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【書評】レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

【ポイント】
・レンタルなんもしない人は文字通り何もしない人。ごく簡単な受け答えには応じる。

・本の主な内容はレンタルなんもしない人のツイート。依頼内容、引き受けるまでの経緯など。NGになった依頼内容も強烈なものが多く、笑える。

【感想】
レンタルなんもしない人の本が出ると聞いて、早速手に取ってよんでみた。

最初はてっきりレンタルなんもしない人のサクセスストーリーが描かれた自己啓発本かと思ったけど、そういうものではなく、上記の通り、レンタルなんもしない人のツイートが本の内容となっている。

レンタルなんもしない人がスタートしてから、受けた依頼、そこで経験した事のツイートが時系列で書かれている。

普通の人であれば、ツイートが本になることは稀であろうが、それが可能なくらいに濃く、面白い物語だった。

昨年6月からスタートして、まだ一年も経っていないけど、恐らく本人は他の人の数年分の経験をしたんじゃないかってくらい、毎日色んな事が起こっている。

例えば、ご飯一緒に食べる相手になったり、裁判傍聴する人になったり、一緒に映画観賞する人になったり。。。

まだまだ面白い出来事はあるんだけど、絶対に1年以内にこなせない経験をしているはずだ。

Twitterは140文字だけ投稿できるSNSだけど、ここまで物語が生まれるものかと衝撃を受けた。

また、レンタルなんもしない人に依頼する人の多くは、「1人で○○するのは不安なので…」と孤独を避ける為に依頼している人が多いようだ。

日本人ならではの悩み・不安感と日本人の感覚から大きく外れた数奇な存在が絶妙な化学反応を起こして、レンタルなんもしない人への需要が増えたのだと思う。

これは、昨今話題のユーチューバー、インスタグラマー等にも言えることだろう。

日本には、学校に行って、卒業後は働いてサラリーマンとしてのキャリアを積むという典型的なレールがある。

そこから外れた人達は、一昔前までは完全に変人扱いされていた。

しかし、SNSが誕生して以降、自分が変人であることを敢えてアピールすることで、レールに乗って苦しんでいる人に「こんな生き方があったんだ!」と気づかせる存在へと変わった。

だから、インフルエンサーと言われる人達は色んな化学反応を起こしている。

特に、レンタルなんもしない人は全く何もしない事が売りになっている。

逆に、プロとして何かを提供する、言わゆる「何でもする人」は衰退する時代。

こんな事、つい数年前まではあり得なかった話。

書評を読んでる方で、息苦しさを味わってる方は一度、SNS界隈を覗いてみると良いでしょう。

なんもしなかった話と言いつつ、色んな気付きを与えてくれる本でした。

オススメ度95%のお薦め本です!

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