【古典邦画】「大魔神」

1966(昭和41)年公開の大映作品「大魔神」。YouTube公式角川チャンネルにて。監督は安田公義。

特撮時代劇だけど、東宝のゴジラ・シリーズ(ファーストを除く)よりも良いじゃんか。時代劇と特撮と日本人の心象と民俗学が巧く融合した、面白い作品だ。

戦国時代の領主である花房家が、悪人家老らの下剋上によって、幼い兄妹を残して滅ぼされる。
領民たちは、新しい城の建設のために苦役を強いられる。
そして、悪人たちは、領民たちが崇める山の魔神像まで破壊しようとする。
成長した花房家の兄妹も捕えられて、処刑されようとする時、魔神像が動き出す…。

埴輪のような無表情だった魔神像が、天から光が落ちて、憤怒の表情となって、ドスン、ドスンと歩き出し、悪人どもを踏ん付けて、城を壊して、成敗するのだ。

怒りの収まらない魔神を止めたのは、美しく成長した妹・小笹(高田美和)だった。

巫女の「これ以上、領民たちを苦しみ続けたら、魔神による神罰が下るぞ」との予言を、「ワハハ、神罰などあろうか。あるなら見せてみよ」と無視した結果なのだが、ギリギリまで溜めて溜めて、最後に爆発するという演出も目が離せなくて良い。

大魔神を演じたのは、ブルース・リーに蹴られた橋本力だ。

コレも重厚な音楽はゴジラと同様、伊福部昭だね。

この土地に古くからある山の魔神信仰を、欲のために、禁を侵して、蔑ろにした結果、山の神の怒りを買って、動き出した魔神によって、全て滅ぼされるという構図は耶蘇教にもあるけど、神の怒りを鎮めたのは、美しい女人の領民を想う純粋な涙であったのだ。

続く、「大魔神怒る」「大魔神逆襲」も観たいなぁ。


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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。