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世界のみなさんこんにちは、はたまたこんばんは!
偏差値が低くても読みやすい哲学書はないかと、蔦屋を模索した挙句に拾ってきた本になります。

タイトルからしてそのまま「わかりやすい哲学」!!!
著書 小川仁志 さん
非常に哲学初心者、哲初の私でも偉人や各哲学用語について理解できる1冊となっておりました。

今回は「わかりやすい哲学」についての概要をまとめてみます。

哲学を学びなおす!


一度はどこかで聞いた言葉や哲学者の名前。でもきちんと学んだ記憶がない。
そういう人は私も含めて多いはず。

さらにいうと哲学なんて今更勉強して何の役に立つのか?
と疑問を感じる人も多いはず。
意外かもしれませんが、哲学ほど世の中の役に立つ学問はありません。

哲学は物事の本質を探究する学問です。
上手くいっている人や成功している人は、みなきちんと本質を捉えています。

少子高齢化で行き詰まる社会。他方、AIやインターネットが急速な発展を遂げ第4次産業革命の最中に我々は身を投じています。

そうした激しい時代の変化に対応していくためには、その変化の本質を捉えることが不可欠です。

哲学とは?

哲学とは、その成り立ちは「世界はどんな原理で動いているのだろうか?」というシンプルな問いに答えようとしたところから始まっています。

哲学は歴史上偉大な哲学者たちが悪戦苦闘の末にたどり着いた、普遍的な英知の積み重ねです。

哲学を通して本当の自分を知れば、「幸せとは何か?」がわかってくる。

難解なイメージが強い哲学ですが、順序に従って学んでいけば、実はそれほど難しいものではありません。

哲学は、まず入門書で学ぶことからはじめるのがいいと著者は言います。
小川さんのおすすめ本は、
「図解 使える哲学」(KADOKAWA/中経出版刊)
「世界のエリートが学んでいる教養としての哲学」(PHP研究所刊)

をお勧めしています。

西洋哲学の歴史は、古代ギリシャ哲学、中世哲学、近代哲学、現代思想の4つに分けることができます。

これから偉大なる哲学者の概要を見ていきます。

01 ソクラテス

紀元前469頃~紀元前399年
主な概念:無知の知、アレテー、問答法


ソクラテス

古代ギリシャで活躍した、哲学の父とも呼ばれる存在です。
対話を重視して著作を残さなかったため、半生は謎のベールに包まれた哲学者でもあります。

ソクラテスは、自分よりも賢いソフィスト(ギリシャの知識人)たちに質問をして回り、問答を繰り返しました。
問答を繰り返しているうちに、ソクラテスはあることに気づきました。
知らないくせに知っていると自惚れる人よりも、知らないことを自覚している人の方が賢いのではないかと。
この気付きこそソクラテスの提唱した、かの有名な「無知の知」です。

また、ソクラテスは善悪を正しく判断するために知識を得ることが重要だと考えました。
知識は、優れた魂を持つという目的のための手段だと位置づけたのです。
この考えを「知徳合一」といい、それが自身の生き方にも影響を与え、行動に反映されることを「知行合一」といいます。


02 プラトン

紀元前427~紀元前327年
主な概念:イデア論、感性論、芸術論
主著:「ソクラテスの弁明」「国家」


プラトン

ソクラテスの弟子。

プラトンが考え抜いたのは、あらゆる人に共通する永遠で普遍的な真理です。
たとえば、数学や幾何学に出てくる絶対不変の法則と同じような真理が、人々の生き方や善悪の基準にも存在すると考えました。

プラトンの最大の功績は、「イデア」の発見である。
感覚を超越した存在、理想的なイメージが我々のなかに存在すると考えたのです。

プラトンは私たちが生きている世界は感覚によってとらえられ、絶えず変化する世界であるとして「現象界」と名付けました。
一方現象界の原型が存在する永久不滅の完全な世界を「イデア界」とし、人間のた魂はもともとイデア界に棲んでいたと考えました。


03 アリストテレス

紀元前384~322年
主な概念:形而上学、三段論法、自然学
主著:「オルガノン」「形而上学」「自然学」


アリストテレス

プラトンの弟子。
プラトンは現実を超越したところにあるイデア界にこそ、物事の本質が存在すると説きました。
しかし、アリストテレスは現実主義者であった。
彼が重視したのは、経験と観察を基盤にした現実主義の哲学者です。

アリストテレスは、世の中の事物は本質的な特徴である形相(エイドス)と材料となる質料(ヒュレー)によって成り立っていると考えました。
この世にあるすべてのものは、なるべき形相を目指して発展していくものであるという考え方で、これを「目的論的自然観」※1といい、可能態(デュミナス)、現実態(エネルゲイア)という言葉で説明している。

