国債と政府紙幣の違い――金融資産の格差を「拡大」させるか「縮小」させるか
経済政策としての【国債】と【政府紙幣】の違いについて、御存知の方も多いとは思いますが、簡潔に説明したいと思います。
1.【国債】と【政府紙幣】の共通点
まず、国債も政府紙幣も、どちらも経済学上は政府が発行する通貨(広域流動性)になります。
無論、政府紙幣は直接「お金」として使えはしますが、「国債」を店に持って行っても、何も買えません。しかし、国債を持っているとそれを担保に銀行がお金を貸してくれます。
例えば、100万円のお金を政府に貸すと、貴方は100万円の国債を手にすることになります。政府は貴方から借りた100万円で何か事業を行います。一方、貴方は国債を担保に銀行から100万円を借りて、何か事業を行うことができます。
つまり、貴方が100万円の国債を購入すると、市場には最大200万円流通します。なので、経済学的には「100万円の国債発行」も「100万円の政府紙幣発行」も、実質的には同じ行為なのです。
2.国債発行は金融資産の格差を拡大する
それでは、国債発行と政府紙幣発行とは全く同じ行為なのでしょうか?
それは違います。国債を発行すると利子が付くからです。
今の日本は「0金利政策」なので国債を購入しても殆ど利子は付きませんが、仮に日本がインフレになると利子も次第に上がっていきます。
ここでは国債の利子を1%としましょう。貴方が政府に100万円貸すと、寝ていても1万円の利子が手に入るのです。これが「不労所得」です。
そして、もしも資産家の人が政府に1億円貸すと、貸した一億円分は国債として自分の資産になりますし(「1」参照)、その上「100万円」分の不労所得が手に入ります。
つまり、最初から沢山の金融資産を持っている人ほど、沢山の不労所得を手にすることができる、これが国債発行の効果です。
国債発行は「国民の保有する金融資産の格差を拡大させる」という効果があるわけです。
3.政府紙幣発行は金融資産の格差を縮小する
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