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野菜の可愛さ

スーパーで買った豆苗を使い終わったので、残った根の部分を水につけて育て始めた。いわゆる「リボベジ」としては王道の豆苗だが、数年前に失敗して以来、ずっと育てるのを控えていた。そのときは、水をこまめに替えなかったせいか、茶色の豆の部分がぬめりを帯びてしまったのだ。

そんなことから、もうやるまいと思っていたのだが、今回はちょっとした気まぐれで、水を張ったプラカップに根をさしてしまったのである。連日の暑さと日差しのせいか、キッチン脇の窓からの光を受け、豆苗はすくすくと伸びている。こまめに水やりをし、ぬめりのもとを取り去っているおかげで、とりあえずは元気そうだ。なんだか可愛くも思えてきた。

以前、プランターで家庭菜園をやっていた叔父が、「鑑賞用の花よりも、野菜を育てた方が可愛く思える」と言っていた。「同じ植物なのになぜ?」「いずれ食べてしまうものなのになぜ?」という疑問が湧かないでもなかったが、今はその気持ちがよくわかる気がする。私自身、「何故?」ときかれても、まだ上手く言語化ができない。やはり、「野菜だから」と答えるしかないのだろうか。

いつか私の身体の一部になるものが、今日もけなげに成長を続けている。

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