片づけはじめたそのときから、人は人生のリセットを迫られる
試験前日の夜。
どうにも勉強に手がつかず、無性に片づけたくなった経験、ありませんか。
この試験前の「片づけたい衝動」、けっこう一般的な現象のようです。
どうやら試験前にかぎらず、せっぱつまった状況になると片づけたくなる人が多いようです。
このように、無性に片づけがしたくなるとき、それは部屋を片づけたいときではありません。
心理的に片づけたい「別の何か」があるときです。
本当は勉強をしなければいけないから心がざわざわしているのだけど、
目の前が散らかっていることで「部屋を片づけなきゃ」という心のざわざわが起こり、問題のすり替えが起きていると考えられます。
その証拠に、試験前の片づけたい衝動が試験後に続いているケースはまれです。
無事に試験が終わって家に帰ってくると、片づけのことなどすっかり忘れてしまい、また元の生活に戻ってしまっているのではないでしょうか。
これは、試験勉強をしなくてはならないという問題が「片づいてしまった」からです。
しかし、じつのところ、部屋の乱れを直しただけでは心の乱れがなくなるわけではありません。
たしかに部屋をスッキリさせると、一時的に気分はスッキリします。
でも、これが落とし穴で、心が乱れていた本当の原因は解決されていません。
毎回、物理的な片づけに向き合っていては、心理的な片づけにまで考えが到着しないまま、一時のスッキリ感にごまかされてやり過ごしてしまうのです。
ここで、片づける以前の問題である「部屋が散らかっている状態」について考えてみましょう。
そもそも、部屋が自然に散らかることはありません。
住んでいる自分が部屋を散らかしているのです。
「部屋の乱れは心の乱れ」という言葉がありますが、
散らかっている状態というのは、物理的なこと以外に本当は問題があるのだけれど、目の前のごちゃごちゃ感でごまかされてしまっている状態だと考えられます。
散らかすという行為は、問題の本質から目をそらすための人間の防衛本能です。
「さっぱりしすぎた部屋だと、なんだか落ち着きません」という場合は、
その違和感に真剣に向き合ってみると、
自分が心の底で気にしている真の問題が浮き彫りになるかもしれません。
片づけをして部屋がさっぱりきれいになると、
自然と自分の気持ちや内面に向き合わざるをえなくなります。
目をそらしていた問題に気づかされ、いやおうでも解決せざるをえなくなる。
片づけはじめたそのときから、人生のリセットを迫られるのです。
そしてその結果、人生が大きく動きはじめていきます。
だから、片づけはさっさと完了させる。
そして、本当に自分の向き合うべき問題に向き合っていく。
片づけはたんなる手法であって、それ自体が目的ではありません。
本当の目的は、片づけたあと、どう生きるかにあるはずだと思いませんか。
~30代女性のための心と体の健康アドバイザー~