Post-it! 気になる一曲 『Warrior』
アルバム『Argus』より
Wishbone Ash
1972年
ブリティッシュ・ツインギターバンドの雄、Wishbone Ashの名盤『Argus』収載の一曲。知る人ぞ知るバンドという印象のWishbone Ashだが、本国イギリスでは超有名バンドだ。
Wishbone Ashを知ったのは、たしか「ミュージック・スクエア」というラジオ番組だった。その昔、渋谷陽一氏が編集長を務める「ロッキング・オン」を購読していた(12カ月分揃うと背表紙に素敵な絵が現れるという仕掛けが懐かしい)が、その渋谷陽一氏が「ミュージック・スクエア」でオン・エアしたのが、この『Warrior』だったと思う。
地味だけど、中毒性の高いアルバム。なかでもこの『Warrior』冒頭のギターフレーズは、完全に自分の「脳内リフレインベスト10」にランキングされている。
ツインギターによる重厚なイントロから一転し、ツインボーカルのシンプルな美しいハーモニーを、ハイハット・ワークが見事に引き立てる。ツインギターとツイン(トリプル?)ボーカル、無骨なドラムで迎える大団円。通奏低音のように終始曲の屋台骨を支えるベース。教科書的な理想の曲展開だ。Wishbone Ashはこの後頻繁にメンバーチェンジをしているようだが、この4人以上の組み合わせってあるだろうか。
しかし、何だろうこれ、何かを思い出す。と思ったら『ヨイトマケの唄』だった。リズムが「エンヤ〜コ〜ラ〜♪」なのだ。腑に落ちた。ブリティッシュだけど、アメリカンな味わいもある。しかし、これは本質的にはジャパニーズである。くぅ〜、堪らない。泣けてくる。西日のガンガン当たる縁側で、スコッチでもなく、バーボンでもなく、日本酒を飲みながら一人聴き入りたい。
『Argus』は収録曲全てのクオリティが半端なく高く、70年代のブリティッシュ・ロックが好きな人ならば必聴の一枚だが、演歌や歌謡曲が好きな人にも、実はおすすめしたい。通して聴くと、プログレ的なトータルコンセプトアルバムの趣もあるが、プログレにありがちの小難しさは皆無だ。この奇を衒わないところがいい。ジャケットデザインは、あの「ヒプノシス」だということは最近知った。素晴らしいデザインだと思うが、CDだと、きっとその魅力は半減している。是非、LPレコードで聴いてみたいものだ。