※1 目的論的自然観 / 自然は自らのうちに目的を有し、その目的を自己実現するために存在しているとみなす考え。

04 アウグスティヌス

354年〜430年
主な概念:歴史哲学、恩寵説、予定説など
主著:告白、神の国など


アウグスティヌス

アウグスティヌスは、「歴史哲学」を構想した最初の一人に数えられています。
アウグスティヌスは、「知る」ためには未知の世界を捜し求める必要があり、そのためには「信じる」態度が必要だと説きました。

信じることこそが人間の知性の条件であると、アウグスティヌスは考えたのです。

アウグスティヌスは、キリスト教がローマ帝国に公認され、国教となった時期に活躍しました。
そのため、キリスト教的な思想を根幹に据えていますし、教会のあり方を整理した「恩寵説」は、その後のキリスト教の指針を決定づけた理論として知られます。


05 トマス・アクィナス

1225年〜1274年
主な概念:存在論、スコア哲学など
主著:「神学大全」「命題論集注解」「対異教徒大全」など

トマス・アクィナス

アクィナスが生きた時代、神学は絶対的な存在として考えられ、教会の批判は許されない環境にありました。
ところが、当時ヨーロッパの物理学や数学の発展は目覚ましく、さまざまな面で矛盾が生じていたのです。
また、アリストテレスの哲学が再発見され、当時の哲学界に大きな論争を巻き起こしました。
「あらゆるものが質料から形相へ向かう」という、アリストテレス哲学の目的論的な自然観と、キリスト教の世界観を融合させようとしたのです。
理論を使って両者を結びつける思想を「スコラ哲学」※1といいます。

理性が影響を及ぼす学問として神学を成立させたアクティナスですが、最高の知は無知の自覚であるとして、神については神秘主義の立場を取っていました。

※2/西ヨーロッパの中世聖堂や修道院の附属学院「スコラ」で教育研究された哲学。

06 デカルト

1596年〜1650年
出身:フランス・アンドルーエ=ロワール県
主な概念:方法的懐疑、コギト・エルゴ・スム、神の存在証明など
主著:「方法序説」「情念論」

デカルト

「方法的懐疑」
懐疑を抱く事が本人が意識的・仮定的であること、一度でも惑い生じたのならば完全に排除して探究を行うこと、そうして確実なものに到達するまでの手段として行われる懐疑を指す。

「方法的懐疑」で最も重要なテーマが「コギト・エルゴ・スム(我思う、故に我あり)」という一つの命題です。
感覚的な物事だけでなく、1+1=2のような数学的(理性的)知識でさえ、真実なのかどうか、疑う余地があるのではないかと考えました。

デカルトの姿勢は一貫していて、著書『方法序説』のなかでは、「ほんのわずかの疑いでもかけうるものは全て、絶対に偽なるものとして投げ捨て、こうした上で全く疑いえぬものは何ものかが、私の信念のうちに残らぬかどうかを見ることにすべきである」と記しています。
とにかくあらゆるものを疑うことで、真理に到達しようとしたのです。


07 ルソー

1712年〜1778年
ジュネーブ共和国
主な概念:一般意志、自然状態、社会契約など
主著:「人間不平等起源論」「社会契約論」「エミール」など

ルソー

「一般意志」
人々に共通する最大公約数的な意思のことで、現代においても、民主主義の政治が行われる上で基本となる概念。

ルソーは若くして母を亡くし、13歳で孤児同然の立場に陥ってしまうという不遇の少年時代を過ごしました。

38歳でフランスの都市・ディジョンの懸賞論文に当選して以来、満を持して教育論『エミール』を発表しました。

ルソーは「社会契約説」を唱えた哲学者の一人ですが、従来の哲学者と根本的に異なるのは、”自然状態こそが人間の本来あるべき姿である”と考えた点です。

著書『社会契約論』を紐解いてみると、強者の原理のもとにまわっている社会体制を改めるには、国家の契約をやり直して人間の原点に戻るべきだと記されています。

ルソーは「一般意志」を確認しあえば、人々がお互いに個人的な意向をすべて譲渡し、万人に共通した利益が得られるようになると考えました。

こうしたルソーの民主政治論の思想や人民主権の理念は、人々に大きな希望をもたらし、フランス革命などの市民運動にも影響を与えました。


08 カント

1724年〜1804年
プロイセン・ケーニヒスベルク
主な概念:理性批判、定言命法、超越論哲学、物自体など
主著:『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』など

