「戦争とデザイン」
前に、この著者の「独裁者のデザイン」を読んだことがある。
第一次大戦から始まり、最大のナチス、そして、現代のプーチン(コ野郎)の戦争まで、国旗他様々な色、制服、シンボル、戦争を煽る言葉など、使われたデザインとの関係を探る良書。
国を挙げてデザインを重視したのは、もちろんナチスであるが、最大のデザイン的功績は、鉤十字を45度傾けて、赤の中の白い円に黒で収めたこと。傾けることで動き、回転が生じて躍動感が生まれるのだ。
そして、熱狂の末の“めまい”が生じる。ナチスに、考えさせない“めまい”は欠かせないからだ。
デザインは、人を魅了する。整然としたデザインは、それが大規模であればあるほど、感動的であり、人は我を忘れる。
なんとなく頭の中にあったイメージでも、ハッキリと力強いデザインで示されると、そこから思考を止めて、熱狂的に信仰してしまうものなのだ。
太平洋戦争中、アメリカ軍が日本人を指していうヘイト表現には、イエローモンキー、イエローベリーズ、イエロードッグ、チープレイバー、ジェイプス、モンキーニップス、グークスの他、サル、ドブネズミ、ヘビ、ゴキブリ、シラミ、子供、ゴリラ、狂犬、キチガイと何でもありだったのが面白い。
ユダヤ教では、男子は割礼があるから、ナチスがユダヤ人選別のために下半身を見たって、初めて知った。
大抵、独裁者や侵略者がアジる言葉は似通っている。
「倫理の崖っぷちに立ったら、疑問符などかなぐり捨てろ。内なる無神経を啓発しろ。世界一鈍感な男になれ」。
異分子・逸脱者排除で、敵か味方かの二項対立で、中間は敵なのだ。
「国は、君を必要としている!」
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