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ミヒャエル・エンデ 「論理的帰結」
大脳生理学の領域における画期的な発見で
ノーベル賞を受賞した
カール=ルートヴィッヒ・エーヴァルト教授は
2237年にタイムスリップ
そこでは
教授の学問上の子孫なる学者たちが教授を迎えた
パラドクス的時間移動体験が
自然現象であることが発見され
予測的に前もって計算できるようになり
そこでは悪をおこなうことが
「文字通り不可能」になっていた。
悪を行おうとすれば
脳操作により失神してしまうからだ
悪を為す脳の「黒い卵」を教授が発見した
「論理的帰結」がそこにあった
教授のまえに広がる、新しい世界は楽園のように思えた。出会う人間はみんな圧倒的におだやかで、やさしかった…犯罪はもうまるで起こらないということだった…交通事故も今では起こりえなかった。機械はもう、みんな完璧にまちがいがなくなり、人が決断を下す必要がなかった…
しかし
観光案内された教授はあることに気づく
音楽=「攻撃性に満ちた地獄」
映画=「暴力やサディズム、残酷なものばかり」
教会=「おぞましい拷問や責め苦の描写ばかり」
まさに悪を為せないがゆえ
まさにできないことだから、
それは尊ばれ、崇拝された
彼の時代に戻った教授は
急いで過去40年にわたる研究の成果を燃やした
教授は知らなかった。
ちょうど同じときに
ハイデルベルク大学で若い研究者が
教授がこれまでに発表した論文をもとに
同じ細胞群を発見したことを…
ロラン・バルトがだいぶん前に描写した
透明な日本🇯🇵ここにあり
因みに
この「論理的帰結」は
1989年に発刊された「エンデのメモ箱」に
収録されている
エンデの先見性 恐るべし。