カント

「定言命法と仮言命法」
無条件に「〜せよ」と命じる絶対的な命令を定言命法と言い、カントは自身の倫理学における根本的な原理とした。

カントほど勤勉で真面目な哲学者は、他にいないといわれます。
彼の哲学は「批判哲学」と呼ばれていますが、それは『純粋理性批判』「実践理性批判』『判断力批判』といった具合に、彼の代表的な著書の全てに『批判』の二文字が入っているためです。
ただし、現代の私たちが使うような、相手を否定し、攻撃するような批判のニュアンスとは少々異なります。
カントは、社会で常識とされている物事を、もう一度ゼロから見つめ直すという意味で用いました。

09 ヘーゲル

1770年〜1831年
ヴュルテンベルク公国・シュトゥッガルト
主な概念:絶対観念論、弁証法、止揚、人倫など
主著:『精神現象学』『大論理学』『法の哲学』など

ヘーゲル

「人倫」
共同体の中で現実化される理性的意思のこと。具体的な人間関係や制度を通じて得る事ができる「本当の自由」は、人倫として実現されるとヘーゲルは考えた。

1770年にヴュルテンベルク公園に生まれ、『精神現象学』で遅咲きのデビューを果たしたヘーゲルは、その後、意欲的に哲学的探究を進めていきます。

ヘーゲルは弁証法※1を用いて考えることで、人間は「絶対知」※2と「普遍的真理」を得る事ができると考えました。
肯定意見と否定意見があったとしても、どちらかを真っ向から否定してしまうのではなく、お互いのメリットを統一しながら新しい考えを生み出すことがよいと考えたのです。
それが「正→反→合」という論理展開を行う弁証法です。

大器晩成のヘーゲルは、さまざまな苦難を経て、それでも前向きに努力して、ベルリン大学の総長まで上り詰めます。
その功績の大きさから「近代哲学の完成者」と讃えられています。

※1/物の対立・矛盾をとおしてその統一により一層高い境地に進む考え方。
※2/主観と客観とが一致する知識の最高段階としての哲学知。

010 カール・マルクス

1818年〜1883年
プロセイン・トリーア
主な概念:マルクス主義、唯物史観など
主著:『ヘーゲル国法論批判』『共産党宣言』『資本論』など

カール・マルクス

「科学的社会主義」
マルクスとその盟友エンゲルスとの共同作業によって確立された社会主義理論を指す。
別名、マルクス主義ともいわれる。
資本を社会の共有財産に変え、労働者が資本を増殖するためだけに生きる賃労働を廃止し、階級のない共同社会を目指すというもの。
そうした変革の主体としてプロレタリア階級を初めて歴史的に位置づけた。

ドイツのプロセイン生まれの哲学者でもあるマルクスが、生涯にわたって追い求めたことは、「貧富の差のない平等な社会を作るためには、どうすればいいだろう?」という命題です。
マルクスは資本主義の自由な経済競争が、資本家階級(ブルジョワジー)と、労働者階級(プロレタリアート)の間に貧富の差を産んでしまうと警告しました。

この構造を変えるためには労働者や賛同する人々が団結して革命を起こし、社会主義の世界を作る出す以外にないというのが、マルクスの考えです。


011 ニーチェ

1844年〜1900年
プロセイン・ザクセン州
主な概念:永劫回帰、超人、ルサンチマンなど
主著:『悲劇の誕生』「ツァラトゥストラはかく語りき』『善悪の彼岸』など

ニーチェ

「永劫回帰」
難題を克服してホッとしていると、次の問題が発生するといったように、人生は同じことの繰り返しだと考えるニーチェの思想。
ニーチェはこうした「永劫回帰」のサイクルを肯定的に受け入れ、常識的な価値観にとらわれずに生きる人を「超人」と呼び、存在と意思との自由の境地は、超人にのみ到達できると考えた。

ニーチェといえば、「神は死んだ」の名言で知られ、キリスト教や既存の哲学者の批判を繰り返したことから、攻撃的な性格で、とっつきにくい人物だというイメージを抱く人も少なくないでしょう。
産業革命以前までは、キリスト教は絶対的な力を誇っており、人々の信仰のよりどころでした。
ところが、近代文明のなかでは宗教の影響力が弱まり、目的を見失う人々が相次ぎました。
ニーチェは生きる意味を失っている人の態度を「消極的ニヒリズム」と呼び、弱者が集まって強者の足を引っ張るのを「畜群本能※1」と呼んで軽蔑しました。
そんな奴隷道徳から逃れるためにも、神の存在に頼らずに、自分の力で生きることが重要(能動的ニヒリズム)だと説きました。

※1/集団から突出することを恐れる人間の特徴


012 ハイデガー


1889年〜1976年
ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州
主な概念:存在、時間、存在論的差異など
主著:『存在と時間』『ヒューマニズムについて』『現象学の根本問題』など

