真の「天皇国・日本」とは本仏釈迦の霊山浄土である
一
爾の時に会中の比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷・天・龍・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩・羅伽、人非人及び諸の小王・転輪聖王、是の諸の大衆未曾有なることを得て、歓喜し合掌して一心に仏を観たてまつる。
爾の時に仏眉間白毫相の光を放って、東方万八千の世界を照したもうに周遍せざることなし。下阿鼻地獄に至り、上阿迦尼・天に至る。(『妙法蓮華経』「序品第一」)
今の時代において「天皇国・日本」というと、何やら「天皇主権の国」でも作るのではないか、というような誤解が生まれるのであります。そして、日本協議会という生長の家の御教えを改竄している輩が、今の安倍政権は「天皇国・日本」を目指している政権である、という風な虚偽の宣伝をしているので、恰も安倍政権の行っているような政治が「天皇国・日本」である、従って「天皇国・日本」等ということを唱える宗教家はエセ宗教家か権力の手先である、という風に思う者が出てきているのは甚だ残念なことであります。
「天皇国・日本」というのは、決して現象の日本民族の国家や日本列島を指すのでは、ないのであります。そのような国は「小日本」であって、古代に中国人から「東夷の蛮族である」と言われたような、或いは欧米人に「黄色いサル」と言われたような、そういう程度の国なのです。現に大東亜戦争に敗戦したのは、敗戦の理由は種々ありますが、いずれにせよ連合国の国力に敵わない程度の小国が日本であったということは、残念ながら客観的事実なのです。
本当の「天皇国・日本」とはそういう国ではない、それは現象の物質世界を見ていると判らないでしょうが、この現象世界はホンモノの世界ではない、この日本もホンモノの国ではない、ということを悟った時に本当の「天皇国・日本」というのが判るのです。
この、現象世界はニセモノの世界である、ということは本当の実相の世界を知らないと判らないことであり、その実相の世界を説いたのがお釈迦様です。ですから、お釈迦様の説いた仏教の真髄である『妙法蓮華経』の真理を知らずして「天皇国・日本」を語ることは出来ないのであります。
さて、『妙法蓮華経』にはお釈迦様が真理の説法を説いた時の様子が載っていますが、これを見るとお釈迦様は人間だけに真理を説かれたのではない。「比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷」というのは人間の僧侶と在家の信者のことでありますが、他に「天・龍・夜叉・乾闥婆」と言った天界の神々もお釈迦様の教えを聴きに来たことが記されています。また、「阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩・羅伽」と、これらは天界や阿修羅界に住む生物たちのことであります。
そして「人非人及び諸の小王・転輪聖王」というのも記されていますが、この「非人」というのを一般には「人間以外の、天界の諸神である」という風に解釈しているようですけれども、既に天界や阿修羅界の存在の名前は列記されているのですから、この「非人」が天界や阿修羅界の存在であると重出していることになり、不体裁な文章となります。ですから、この「非人」というのは天界、人界、阿修羅界のいずれにも属さない衆生であろう、六道で言うと畜生界、餓鬼界、地獄界に属する衆生であろうという風に推察できます。
事実、お釈迦様が説法を行う時にお釈迦様の眉間から真理の光が出て、それが下は地獄から上は天界までを照らした、とあるわけです。このことからも、お釈迦様は地獄から天界まで、六道のあらゆる衆生を対象に説法されたことが判るのであります。
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