作庭ってどんな感じで進めるの?〜②植え付け編 #0102
あまり一般的には知られていないであろう作庭について、①からの続きです!
地味な土木作業の次にはいよいよ、一番の楽しみである植栽が待っています。この回では、後編として植え付けについて語っていきたいと思います!
その前に土づくりをば
ですが、もう少し土木作業です(笑)
まず土を作ります。庭の作業については、とにかく排水が大事。幸い、庄内は元々海の底だったので、ほぼほぼ砂地。なので排水に関しては問題がないことが多いです。
が、新築の庭などは、再生砕石で埋め戻していることが多いため、ガチガチに固まった粘土や石の基盤になっていることが多いです。これはおそらく、コンクリートで固める前提が多いためだと思いますな。
で、そんな場合はまず排水の確保。掘っていって水が溜まりそうな場合は、「セミ穴」と呼ばれる細長い穴を下に掘っていって、籾殻燻炭と藁を入れます。
これで地中のセミの代わりを果たします。通常、土中には蝉の穴など空洞化した通路ができていて、そこを伝って水が流れたり、通気性が確保されて酸素が行き渡るわけです。自然の代行ですな。
で、植え付け界隈の土を入れ替えて、バーク堆肥(排水悪い時はパーライトなど)を入れて土壌を肥沃にしていきます。
ここまで行って、ようやく土の準備が完了!
植え付け
さて、いよいよ植え付けです!これが一番楽しいですねーやはり!
まず高木から入れて風景の軸を決めます。その軸から、周辺の植物を決めていきます。
このとき注意するのは、枝葉がバランスよく外に向くことと、葉の色合いのバランスを整える(例えば、濃い緑の葉ばかりにならないようにする)、常緑と落葉の比率を7:3 または3:7 程度になるようにする、というようなことです。
高木は、風で倒れる恐れもあるため固定するのですが、よく公園で見るような鳥居型の添木はugly なので使用しません。自然ではないしね。
そんな場合は、「地中で固定」を原則としています。非常に手間はかかりますが、これが転倒を防ぎ、見た目を整える上で最も効果的だと思っています。
メタルを先行して入れる場合も多い
メタルで土留めをつくることも多いので、その場合は大きな木を植えつけたあとに入れます。
大きな樹木でない場合は、先に土留めを作って植えつけますね。
いずれにしても、土のレベルが大きく動く場合は、土留めを先に入れて、そうでない場合は後で入れるということになります。
本当は先に作ったほうが効率的なのですが、手順を考えて、と言うことになります。
前回も書きましたが、メタルを使用するのは、錆びたときにグリーンとの補色になって緑が際立つのと、質感が植物の柔らかさと全く違うので、コントラして生み出しやすいからでもあります。
もっとも、メタルを使用しない現場もそれなりにありますが。
その場合は、石を積むなどして土留めを作っていきますね。
モックアップをしてみる
このくらいのタイミングで、いよいよ他の木を入れてモックアップをしてみます。
およそ、当初の図面通りに置いていきますが、枝ぶりのバランス、色合いのバランス、前後の配置などを見て、このタイミングで配置換えや入れ替えを行う場合もけっこうあります。
枝ぶりで思っていたのと印象が違うこともけっこうありますからね。
グラス系などは、秋にかけて大きくなるので、その辺のバランスも考えます。
注意するのは、密植(植えすぎ)にならないようにすることです。元の案から「抜く」こともわりとありますね。
しかし、実際には植え付けをしていくと、モックアップの段階から微妙に位置を変えながら入れることが多いです。植えながら、四方からバランスよくするのはなかなか絶妙な位置どりが必要ですからね、、。
石や下草を入れて完成
ある程度植え付けが終わったタイミングで、下草や石を入れていきます。
全体的な景色を「馴染ませる」ために、この辺りの足元に入るものは大変に重要です。割とこの辺りでプロとの「熟成感」の違いが出るように思います。
下草類は、1シーズンでかなり大きくなったり、次の年は繁殖したりするので、どんな生育をするのかを考えておくのは大事なことです。予想外の増え方をしたりもするので、そこも楽しめるようにするのが肝要ですな。
最近よくやるのは、足元にオージー系プランツ(グレビレア)やユッカなどを入れることですな。ウエストリンギアなども使いたいのですが、いかんせん耐寒性(というか冬の風と雪)に耐え切れるか不明なため、使っていません。
以前、自分の庭で試したときはうまくいかなかったからな、、と思いつつ、今季はトライしてみようかな、と思うとります。
石は割栗石を使うことが多いですね。なかなかこの辺には入ってこないので、仕入れるのが大変ですが、それなりの熟成感を出すにはもってこいです。
こんな感じかな。
具体的に見ていった方がわかりやすい気もするので、次回は今進めている案件の途中経過を見ながら解説してみます!
ではでは!
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