【古典邦画】「ぼくどうして涙がでるの」

昔、「薔薇族」編集長の伊藤文學さんと親しくしてた時、第二書房の本をもらった記憶があるが…。

1965(昭和40)年の日活作品「ぼくどうして涙がでるの」。監督は森永健次郎。Amazonプライムにて。

文學さんの妹・紀子が、難病の心臓病で長期入院して手術をした時の闘病日誌なのだが、同室となった先天的な心臓障害を持つ少年をはじめ、同じ心臓病の患者らとの交流の話。少年は手術に臨むが死んでしまう。

手術を受ける際に、“涙を見せた患者は戻ってこられない”というジンクスがあって、少年が手術室に行く際に、涙を流しつつ言った台詞がタイトルである。

紀子役は十朱幸代。長期入院が決まり、恋人は離れていき、自暴自棄になるものの、看護婦の話や少年の明るさに救われて、生きようという気力が湧いてくるという流れだが、惜しくも少年は手術室から戻って来れなかった。

モノクロで重い作品だが、原作は、当時話題となった感動の名作で、十朱幸代の熱演があっても、荒削りで稚拙で突飛な演出が目立つ。映画としては二、三流で面白くはなかった。残念。

文學さん、元気にしてるかなぁ。

紀子が親しくしてた看護婦さんの話。「人間って、自分が不幸になると、知らず知らずのうちにそれに甘えちゃうことがあるわね。ここに来た以上は自分から病気を治そうという気持ちになってほしいの。皆、それぞれに自分の不幸と闘ってるのじゃないかしら。後ろばかり見ても始まらないもの」


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。