフォロー、業務の効率化などにITを組み込んでいるところはどれくらいあるでしょうね。このようなビジネスに時流を取り込めば、最強だと思います。
自分の代だけでなく、ビジネスを次の代に継承するつもりなら、一度この視点で見直してみるのもいいと思います。