ハイデガー

「ダス・マン」
「世人」とも訳される。
人間は死により主体的な生き方が運命づけられているにもかかわらず、何も考えずに漠然と過ごす人のことをこう呼んで非難した。
時間が限られていることを意識し、それにより死を覚悟することで、自分で自分の歩みべき道を決められる。
そうすることでよい人生を送ろうとするのがハイデガーの主張。

20世紀最高の哲学者の一人とされることもあるハイデガーですが、彼の業績は、現象学を提唱したフッサールから受け継がれてきたものを発展させ、「存在とは何か」というテーマを追求したことです。
ハイデガーほど死について真剣に向き合った哲学者はいないとされています。
そのことから彼は「死の哲学者」と呼ばれることもあります。
「死」とは否定的に捉えられますが、ハイデガーは意外にも前向きに考えています。
人間は誰でも平等に死が訪れるのだから、限られた時間を有意義に生きるべきだと訴えました。


013 サルトル

1905年~1980年
フランス・パリ
主な概念:実存は本質に先立つ、悪しき信念、無など
主著:「存在と無」「実存主義とは何か」「自我の超越」など

サルトル

「実存主義」
サルトルは、現在生きている自分自身の存在である「実存」を中心とする存在論を展開したことで知られている。
20世紀の哲学界に「実存主義」のブームを作り出しました。
「実存主義」とは、簡単に言えば、自分の力で人生を切り拓いていくための生き方を追求するものです。
サルトルは『実存主義とは何か』という著作のなかで、「人間は初めは何者でもない、人間は後から自分で人間になるのである」という言葉を表している。
この言葉は、運命は予め決まっているのではなく、自分自身で変えることができ、自らが選んで決定していくことができるというポジティブな考えから来ています。


014 フーコー

1926年~1984年
フランス・ポワティエ
主な概念:エピステーメー、パノプティコン、ディシプリンなど
主著:『狂気と非理性』『言葉と物』『監獄の誕生』など

フーコー?

「パノプティコン」
パノプティコンとは、ベンサムが考案した刑務所の監視システム。獄房に収監された囚人が、いつ監視されているのかわからないことで、自然に自らを律していくという仕組み。
フーコーは著書『監獄の誕生』のなかで、この刑務所で監視する者とされる者の不均衡にたとえることで、権力の構造を暴きたてた。

フーコーを象徴する研究が権力に関するものです。
かつて権力者は死刑などの恐怖を与える「死の権力」によって人々を支配していました、現代は「生の権力」が蔓延っているといいます。
監視の目を光らせることによって、人々が自律的に従うような仕組みを作っているのです。
現代社会には、絶対的な王などの権力はいませんが、その代わり人々は制度や人間関係という従来とは異なる権力構造によって支配され、縛られていることを暴いたのです。


015 デリダ


1930年~2004年
フランス領アルジェリア・アルジェ
主な概念:脱構築、差延、散種、エクリチュールなど
主著:『グラマトロジーについて』『声と現象』『エクリチュールと差異』など

ジャック・デリダ

「脱構築」
既存の物事を解体し、一から構築し直すこと。デリダは、この用語をハイデガーが作った「解体」という用語からヒントを得て生み出した。
言葉の内側から階層的な二項対立を崩す手法であり、前と後を対等な関係で結合する「と」という接続詞を重視するドゥルーズの思想に呼応している。
人文系や社会系の学問でも応用された。

西洋哲学には「善か悪か」「真か偽か」「主観か客観か」という二項対立の構造があります。
こういった二項対立を、デリダは真向から批判しました。
「西洋人の方が東洋人より優れている」などの考えは、西洋人の思い込みで構築されているに過ぎないと指摘したのです。

これまで誰もが信じ込んできた、物事を正しいと判断する価値観を根本から揺るがせたのがデリダの思想でした。
当時の西洋哲学の大前提を崩してしまったため、当時の哲学界から猛烈な批判が巻き起こりました。


まとめ

以上、小川仁志さんの「わかりやすい哲学」に紹介されている主要哲学者15人に関しての要約を書かせていただきました。
各偉人哲学者の原作翻訳本を是非読んでみたいと思いますが、解読も難しく時間もかなり要することになると思います。
そんな時に気軽に学べる哲学入門書は、偉人的哲学者の概要を効率よく学ぶことができ初学者にはうってつけだと思いました。

哲学者の思考や思想を理解し意識の中に留めて、現代を生き抜くことはとても人生において役立つものだと感じています。
また、社会学の要素が含まれた書物は世の中にたくさんあり、哲学者の哲学に基づいた持論や倫理が展開される内容の本も多いと思います。
少し難しいと読み流していた内容も、ちょっとした今回のような哲学書に触れるだけで、理解し読み進められるようになりました。

ぜひ、哲学に少しでも興味がある方は、1冊手に取ってみることをお勧めします。

終わり

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