見出し画像

ブランド戦略もトレースで学べる #ブランディングトレース の方法とワークシート公開

ブランディングを学ぶとなったらどのように学ぶと良いのか?

学ぶ選択肢は無数にある。

・クリエイターの書籍やセミナー
・ブランド戦略の書籍
・フォトショップやイラストレーターの解説本

そして、どの手法も実践できれば効果的だと感じている。

しかし、誰もが感じたことがあるのではないだろうか・・・

結局「ブランド」って何なの?

学んでみたものの、
ブランドは「世界観」のこと?
「コミュニケーションのこと」
なんなの?

このように混乱される方も多いのではないでしょうか。

それだけ『ブランディング』は多様な解釈が多く、掴みどころがない言葉。
もちろん定義は先人が言葉にしてくださっている。

ブランディングとは、企業が自社の製品等を競争相手の製品等と識別化または差別化するためのネーム、ロゴ、マーク、シンボル、パッケージ・デザインなどの標章を創造・管理するプロセスである

デービッド・アーカー ブランド論より

しかし、言葉だけでは実践に結びつけにくい。

ブランディングもトレースで学べるはず

ではどうやってブランディングを学ぶと良いのか?

オススメしたいのがトレース(なぞる、写す)

ブランディングに成功している企業の戦略をトレースすれば、ブランドの全体像を理解できる。

#ブランディングトレース

ということで、#ブランディングトレース を開発してみた。

「身近」にあるブランドの構造を読み解き、戦略を考える力を鍛えるトレーニング

ブランディングトレースとは何か?

「マーケターの筋トレ マーケティングトレース」の姉妹版トレーニングとして位置付けている。

ブランディングトレースの手順

ここからブランディングトレースの実践手順を解説していく。

3つの手順で進めてみてもらいたい。

トレーニング手順
1. テーマ企業を決める
2. ワークシートを活用してブランド構造を理解する
3. もし自分がリブランディングをするとしたらを考えてみる

ブランディングトレースの手順

テーマ企業は、ご自身が大好き、または尊敬するブランドを選んでもらえばOK。

ワークシートはこちら

誰でも実践できるようブランディングトレースのワークシートを公開してみたい。

このシートを元に、選んだ自分が大好き、もしくは大尊敬するブランドをトレースしていくと、自然とブランド戦略の全体像が理解できるはずだ。

ワークシートの記載項目の詳細はこちら。

画像3

具体的にどのように考えていくと良いのか?

ブランド戦略を読み解く9つの要素を解説

ワークシートで記載していく視点を解説していく。

世界観
1. ブランド起源/歴史
2. ブランドビジョン/哲学
3. ブランド提供価値

戦略
4. ブランドラインナップ/構造
5. ブランドシンボル/想起キーワード
6. エビデンス/ファクト(根拠や事実)

戦術
7. ターゲット(伝える人)
8. タグライン(伝えるコト)
9. タッチポイント(伝える場所)

ブランド戦略を読み解く9要素

ブランディングの考え方を順を追って整理していくので、取り組む上での参考にしてもらいたい。

1. 世界観を理解する(ワークシート上段)

画像4

最初に、どのようにブランドの世界観や価値観が形成されているかを理解していく。

MVV=ミッション・ビジョン・バリューと言われるものがある。

また、商品ブランドの場合は、MVVではなくベネフィット(顧客への便益)の視点で捉えるとわかりやすくなる。

トレースしているブランドは、どんなミッション・ビジョン・バリューを掲げている、もしくは顧客へのベネフィットを伝えているかを確認し、主要なポイントを書き出してみる。

ブランドの観察視点

2. 戦略を理解する(ワークシート中段)

画像6

続いて、ブランドはどんな仕組みで成り立っていて、どんな想起イメージを獲得しているのかを理解していく。

ブランドの構造とは、関連ブランドとの関係性を捉えていくこと。

Apple→iPhone
ネスレ→キットカット
など、会社ブランドと商品ブランドは異なり、さらに間に事業ブランドが入ることも多い。

また、ブランドのネーミングが与える影響も見ていく。

大きくは、会社名と商品ブランドのネーミングに共通のワードが入っているマスターブランドと、会社名と商品名が切り離されているマルチブランドの2つに分かれる。

さらに間にサブブランド、保証付ブランド、ハイブリッドブランドなど分かれるが、まずはマスター or マルチの2つの括りで捉えていく。

ブランドの構造によって取るべき戦略が変わる
1. コーポレート⇄事業⇄商品ブランドの分解
2  マスターorマルチブランド戦略の理解

をすることでブランド戦略を理解する

ブランドの観察視点

中心にあるブランド想起は、名前の通りでどのようなキーワードがそのブランドロゴから思い出されるかを整理していく。

ここはSNS上での口コミや、自分なりのイメージを書き出していく。

このキーワードの集合体がブランドのパーソナリティ・人格を形成していく。

12の元型・アーキタイプをもとにブランドのパーソナリティを考えていく

このArchetype(アーキタイプ)は、スイスの心理学者カール・グスタフ・ユングによって発展させられた人間が夢に見る象徴やイメージをつくりだす「元型」と呼ばれるもの。

