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妄想した場を実現するーNHKプロフェッショナル馬場正尊さん回 #0114

だいぶご無沙汰してしまいました、、。今日はテレビの感想回です。

家にはテレビが無いので、普段ほとんど見ることが無いのですが(前近代!)、先日は馬場正尊さんが出るということで、久しぶりにNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」を見ました。

学生の頃、リノベーション好きでハマっていたR不動産のことを思い出し、自分が好きなのは「場を作る」ことで、そこは当時から変わっていなかったんだなーと再発見しました。

馬場さんが代表を務めるOpen Aのリノベーション活動はカルチャーやコミュニティも含めた場づくりのまさに元祖。面白いので、ぜひサイトもみて見てくださいね!


東京R不動産と馬場さんと自分(薄ーい思い出話)

馬場さんとは20年以上前に薄ーく関わることがありました。
相変わらず当時のスタンスでお仕事をされていて、自分の学生の頃を思い出した次第です。

学生時代、バックパッカーとバイトに明け暮れていたわたくしは、社会や仕事からは距離を置いていて(斜に構えていて)、まったく働く気がありませんでした。
今でもそうですが。(おい)

わたくし学生当時、マガジンハウスという雑誌社に出入りをしていました。
BRUTUS やPOPEYE、ananやOlive など、カルチャーを生み出していた雑誌社ですな。その頃、カルチャー系で異色だったマガジンハウスのrelax という雑誌が好きだったわたくしは、勝手に履歴書を送ってHanakoという女性誌に拾われました。

そこで出会った大人たちは、ホントーに面白いひとたちばかりでした。
仕事の傍ら、バンドをやったり本を出したりする人も多くて、遊んでいるのか仕事しているのか、ってかいつ仕事してるのかサッパリわかりませんでした。それを見ていて、意外と働くのも面白いかもなーと思うようになりましたが、そこで働いている人たちは「ここを基準にしちゃいけないよ」と言っていて、実際その通りでしたw

すみません、脱線しました、、。
んで、その編集の仕事の一環で、R不動産の物件などもよく見るようになったわけです。こういう仕事は面白そうだ!と直感的に思って、とりあえず馬場さんに連絡しました。(どうやって連絡したかさっぱり覚えてないけど)

返事は来ないだろうなーと思いながらも、「馬場さんたちみたいなことやりたいので会いたいです!」みたいなことを言った(送った?)記憶があります。

すると、確かメールで「会いましょう!」ということになったのです。おお、びっくり!!が、しかし当日うまく連絡ができず、結局会えずじまいでした。
そしてわたくしはまた、アジア方面に旅に出てしまいました、、。

馬場さんとはそれっきりなのですが、当時メッセージをもらったとき「あるものに手を加えていくのはとても面白いけど、茨の道です」というようなコメントをもらって、今になると少しわかるなーという気がします。

「風景を作る」というロングセラー

いきなり思い出話になってしまいましたw

馬場さんの話の中で「風景を作っている」という話がありましたが、これは庭の仕事も同じなんですよね。ランドスケープの話と通じるところです。
というか本来建築とランドスケープって境界が曖昧なものだし、これからはランドスケープから建築を考えていくようになると思います。

馬場さんは、ご本人も番組内でおっしゃってましたが「自分が見ている風景(妄想)を実現することが設計やデザイン」という話に凝縮されておりますな。
結局、どんなにカッコいいものを作るか、ということよりも長く使われるもの、使われていく中で用途がどんどん変わっていくことが望ましいってことです。

一瞬のベストセラーよりもロングセラーこそが良いものです。それこそが土地や場所に根付いたものですもんね。木下斉さんもよく言ってますよね。

番組後半で訪問していた集合住宅の物件で、住民たちがマーケットを開催しているシーンがありました。
そこで馬場さんが「ここをこんなふうに使うんだ!」と言って喜んでいましたが、そうなんですよね。ランドスケープも同じですが、結局使う人が自分たちで使いやすいように解釈していくのが長く使うことの本質で、デザイナーってのは、その場を提供するだけなんですよね。

長く親しまれるランドスケープは解釈に余裕がある

面白くない不動産情報を面白くする

もう一つ、馬場さんのスタンスで共感するのはやはり「既にそこにあるものとの共同作業」ということが成り立っていることです。
基本的にはリノベーションですからね、やはりいまあるものをどのように活かしていくかがキモなわけです。(既にそこにあるものの話はここに書いてます↓)

R不動産なんかは、リノベーションしたものを賃貸したり売買したりすることができる、というのが当時はとても斬新なモデルでした。

何しろ、不動産情報ってただ載せているだけで、マーケット的な「これがいい」というツボをついていないですよね。特に地方だと顕著ですけど。
普通の不動産情報見ていると、図面と設備を載せているだけで、全然わかってないなーというのをいまだに感じます。

例えば、狭い物件の方がいい!とか、とにかくキッチンコンロの火力が強いところが!とか、ピンポイントでニーズに切り込んでいくことができていたのがR不動産でしたが、地方の面白そうな物件って、まだまだこの辺りができていないがために不幸なマッチング(または一切マッチングされず)を起こしていると思っています。

以前、わたくしも街中の雑居ビル(元着物屋?)が売りに出たので問い合わせたのですが、既に投資用として別の人に決まりかけていたようで断念したことがありました。
一階にグリーン&コーヒーの店舗作って、2階より上は工房として貸し出して、屋上庭園作ったらめっちゃいいじゃん!と妄想ができていたのですが、結局どこにでもあるようなペラペラのアパートに改築されていましたね。残念な限りです、、。

とにかく。地方の物件というのは宝の山です。面白い物件は山のように空いているのに、全く解放できていない。
そこを面白くワクワクさせる感じに見せるというマーケティング面と、かつ不動産の制度や地権者側を調整できる実務面を持った「馬場さん的」なアプローチを増やしていきたいよなーというという感じです。

とにかく一般に出回るものはカルチャーがない!ので、そこをマッチングできる仲介役が必要ですよ、ホントに。

人が集い、予想外の風景が生まれること

山形のQ1も出てきてましたね。
ここも廃校の利活用という、既にあるものを面白く再定義したものです。まだ行けていないのですが、、。ここも知り合いの話を聞くと、うまくカルチャーミックスして、共創プラットフォームとして機能しているようです。

馬場さんたちの仕事で特徴的なのは、「ミックスしている」ところです。
行政や企業参加含めてうまくカルチャーミックスしています。こういう施設って、独りよがりなアート活動的になりがちですけど、うまく市民参加させられていると思います。

知り合いの芸工大の学生も「地域のまとめ役の人から役割を任せられるので、自然と企業や行政とのつながりができて楽しい」という話をしていました。若い人たちが楽しいと思える企画や場所は、きっと良い場所だと思います。いい大人がたくさんいるんだろうなー。このあたりのことは、またいろいろ調査して書いてみますね。

最初に出した集合住宅の使い方についてもそうですが、場所というのは予想外に形を変えながら発展していくものだと思います。多分このQ1もそんな感じで変容していくと思います。

妄想通りにはならないけど、妄想以上のものになる、というのは作り手としてはこの上ない喜びなんですよね。
庭の仕事をしていると、「数十年後の残念な末路」もたくさん見ます。そうならないよう、面白い未来を描けるように、自分も既にそこにあるものと協働しながら「新しいもの」を作っているんだろうなーと改めて認識しました。元気をもらえましたよ!

みなさんもよかったらぜひプロフェッショナル、見てみてくださいね!

ではでは!

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