【不当判決】台湾人国籍剥奪が「合憲」?民族差別を認める日本の司法
台湾同胞から日本国籍を一律に剝奪したことについて、東京地裁は先日合憲判決を下した。
報道によると次のような理由であると言う。
判決理由で市原裁判長は、明治28年に調印された判決理由で市原裁判長は、明治28年に調印された日清講和条約により日本国籍を保有することになった台湾人とその子孫について、法令の適用や戸籍の面で日本本土に住む人々とは異なる扱いを受けていたと指摘。「領土の変更に伴う国籍の変動は条約で定められるのが通例で、そうした事態は憲法自体が認めている」として訴えを退けた。と指摘。「領土の変更に伴う国籍の変動は条約で定められるのが通例で、そうした事態は憲法自体が認めている」として訴えを退けた。
報道が事実であれば、裁判官は「明治28年に調印された日清講和条約により日本国籍を保有することになった台湾人とその子孫について、法令の適用や戸籍の面で日本本土に住む人々とは異なる扱いを受けていた」ことを追認したことになる。これでは民族差別の追認である。
判決文全文が公開されるまで詳しいロジックは判らないものの、植民地出身であることを理由に一方的に国籍を剥奪するのであれば、『日本国憲法』の次の条文に違反することは明白であるから、これは不当判決であると言わざるを得ない。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
民族の違いが人種に該当するかは微妙であるが(ほぼ黄色人種しかいない日本にGHQがこの条文を押し付けたのは、アイヌ民族が白人であると言うプロパガンダが行われていたことと関係あるのかもしれない)、台湾同胞が「日本本土に住む人々とは異なる扱いを受けていた」ということは「社会的身分又は門地」による区別があったことは明白であり、それを理由に国籍を剝奪するのは違憲に決まっている。
もしもこれを『サンフランシスコ平和条約』や『日華平和条約』を根拠に正当化するのであれば、それは『日本国憲法』の規定よりも講和条約が優先されるという事になるが、一般論として憲法典よりも講和条約が優先されることはあり得るし、また『日本国憲法』自体が一種の講和条約であることは私も既に述べている。
しかしながら、『サンフランシスコ平和条約』のどこにも「朝鮮人や台湾人の国籍を剥奪せよ!」と書かれていないのであるから、このロジックも成立しがたい。(拙稿「特別永住者と一般の外国人参政権は分けて考えるべき」も参照)
ただ『日華平和条約』には次の規定があり、在日韓国朝鮮人とはやや意味合いが異なる。
第十条 この条約の適用上、中華民国の国民には、台湾及び澎湖諸島のすべての住民及び以前にそこの住民であつた者並びにそれらの子孫で、台湾及び澎湖諸島において中華民国が現に施行し、又は今後施行する法令によつて中国の国籍を有するものを含むものとみなす。また、中華民国の法人には、台湾及び澎湖諸島において中華民国が現に施行し、又は今後施行する法令に基いて登録されるすべての法人を含むものとみなす。
つまり、台湾同胞は「すべて」中華民国側の法律によって中華民国の国民(=中国人)として扱わなくてはならない、というのである。
だが、これはあくまでも『日華平和条約』締結時点での我が国の見解であり、我が国は現在「台北政府」(自称「中華民国」)を中国の正統政府とは認めていないのであるから、この規定は無効であると解釈するべきであろうし、恐らくだが報道を見る限りでも判決は『日華平和条約』を直接の根拠とはしていないようなのである。
そうすると、やはり今回の判決は不当判決である、と言えるのではないか。
なお、判決はあくまでも現行の法令に基づいて行われるのであって、立法府(つまり国会)が新たに台湾同胞への国籍を付与する法律を通したならば、それを拒絶することはできないはずである。
司法の不当な判決が下った以上、この問題には政治判断が求められるであろう。日本の政治家の決断に期待したい。(期待できるかはともかく。)
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