そして、よく言われるトンマナという言葉は、このブランドイメージ・パーソナリティをもとに一貫性を保つコミュニケーション設計に使われる。

真ん中右にあるエビデンス/ファクトは、ブランドが信頼される根拠と要素のこと。

ブランドの想起や信頼は、どんな裏側の仕組みによって成り立つのかを考えていく。

3. 戦術を理解する(ワークシート下段)

画像8

最後に、ブランドが具体的な誰に対して、どんなメッセージを、どのような場所(タッチポイント)で伝えているのかを理解していく。

これはカスタマージャーニーマップと言われる、ブランドとの出会いを旅に表して表現するツールのイメージで捉えてもらうとわかりやすい。

左下のターゲットは言葉の通り、象徴的な顧客像を記載する。

ロイヤル顧客と呼ばれる人をイメージすると整理しやすい。

伝えること・メッセージは、何の価値を伝えているかを観察してみると面白い。

ブランド価値は大きく3つに分類できる。

右下のタッチポイントは、ブランドと顧客の接点のこと。
どんなメディアでブランドがメッセージを伝えているかを考えて整理していく。

ブランドコミュニケーションをさらに掘り下げたい場合は、クリエイティブブリーフの考え方を使うこともオススメ。

どこから情報インプットするのか?

生成AIで情報を集めても問題ないと考えている。

下記のプロンプトを参考に、情報を集めて、情報同士の因果関係を読み解いたり、仮説を考えることに時間を使いたい。

ブランディングトレースのプロンプト

下記のブランドのブランド戦略を分析。

#目的
添付のブランディングフォーマットに基づき、ブランド起源/歴史、ブランドビジョン、ブランドバリュー、ブランドラインナップ/構造、ブランドシンボル/想起キーワード、エビデンス/ファクト(根拠や事実)、ターゲット(伝える人)、タグライン(伝えるコト)、タッチポイント(伝える場所)を明確化する。

上記項目が一貫性を持ち、ストーリーとして成立するように体系立ててまとめる。

#背景
・トレース企業のブランドを改めて整理・再構築
・なぜこのブランドの戦略が機能するのかを理解する

#アウトプットイメージ
・ブランドトレースの9項目(起源/歴史、ビジョン、バリュー、ラインナップ/構造、シンボル/キーワード、エビデンス、ターゲット、タグライン、タッチポイント)がすべて埋まった、一貫性のあるブランドの全体像。
・それぞれの項目について、一文~数行程度の簡潔な説明が含まれている。
・具体例や補足説明が必要な場合は箇条書きなどでわかりやすく提示されている。

#参考視点・インプット元
・公式サイトの情報を中心に考察
・ブランドの現状:どのようなサービス/製品を提供しているか、どのような特徴があるか
• 競合他社のブランド戦略:市場内でのポジショニングや差別化要素
• 顧客インサイト:現状の顧客層、ペルソナ、課題やニーズ
• コアバリューやミッション:企業全体または事業部門としての使命や独自の強み
• 実績・定量的データ:売上や利用者数、顧客満足度、受賞履歴、特許など

「上記の#目的、#背景、#アウトプットイメージ、#参考視点・インプット元を考慮し、以下の項目をすべて埋めたブランドトレースを作成してください。項目名ごとに見出しをつけ、できるだけ体系的にわかりやすく表現してください。
1. ブランド起源/歴史
2. ブランドビジョン
3. ブランドバリュー
4. ブランドラインナップ/構造
5. ブランドシンボル/想起キーワード
6. エビデンス/ファクト(根拠や事実)
7. ターゲット(伝える人)
8. タグライン(伝えるコト)
9. タッチポイント(伝える場所)

必要に応じて、各項目ごとに箇条書きや簡単な説明を入れてください。

ハーゲンダッツの情報は一瞬でこのレベルで情報取得はできる。
(これだけで終わらず、自分なりに観察、問い、仮説出しができるかが重要だと考えている)

https://www.perplexity.ai/search/xia-ji-nohurantonohurantozhan-B0m5cy1xStGWFiySrvjB4A#0


最後に:もし自分がリブランディングをするとしたら?

最後に自分がそのブランドをリブランディングするとしたら?を考えて、より学びを深めていく。

20210124ブランディングトレース_ワークシート.002

自分だったら、ブランドが築いてきた資源を活かして、どんな言葉や、どんな仕掛けをしてブランド価値を上げるか?を考えてみることで学びの質は高まるはず。

ワークシートの完成例

みんな大好きハーゲンダッツでブランディングトレースの型を作成してみると、このイメージとなる。

Schoo授業ではグラレコ描いて頂いたので、ご紹介…!

画像14
画像15

ワークシートのダウンロードはこちらから!


マーケティングトレースとセットでご活用頂くことで、よりブランドの戦略や構造を深く理解できると考えている。

※マーケティングトレースのワークシートはこちら。

ブランディングも、マーケティング同様にビジネスパーソン全員が基本構造を理解し、使いこなせると仕事の幅が広がる領域だと思っています。

ブランディングトレースを通じて、たくさんの人が、ブランドを理解し、自分ゴトとして捉え、仕事に活かしてもらえたら嬉しいです!