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学校教育の可能性を感じる「特活」

みなさん、特別活動(特活)ってご存知でしょうか?

学校で行われる教科以外の活動全てのことを指す言葉です。

昭和30年代の戦後間もない頃、日本の家庭は教育どころではなかった。その時にある教師が開発した教育法で、家庭教育のなかで「躾」「対話」に当たる部分を、一部学校で仕込みましょうということで始まったものだそうです。

特活という言葉は聞いたことがなくても、日本の学校に通ったことのある方なら誰しも、学級会や掃除・給食当番、クラブ活動、運動会などを体験していると思います。

実はこれらの特活は、日本にしかないそうです。そして今や、モンゴルやエジプトなど、世界の教育機関が熱い視線を注いでいます。

東日本大震災の時、文句ひとつ言わず、いさかいも起さず支援物資を受け取る列に並んでいた日本人。自分も被災しているのに、支援に入った人への気遣いを忘れない日本人。お互いさまの心で、助け合って困難を乗り越えた日本人は、世界から驚愕と賞賛を集めました。

その理由が、特活の中に見出せるからでしょう。


昨日、その特活の第一人者の一人、八王子市立浅川小学校清水弘美校長の講演を伺う機会がありました。

清水先生の著作はこちら:


家庭での子育てはもちろん、会社経営にも参考になることがたくさんあったので、印象に残った点を少し紹介させていただきます。


1. 特活は Feel→Imagine→Do→Share で1サイクル

学級会を例にとってみます。

子どもたちは「こうなりたい」「こんなことをしたら楽しいのでは」など自分たちが感じたことを短冊に書いて意見を出し合い(Feel)、意思決定します。合意形成する場合には、多数決ではなく、みんなの意見を尊重して、折衷案をみんなで考える。例えば、カレーを食べたい子とハンバーグが食べたい子がいるとしたら、ハンバーグカレーにする、とかいう感じ。

会議のポイントは「なぜそれをやりたいの?」を深堀し、それを共有すること。現在の現状を踏まえて、未来どうなりたいかを明確にイメージさせます(Imagine)。そうすることにより、論理的思考能力も上がり、教科の成績も自然と上がるそうです。

実際に、お楽しみ会をするとしたら、個々の得意を生かし、役割をみんなで分担して協力し合うことが求められます(Do)。

最後に、振り返りをしますが、その時には例えば「楽しかった」といった単なる感想を述べるだけではNGです。自分/友達/集団の視点で、会の目標とねらいに照らし合わせて、それぞれの活躍がどうだったかを振り返ります(Share)

こんなに充実している学級会、会社の企画会議なんかよりずっと中身が濃そうです...。何よりも、PDCAサイクルだと、最初から「Plan」が来てるので、感じることが抜けていますね。論理的思考も大事ですが、まずはどう感じるか、どうしたいのか、を引き出す会議は、最初からやる気が出そうです。

また、清水先生曰く、人間というのはただ楽しいだけでは物事を遂行し続けることは難しく、人が元来持っている「役に立ちたい」という欲求を満たすことが非常に重要だそうです。


2. 対話の実践による、クリエイティブな学校生活

特活のゴールは自治の力をつけること。主体的に自分ごとで対話を図るため、自然と授業もアクティブラーニングになっていくそうです。
ここでの対話とは、「他人と」「自分と」「自然と」「本と」様々なものとの対話を指します。対話により、今ある自分の価値観が外から来た価値観と融合して、新しい価値観が生まれるーー。そんなクリエイティブな学校、ワクワクしますよね。


3. フォロワーシップを育てる

特活では、決して友達を否定しません。自分の意見も言うけれど、友達の意見もしっかりと聞き、最後はみんなの意見を取り入れた合意形成をするので、誰も置いていかれません。だから、自分に自信ができ、なんでも話し合える土壌ができます。そんな集団は、相互リスペクトが自然と生まれ、お互いをフォローし合い、より良い集団になっていきます。

そのほか、6年間同じ縦割り班での行事参加など、様々な仕掛けと技術が特活には詰まっています。ポイントは、どんなことも子どもたちが「自分で」やっているように仕立てること。そこが教師の技の見せ所の一つでもあります。また、特活はある意味稽古法なので、失敗してもいいから、是非どんどんやって経験を積んでほしいとのこと。詳しくは先述の著書に書かれているので、興味のある方はご覧ください。


清水先生が前任校で2年間、特活の研究授業を実施したら、当初16%だった自尊感情が、5年で60%にまで上がったそうです(全国平均35%)。また、それに伴って規範意識も上がるとか。子どもたちが自主的に行動するようになるので、先生方の負担はどんどん軽くなっていくとのことでした。


清水先生のインタビュー映像もあるので合わせてご覧ください:


長くなりましたが、読んでいただいてありがとうございました。














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