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作庭ってどんな感じで進めるの?〜①前さばき編 #0101

現在、4月5月は庭業界にとっては最高の繁忙期。作庭の仕事ってどんなプロセスで進めてるのよ?というのはご存知ない方も多いのかもしれません!

ということで、どんな感じで庭作るの?という作庭の話をしてみたいと思います。今回は前準備的な話(主に土木作業)ですかね。

庭の作業ってとにかく7割は「地味!」なんです!


春に照準を合わせてプランを立てる(寒冷地限定)

まず案件を取ってくるところですが、現状は口コミが一番多いですね。全体の7割くらいは口コミでしょうか。またはインスタやHP経由で入ってくる方もいますね〜。口コミだと、安定した客層になる+安心感がある反面、他のコミュニティだったり、別の仕事(例えば店舗内装とか)に繋がりにくい面もあるので、こちらから仕掛ける系の仕事も増やしたいところです。

で、わたくしの住む庄内地方は冬場猛烈な風雪にさらされるため、基本秋植えを行いません。つまり作庭の仕事は基本春、真夏になる手前くらいまでです。(一般的には秋植えもできますよ)
したがって、とにかく春に仕事が集中しまくる!!(声を大にして言いたい)という特徴があります。秋口は剪定や伐採仕事がメインになりますね。

春先は植木屋もにぎやかですな

春先に照準を絞っていくので、打ち合わせは前年から行います。

およその庭の希望を伺って図面を起こして、まず絵を描きます。
施主さんもいろいろなイメージを出して「こんなのがいい」となりますが、よくよく聞いていくと、あまり明確なイメージがなかったり、その土地では植えるのが困難な木を入れたかったりするので、大概「お任せで」となります。

お任せになった場合は、家族構成や趣味趣向(←これめっちゃ大事)好きそうな質感や素材、色なんかを見ていって提案を出します。
このプロセスが打ち合わせにおいて最も重要ですねーーー。

個人宅だと、新築から数年経って「そろそろ庭でも手を入れたいね」という案件が多いです。が、個人的には新築時点で庭の専門家を入れておいた方が、図面上も金額上も全体プランを立てやすくなって良いと思います。
しかし9割以上の方は、建築にお金かけたいために、庭はやっぱりやめた!が多いです。が、家の動線を考えると無視しない方がいいのにな、というのが実感です。この話は以前もちょびっと書いてましたね↓

スケッチを作っても、その通りにはならない

前年描いたスケッチを元に、施工する年の3月くらいに現場を回って現状確認に行きます。ここで追加の要望などが出るので、少し打ち合わせと大まかなスケジュールを確認していきます。

スケッチをこの時点で固めますが、木を植えたい場合に気を付けているのは、まず構図的には目線の動かし方。建築の「正面」を決めて、人間の目線がどう動くと「自然に」見えるのかを検証します。
具体的には、植栽スポットを3点置くと目線が安定するというのがセオリーです。が、建築の形や駐車場の配置などがあらかじめ決まっている場合は、その3点をずらしたり2点だけにしたりする場合も結構あります。(この辺りが制約として大きい)
また、3点にすると「奥行き」も作れるので、風景に深みが出るのと、遠近感で庭が広く見えます。

構図があらかた固まったら、植える木の数や樹種を考えます。
この時気を付けているのは

・植物と建物との「水平」を意識すること
・葉の色が単色にならないこと(ただし「濃度」は揃える)
・落葉:常緑(または常緑:落葉)の割合を7:3 程度にする
・枝ぶりが横に広がっていること
・花が順番に咲いてリレーのように秋まで楽しめること
・成長して10年経った時にどう見えるか

というあたりです。これはどれも結構大事ですね。
それぞれで1記事ずつ書けそうなレベルなので、今日はこのくらいにしといたるわ(なんのこっちゃ)

この中でも、意外と枝ぶりは大事ですねー。感覚的には生花や盆栽に近いのかもしれません。枝ぶりは後から変えていくのは難しいので、最初に「生ける」感じをイメージした方が良いと思っています。

実際に植木を見て、枝ぶりで構成を変えることも結構あります。山採れの曲がった樹種が良いのですが、なかなか買い付けに行けないので、近隣の植木屋さんなどを回って、気に入った高さと枝ぶりの木を探すことも多いです。
また、剪定をすれば良くなりそうな木を探してきて、秋口に剪定させてもらうことも結構ありますね。

資材選びも大事なんです

また、前年の時点であらかじめ資材系の調達も考えておきます。

わたくしはよくメタル(コルテンを使うことも結構あります)を花壇に使用したり、石の調達も考えます。
鉄のサビは緑と補色になるので、個人的には緑を際立たせる意味で使いやすい素材だと思っています。意外と鉄分も緑の生育に役立ちますし。

こんな感じでメタルを使っても面白い

メタルは現場で溶接をするので、運びやすいサイズ感かつある程度の存在感のある感じで使用します。(よく曲線で使います)
最近興味を持っているのは、基礎工事などに使われる鋼の型枠です。これは結構カッコよくて、商業施設みたいなのに使えるとかなりいい感じなんじゃないかと思ってます。

あとは石ですね。
石は、敷石など利用面で使うシーンと、景石的に風景を整える意味で置く石があります。個人的には敷石利用ではピンコロを使うことが多いので、景石をよく探しています。最近は割栗石のような不揃いな石を敷いたりする場面が多いでしょうか。大きな石も風景の安定のために置くのですが、何しろ重いので、なるべく使わずに済ませたいという施工側の実感(おい)

4月ごろから動き出すよ、土木作業

そして4月あたりから、ぼちぼちと作業を始めます。
作業をしているうちに変えた方が良さそうな点が出てきたりするので、その辺は動きながら変更を加えていきます。

しかし、庭の施工というのは7割方は地味な土木作業です。ひたすら穴を掘って、起伏を作るために土を運んではならして固めていくわけです。
この時、重機を使うことも結構あります。いわゆるユンボで穴を掘ったり動かしたりすると効率はとても良い。が、個人宅の場合、図面にない配管が唐突に現れたりするので、建築に近い場所は重機で掘らないことも結構あります。

重機レンタルは結構高かったりするので、近所で借りることもある
が、そんなことすると、故障して途中で止まったりする、、(↑その時の様子)

わたくしは一度、水道管を引っ掛けて巨大な噴水池を作ったことがあります、、。造園屋あるあるなんですが、もうやりたくないので、とにかくこの辺は慎重にやってます。(水道の元栓の場所は事前に確認するようになりました 笑)

ここまでが前さばき的な項目です。
で、いよいよここに木を入れていくという、造園屋にとっては一番の楽しみが
あるのですが、これはまた次回!ですな

ではでは!

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