今回の恋愛のすべてが終わった。
今日、元恋人に荷物を渡して、全部が終わった。
電話で別れが決まったので、直接会うのは2週間ぶり。
久々に彼の顔を見たら、なんだか急に名残惜しくなった。
彼と人生観が違うと分かって、ずっといっしょではないだろうという覚悟の上でお付き合いしていたけど、それでも楽しい思い出は沢山あった。
別れると決まってから、私はそれを正当化することに必死で
「彼のあんなところが好きじゃなかった」
「別れたら私にこんなメリットがある」
とか、いろいろ身勝手に考えていたけど
全てが終わった今、やっぱり私は彼の存在に大きく救われていたと思って泣いている。今さら気づいてしまった。
出会った当初の私は、無職で、すこぶる体調が悪くて、復職目処も立っていなくて。付き合う上ではあまりにも心配な点が多かったと思う。
でも、彼は私と付き合うことを決断してくれた。
付き合い始めた頃、15分歩くだけで体調を崩してしまう私を気遣って、車で支笏湖に連れて行ってくれた。その優しさに私は生きてていいんだと思った。
一緒に海外に行こうとか、夏は新潟の花火大会を観に行こうとか、電車で一緒に駅弁を食べようとか。
彼と一緒に描いていた未来が、別れが決まった瞬間に消えた。札幌にひとりぽつんと取り残された気分だ。
気持ちを切り替えようと思い、今週、勢いでマッチングアプリを始めたが、そこで元恋人のありがたみが痛いほどわかった。
私は、北海道では『珍しい』というジャンルに入る。東京から札幌に移住して、それを機に仕事もやめて、今は無職で、将来は海外で生活したいと思ってる女なんて、そうそう居ない。
アプリで出会った人に「北海道ではなかなか出会えないタイプの方ですね」と言われたが、私はその言葉があまり好きではない。
元恋人は、そんな私を面白がってくれていた。
「俺も将来的には北海道にずっといるつもりはないよ」と共感してくれたし、適応障害で休職に至った私に「ともこは悪くないでしょ、会社のせいでしょ」とズバっと言ってくれたり、彼の言葉に何度も救われた。
彼は、別れの最後に「元気でね」と私に言った。
一方の私は彼に何も言うつもりがなかったし、何も言わなかった。今になって、すごく不誠実な態度を取ってしまったと反省している。
私は、大切にされていたんだと思う。
だけど、お互いの人生観は違っていて、二人ともそれに本気で向き合おうとしなかった。私は自分のことに精一杯で「もう恋愛を手放したい」と思ってしまった。
でも、こんな簡単に終わってしまうなんて知らなかった。
4ヶ月ほどの短い恋愛は、私に少し夢を見せてくれた。この世は捨てたもんじゃないと勇気をくれた。
それに最後に気づけてよかったと思う。