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マーケティング思考力が高い組織をつくるために、アイリスオーヤマから学べること

一橋ビジネスレビューの2024年夏号を読んでいて、アイリスオーヤマが優れた戦略を表彰するポーター賞を受賞したことと併せてその戦略の裏側について説明された記事がありました。

読んでいて感じたのは、アイリスオーヤマの経営の仕組みには「マーケティング思考をもった組織」をつくるヒントが詰まっているということです。

そのことについてツイートしたのがこちら。

このnoteではアイリスオーヤマの組織の仕組みと、実務への応用方法について整理しながら書いていきます。

先に全体像を。
マーケティング思考をもった組織をつくるための行動設計シートをまとめています。

マーケティング思考をもった組織の要素分解
参考:Impact of Organizational Structural Characteristics on Market-Oriented Behavior 組織の構造的特性が市場志向行動に与える影響(高橋 友輔)

マーケティング思考をもった組織は、市場や顧客ニーズの変化に対して「学習・共有・対応」の行動が適切に取られているという考え方をもとに項目を整理しています。

この考え方を、アイリスオーヤマの優れた経営の仕組み例をもとに解説をしていきます。

アイリスオーヤマの強さを支える仕組みを分解

1. 【学習】顧客ニーズを1人1人が考える「ICジャーナル」


アイリスオーヤマでは、1万人近くの社員が毎日200文字以内で、顧客ニーズ・市場トレンドについて「自身の改善意志」も含めて記録する社内システムとルールがあるようです。

大山会長のインタビュー記事にて下記のように語られています。

現在も1年に約1000アイテムの新商品を発売していますが、そのアイデアの鍵は情報共有です。当社の社員は全員ジャーナリストであるとの考えのもと、毎日200字以内でICジャーナル(IC=インフォメーション&コミュニケーション)を書いています。

単に、「商談を何件した、売り上げがこれだけ上がった」という報告書とは異なり、自分の意見をまとめて書くもの。それによって考える癖、分かりやすくまとめる力がつくのみならず、誰もが閲覧・検索が可能なため、アイデアの源泉となっています。私も毎日3回に分けて読むのを楽しみにしています。

致知出版社 アイリスオーヤマ会長・大山健太郎が明かす──世界的ヒット商品を生み出してきた「NDD」とは?

この全員ジャーナリストという表現が良いですよね。

マーケティングの実践につなぐ視点をまとめます。

1. 顧客ニーズを観察して言語化して共有することを、全員が役割としてもつ
2. その内容は経営層が目を通して学習+フィードバックする

※この2つは評価指標と紐づいていることが理想

アイリスオーヤマから学ぶ組織学習の行動

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