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「読書する女」
俺は“読書する片麻痺オヤジ”だけど、「読書する女(La Lectrice)」(88年・仏、ミシェル・ドヴィル監督)を。読書するというより、人を相手に朗読するだな。
主人公マリーが自分の美声を活かして、広告を打って本を読み聞かせる仕事を始める。
相手の客は、車椅子の美少年、大学の老教授、100歳の将軍夫人とそのメイド、「不思議の国のアリス」が好きな少女、欲求不満の中年社長、Hな老判事たち…と個性的な連中ばかりで、コメディタッチな作品だ。
読んでる間に本の中の登場人物とリンクしたりして現実と本の世界がごっちゃになっちゃうところもある。
マリーを演じたのはミウ=ミウという仏の女優さんで、読んでる最中に中年社長に身体を触られてパンティを見せたり、自ら誘って裸になって寝てたりするけど、知的なアートの雰囲気で全然いやらしくもなくセクシーでもない。
老判事がマルキ・ド・サドの「ソドム百二十日」を読ませたり、モーパッサンやボードレール、マルクスなどが出て来ても結局、オヤジは女に下半身関係の本を読ませるのがエエのかよって(笑)。
マリーが中年社長の上で腰を動かしながら、「大事な言葉を誰かと共有する」というのもなんかいやらしくなく感心した。
素敵なファッションの知的な美人が本を読んで、石畳の街並みをコツコツと歩いて、一癖も二癖もある人物とウィットに富んだ会話を交わして…もう、おフランス映画そのものだなぁと感じた。
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